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2025年6月21日水無月の参

佐賀・多久市
~約束を力に 夏の1時間SP~

今回は1時間の拡大スペシャル。「大切な人との約束」を力に、新たな一歩を踏み出した2組のご夫婦を紹介します。
最初の主人公は『Coffee roast HONO』を開いた江口浩二さん(57歳)と妻の美千代さん(53歳)。病気で亡くなった長女・穂花さんとの約束を果たし、カフェを始めました。幼い頃から好きな事を突き詰めるタイプだった浩二さん。車好きで、自動車販売会社に就職し懸命に働きます。美千代さんとは職場結婚、長男・渓太さんと長女・穂花さんが誕生し、子育てにもしっかり向き合いました。子育てが落ちつき始めた頃。コーヒー好きな浩二さんは趣味で豆の焙煎を始め、「いずれコーヒー屋さんをしたい!」と家族に打ち明けます。すると穂花さんが「コーヒー屋さんだけじゃダメじゃない?それだけじゃない何をするか、考えんば」と真剣に考えてくれ、カフェについて語り合ったそう。ところが…穂花さんが体調不良で病院に行くと、ガンと診断されたのです。ご夫婦は衝撃を受けましたが、穂花さんは諦めず病と闘いました。闘病生活はおよそ2年にも及び、3カ月の余命宣告を受けても最後まで頑張りぬいた穂花さん…。家族に囲まれ、24歳の夏に旅立ちました。その半年後、浩二さんは娘との約束を果たそうと動き始めます。「コーヒーだけじゃない何か…そうだ、娘が好きだったケーキを作れるようになろう」そう決心し会社を退職。専門学校のパティシエ科で1年間菓子作りを学び、卒業後に自宅のガレージを改装。去年12月、穂花さんの誕生日に合わせ『Coffee Roast HONO』を開きました。店には穂花さんを知る仲間や友人たちが集い、いつもにぎやか。これこそが、ご夫婦が望んだ形です。娘との約束を力に頑張る、浩二さんと美千代さん、兄の渓太さん。ここではいつも、穂花さんの存在を感じられるのです。

カフェ店内には、浩二さんお手製の可愛らしいケーキが並びます。ですが、元々浩二さんの趣味から始まった“自家焙煎コーヒー”が、あくまでもお店の主役なんだそう。とは言え根っからの凝り性である浩二さんは、何にでも本気で取り組みます。専門学校でプロの技を習得したケーキは、教わった通りでなく主役のコーヒーに合うよう甘さ控えめにしたオリジナルレシピ。とろけるようなやわらかさが人気のバスクチーズケーキは、なめらかな舌触りと表面の香ばしさで、自家焙煎コーヒーとの相性抜群です。さらに、週末だけにお目見えするスペシャルケーキがあります。それは娘・穂花さんが大好きだった地元産のイチゴ「さがほのか」を4個もトッピングする「HONOケーキ」。カスタードクリームと生クリームがたっぷり入る贅沢なケーキです。ある日、ちょっとした遊び心で、イチゴのトッピング方法を勝手に変えちゃった浩二さん。しっかり者の美千代さんに、厳しく作り直しを命じられていました。

穂花さんを知る仲間や友人が集う『Coffee roast HONO』。お店にやってきたのは穂花さんの高校時代の同級生、松林佳菜子さんです。穂花さんは「まつこちゃん」の愛称で呼んでいました。デジタル作業が苦手なご夫婦に変わって、SNSでお店の宣伝をしてくれているまつこちゃん。穂花さんが旅立って3年近く経つ今も、ご夫婦を気遣ってしょっちゅうお店に立ち寄ってくれるんです。そして、いつも浩二さんを励ましに来るのは40年以上の付き合い、同級生の修二さんと亮治さん。これまでの経緯をすべて知り悲しみも分かち合い、理解してくれている2人です。「江口が頑張って専門学校を卒業した時、涙が止まらんやった。“頑張ったなこいつ、頑張ったな”って」と当時を思い出す修二さんの言葉に、浩二さんも思わず涙がこぼれます。また、美千代さんの友人、今泉さんは「穂花ちゃんと一緒に、家族4人で店をしている感じ」と語ります。こうして沢山の仲間たちがずっとお店に集い、ご夫婦を応援してくれるのです。穂花さんとの約束を、夫婦力を合わせて実現した浩二さんと美千代さん。その約束を力に、これからも笑顔の花が咲きますように…応援しています。

楽園通信

Coffee Roast HONO

江口浩二さん・美千代さんご夫婦が営むカフェです。亡き娘・穂花さんを知る友人や仲間が集う場所として始めたお店なので、席数、販売数量ともにわずかです、ご了承ください。

営業時間:午前10時~午後6時
定休日:火・水曜日

バスクチーズケーキ 450円
クラシックショコラ 450円
クッキーシュークリーム 220円
HONOケーキ 550円

沖縄・宮古島市
~約束を力に 夏の1時間SP~

続いては沖縄県宮古島市で酪農牧場『ツンフグ牧場』を営む石川智紀さん(56歳)と妻の敦子さん(46歳)が主人公。ヤギ20頭、ジャージ―牛5頭、鶏7羽と暮らしています。以前、島の酪農牧場が廃業し牛乳の生産がなくなった経緯があり、夫婦は地元に再び牛乳を届けたいと、小規模ながら島唯一の牛乳生産者となり奮闘しています。
神奈川県で大工をしていた智紀さんは「やるからには1番を目指したい」と、整体師の敦子さんと結婚後、今度は夫婦で整体院を開業しました。2人には「田舎で暮らし、野菜作りなど生きる力を持った自給自足の生活がしたい」という夢があり、その後宮古島へ移住を果たします。2人は整体の仕事をしながら農業研修を受けて頑張っていました。そんな中、夫婦で夢中になったのが、島で毎年開催されるトライアスロン大会。己の限界に挑戦を続けること9年間、夫婦そろって島一番の成績を収めるまでになっていました。その後、ご夫婦は「島に来た目的を見失っていた」と再び自給自足の夢に向かって動き始めます。今度は酪農を学ぼうと考え、岩手県の牧場で研修を受けることに。その最中、宮古島から思わぬニュースが届きます。「島唯一の酪農牧場が廃業し、牛乳生産が終了する」というものでした。これを受け「島の牛乳を復活させたい」と考えたご夫婦は、研修を終えて宮古島に戻ると、手始めにヤギを飼い『ツンフグ牧場』を開業。そして2021年、待望のジャージー牛2頭を迎えました。しかし、牛乳を販売するには殺菌処理などの高価な機械が必要なため、クラウドファンディングをスタート。すると“牛乳の復活”を求めていた多くの島の人たちが賛同し、瞬く間に支援が集まりました。その期待に応えたいと「絶対に宮古島の牛乳を復活させる!」と心に誓ったご夫婦。これが、島の人との約束になったのです。
朝から晩まで動物たちの世話に追われる石川さんご夫婦は、毎日近所に出かけては、何時間もかけて牛やヤギたちの好物の草を刈ります。忙しい暮らしの中にも新たな命の誕生など、感動の場面が日常的に訪れる毎日。島の人々の応援と期待を背負って頑張る石川さんご夫婦の暮らしはとても力強く、夢見ていた自給自足へ一歩一歩着実に近づいています。

今、宮古島を訪れる観光客にも注目を集めているのが『ツンフグ牧場』のカフェ!絞ったミルクのままの状態だと消費期限が短くなるため、無駄にしないようソフトクリームに加工し、週末にテイクアウトのみで販売しています。牛とヤギ、その日のコンディションによってどちらかのミルクを使用し、この日はジャージー牛ミルクのソフトクリーム。『ツンフグ牧場』の牛たちは宮古島の青草を食べているため、ミルクは口当たりがさっぱりしています。そんなジャージー牛のソフトクリームは、ミルクに糖分しか加えていないのでとっても溶けやすく、口溶けを楽しみながら早めに食べるのがおすすめ。また、自家製の卵を使って作るプリンを、ソフトクリームの下に忍ばせた「プリンソフト」も人気です。さらにフルーツの楽園として知られる宮古島、夏のカフェメニューに欠かせないのが…6月から8月に飛び切り美味しくなるマンゴーです。サイコロ状に切った完熟マンゴーをたっぷり敷き詰めた上に、ソフトクリームをのせたら完成。『ツンフグ牧場』の夏は、マンゴーフロートで決まりです!

牛乳の納品に出かけた敦子さん。こちらは毎週、60本ほど仕入れてくれるドーナツ専門店、『マラサダドーナツ・スシマロ』。マラサダは、ハワイの定番スイーツで軽い生地が特徴、中にクリームやジャムが詰まっています。「マラサダドーナツには牛乳が合う!是非買わせて欲しい」と、まっ先に、それもツンフグ牧場が牛乳の販売をする前から購入を約束してくれたのが店主のマユさんです。こうした島の人たちの応援があって、去年めでたく牛乳の販売を開始、「島のみんなに届けたい」と奮闘しているご夫婦です。もう1つの納品先は宮古島で人気のジェラート店、『リッコジェラート』。オーナーの前納豊さんのこだわりは、生産者を敬い紫芋やマンゴー、サトウキビなど宮古島ならではの食材を使うこと。そして『ツンフグ牧場』の牛乳も“宮古島ならではの味”として特別なジェラートに使ってくれています。ご夫婦が「牛乳を復活させよう」と誓った当初からのよき理解者で、クラウドファンディング支援者でもある前納さん。ご夫婦のことを「島の宝だ!」と表現すると、敦子さんも智紀さんも目頭を熱くしていました。こうして牛乳販売ができるようになったとはいえ、まだまだ規模が小さい『ツンフグ牧場』に、つい最近、嬉しいニュースが…。ジャージー牛の「すもも」に女の子の赤ちゃん「さつき」が誕生、これで牛が6頭となりミルクの生産量も増えていきます。
島の人たちとの約束を胸に「いつかは学校給食の牛乳も届けたい」と頑張る石川さんご夫婦を、心から応援しています!

楽園通信

ツンフグ牧場

石川智紀さん・敦子さんご夫婦が営む牧場で、動物たちの世話をする傍ら、週末や祝日に不定期でソフトクリームを中心としたカフェをしています。テイクアウト専門のお店です。
営業時間:午後12時半~午後4時
定休日:不定休
※詳しくはSNSをご確認ください。

ソフトクリーム(カップ) 600円
牧場プリン&ソフト 680円
生マンゴーのフロート 1,300円(期間限定)