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2024年3月9日弥生の弐

京都市右京区
~里を元気に!オカンの家カフェ~

舞台は京都市右京区の京北地域黒田。良質な樹木が育つ地として知られ、平安時代には杉など大量の材木が水運で都へと運ばれ、平安京を造営したという由緒ある地。昭和20年頃まで山から切り出した丸太をいかだで運ぶ姿が盛んにみられたものの、現在は過疎が進み、限界集落となっています。そんな京北地域黒田の豊かな自然や人にほれ込み、京都市内都市部から家族と移住した川口紗英子さん(44歳)が主人公。築200年の古民家を改装し、地域の活性化と集いの場としてカフェを開きました。
京都市内に生まれ育った紗英子さんは、24歳で結婚、三姉妹の母となりました。マイホームを構え都会暮らしを満喫していましたが、東日本大震災の発生をきっかけに人生観がガラリと変わったそうです。「震災が起きたら、どうやって子どもたちを守るのか。薪や水、野菜などが確保できる田舎で暮らしたい」と考えた紗英子さん。友人が暮らす京北地域黒田に通い、子供たちを川で遊ばせたり、田植えなどのイベントに参加するうちにだんだんと黒田の地に惚れこんでいきました。そして、築200年の古民家を購入し家族で移住することを決意。過疎化が進む町のために何かしようと始めたのが「里の駅プロジェクト」でした。古民家を「里の駅」として人が集まる場所を作り、地域活性化や移住支援などの活動を行う計画です。2017年に京北地域黒田に移住すると、プロジェクトの第一歩として、その拠点となる『きくやカフェ』を2018年にオープン。その後に離婚を経験した紗英子さんは、娘たちを支えながら地域のために尽力しています。
自然の中で子育てがしたいと移住し、みんなが集うカフェを始めて地域活性化に尽力する紗英子さん。この町で暮らしているといつも元気で力がみなぎり「皆さんにパワーを分け与えている」そう。これからもまだまだやりたいことが一杯だと言う紗英子さん、どうか今後もパワフルに町を盛り上げていって下さいね!

築200年の古民家を修繕して始めた『きくやカフェ』。江戸時代以降は造り酒屋で、その名も「菊家」だったそう。そこからカフェの名前を頂いたという紗英子さん。大正時代は郵便局として使われ、地域の人たちに大切にされてきました。そんな由緒ある建物を購入した紗英子さんは、地域の人たちが気軽に集い交流できる憩いの場へと変貌させたのです。カフェでは、地元の野菜が主役の美味しいランチが評判。フライなどメイン料理と汁物、野菜のおひたしや煮物などの小鉢が7品ほどつく日替わりランチ。ご飯は、この家の台所に昔からあった「おくどさん」を使って炊き上げ、カリッと香ばしいおこげの味が昔懐かしいと年配のお客様からも評判です。そして、配膳が終わると…自然に客席に座り、お客さんと話し込む紗英子さん。実はこちらが本来の目的で、お客さんと楽しく交流し情報交換をすることで、地域の皆さんをつなぐ活動をしているんです。「私はパワーが有り余っているから、皆さんに分け与えている」とのこと。お客さんからは「ここに来ると元気をもらえる」「紗英子さんとお話したいから来る」など大評判です。

カフェの食材は地元・京北地域で仕入れるものが中心。紗英子さんは頑張っている若手の移住者たちとタッグを組んで地域を盛り上げようとしています。まずは、京都・丹後地域から新鮮な魚を仕入れて移動販売をしている『モリモト鮮魚店』。魚の目利きに長けた守本さんがさばく新鮮な魚介類はどれも絶品!続いて黒田地区に就農した吉田さんご夫婦が営む『よしだのはたけ』では、四季折々に少数多品目の野菜を栽培し、宅配をしています。他にも、同じ京北地域で獲れた鹿や猪などの加工所『野生生活』を営む上村さんなど、沢山の仲間が紗英子さんの活動を支えてくれています。そんな食材を集めて作る『きくやカフェ』の日替わりランチは、完全予約制。毎週木曜日だけ、モリモト鮮魚店の新鮮なお刺身が入った特別なランチメニューになります。また、野生生活の鹿肉のフライを使ったサンドイッチやカレーなどの軽食メニューも。すべては、地域の仲間の活動も店でアピールして、みんな元気になろうという紗英子さんの思いからなのです。

『きくやカフェ』の裏手には古い茶室があり、紗英子さんはこつこつと修繕し、レンタルスペースとして稼働し始めました。茶室の窓からは、綺麗に整えられた坪庭や裏山を眺めることが出来ます。落ち着いた和室で行われるのは、マッサージやヨガ教室など、講師の方を呼んでのコラボイベント。利用したお客さんからは「特別な空間で自然を感じられる。」「最高、静かで落ち着く!」など、大変喜ばれています。また、敷地の中には古い土蔵があり、最近仲間と一緒に壁に漆喰を塗って綺麗に修繕した紗英子さん。実は夏から、調味料や日用品などを販売するお店『きくや百貨店』を始める予定です。また、大阪に暮らし専門学校に通う長女・栞さん(19歳)が帰省した日、次女・ひかりさん(15歳)三女・みのりさんと共に久しぶりに食卓を囲んだ川口家。専門学校で製菓の勉強をしている栞さんは、卒業後のプランについて「お母と一緒にカフェをやりたい」と語ってくれました。この先もいろいろ楽しみな『きくやカフェ』です!

カフェの常連客の中に、地元のリーダー的存在の方がいます。それが88歳の前田芳子さん。そんな前田さんに勧められ、大正琴のグループにも参加している紗英子さん。紗英子さん以外は60~80代の大先輩方が所属する「黒田大正琴同好会」。発表会では四重奏の見事な演奏を聴かせてくれました。紗英子さんは先輩方から、いつも地域の様々なことを教わっています。また、紗英子さんが移住するにあたって大変お世話になったのが町おこしの先駆者・大和田信也さん(82歳)。地元の歴史を後世に伝える活動や、イベントを企画したりと地域活性化に尽力してきた方です。そんな信也さんの意志を継いで頑張っているのが紗英子さんたち若手の移住者やUターンの仲間。信也さんたち先輩が続けてきたことの一つが、黒田で定期的に朝市イベントを開く活動で、それも引き継いで行っています。ある晩、そんな仲間たちの会議が行われました。農家で若手のリーダー・新井さん、Uターンしてきた岩浅さんはミュージシャン、そして2年前に移住して来たばかりの原田さんご夫婦。みなさん子育て世代です。「町をいい環境で自分たちが次の世代に渡していくべき。ここで畑を耕し住まわせてもらっている自分達のやるべきこと」と語り合います。皆さん、黒田の存続、発展のために力を尽くして真剣に頑張っているんです。

楽園通信

きくやカフェ

2日前までの完全予約制です。
席数が少なく、紗英子さんが一人で運営しているため、ご了承下さい。
京北地域への移住相談も受け付けています。
予約など詳細は「きくやカフェ」のSNSをご確認ください。

営業日時:午前11時~午後4時
月・木・土曜(祝日を除く)