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2025年3月22日弥生の肆

佐賀・白石町
~500年続く味 郷土寿司のカフェ~

今回の舞台は、佐賀県杵島郡白石町。500年続く“伝統の郷土寿司”を守ろうと、カフェを開いた江口智子さん(49歳)が主人公です。愛称はトコさん。
福岡県出身の智子さん。大学卒業後、管理栄養士として佐賀県の大学に就職しました。23歳の時、県庁で働く英樹さんと結婚。そして出産を機に英樹さんの故郷、白石町須古地区に移住しました。そこで出会ったのが須古地区の郷土料理「須古(すこ)寿し」でした。最初は「これがお寿司なの?」と驚いたという智子さん。その後、子ども達の小学校で作り方を学び、管理栄養士として実習で指導を行うなど、「須古寿し」と深く関わるようになっていきました。ある時、県庁職員の英樹さんから仕事を辞めたいと告げられます。当時、英樹さんは街づくりに関わる仕事をしていたのですが「自分は街づくりをする人たちの役に立てていないのでは?」と悩んでいました。そこで智子さんは、「私がやる!」と名乗り出たのです。“須古にしかないこの華やかな「須古寿し」で、大好きな街を元気にしたい!”その思いで智子さんは、去年3月、カフェ&バル『とこのとこ』をオープンさせました。店名の由来は、“トコのところ”から。
須古寿しは、500年以上前から伝わるハレの日のご馳走で、酢飯の上に、自家製の奈良漬、ごぼう、にんじん、紅ショウガ、シイタケ、キュウリ、かまぼこ、錦糸卵、そしてムツゴロウなどが添えられています。四角に区切られたお寿司は田んぼ1枚1枚を表現しており、線は畦道、中央の錦糸卵は水田に映り込む「田毎の月」を表しています。須古城から見た美しい田園風景を表現したとの言い伝えも。『とこのとこ』ではそんな伝統を受け継いだ須古寿しを味わえます。
500年の伝統を誇る郷土寿司を未来につなげたい!そんな思いでカフェを始めたトコさんこと江口智子さんの奮闘ぶり、支える家族、『とこのとこ』に集まるお客さんとの交流を紹介します。

「須古寿し」は、500年以上前から伝わるハレの日のご馳走。食べ方は、専用のヘラですくい、お皿に移して味わいます。来店したお客さんからは「お祝い事の時は絶対!」「室町時代の領袖が米の品種改良に努め、それに感謝した領民が寿司を献上した、らしい!」など“須古寿し愛”が止まりません。

『とこのとこ』の名物は、須古寿しだけではありません。智子さんがデザインした、イニシャルのついたピンバッジや世界の偉人や名画をもじったステッカーなどのオリジナルグッズが大人気なんです。元々イラストレーターとして活動したり、雑貨を作るお仕事をしていた智子さんは、『とこのとこ』にやりたいことを詰め込みました。

『とこのとこ』には頼もしい助っ人がいます。具材を盛り付けているのは、長男の歩さん(22歳)。智子さんと一緒に厨房を支えています。そして、夫の英樹さん(50歳)。お仕事がお休みの週末に接客を手伝ってくれています。家族の絶妙なコンビネーションも「須古寿し」のいいアクセントになっています。

この日、智子さんは仕入れのために農家の山口さんご夫婦を訪ねました。「須古寿し」にとって欠かせない餅米の仕入れです。「須古寿し」は普通のお米に対し、餅米を1割足して炊くことで、型崩れしにくい酢飯にしています。「須古寿しに使っていただいき、郷土料理として残していただけることが嬉しい」と語る山口さん。未来につなげる輪が広がっています。

楽園通信

sukoカフェ&バル とこのとこ

智子さんが営む白石町須古地区の郷土料理「須古寿し」を味わえるお店です。
「とこのとこランチ」と「須古寿しランチ」は、数に限りがあるので、事前予約がおすすめです。
智子さんの作る可愛らしいオリジナルグッズも購入することができます。

営業時間:午前11時半~午後5時(水・木・日)
       午前11時半~午後10時(金・土)
定休日:月・火曜

須古寿しランチ 2,000円
とこのとこランチ 1,500円

詳細はSNSをご確認ください。