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2023年11月11日霜月の弐

長野・松本市
~一汁九菜!笑顔の食堂~

今回の舞台は長野県松本市。松本城からほど近い住宅街で夢を叶え、4年前に食堂『ごはんカフェ 笑』を開いた佐藤孝子さん(57歳)と母を手伝う次女・髙橋 鞠(まり)さん(29歳)が主人公です。信州の食材にこだわり、素朴で優しい「おかあさんの味」が自慢です。こちらでは、配膳されるとお客さんが皆びっくりした笑顔に!なぜならお膳ぎっしり、圧巻の品数のおかずがずらり…。そこには孝子さんの生き様と、様々なアイデアが詰まっているんです。
埼玉県出身の孝子さんは、親戚の紹介で知り合った昌弘さんと22歳で結婚。松本市で暮らし、長女・愛さんと次女・鞠さんが誕生します。夫と娘たちを喜ばせたいと、食卓にはいつも沢山の手料理を並べ、パンやデザートまで手作りしていたそう。子育てが一段落するとベーカリーカフェで働き始め、仕事にもやりがいを見つけます。しかしその後、夫の昌弘さんがガンと診断され、余命を告げられる事態に…。懸命に夫に寄り添い、最後は自宅で看取った孝子さん。大きな喪失感を抱える中「これからは自分が没頭できる何かがあった方がいいんじゃないか。それなら、大好きな料理を出す店をしたい」と考えたんです。そして起業セミナーや料理教室で猛勉強。2019年に松本市内に理想の建物を見つけて改装、『ごはんカフェ 笑』をオープンしました。
店名の『ごはんカフェ 笑』は、笑うと書いて「えむ」と呼びます。「笑ごぜん」は、ご飯とおかず、メインの料理に副菜が8品も付き「一汁三菜」ならぬ「一汁九菜」!お膳が目の前に来るとみなさん、店名のとおり自然と笑顔になってしまいます。「お客さんも笑顔に、作る自分たちも笑顔に!」が、孝子さんが店名に込めた思い。料理の主役は地元の農家さんから仕入れる新鮮な野菜で、孝子さんがこだわっているのが「ま ご わ や さ し い」を取り入れること。「豆類」「ゴマ&ナッツ類」「ワカメ&海藻類」「野菜」「魚類」「シイタケ&キノコ類」「芋類」の頭文字をとったもので、バランスの良い食事を心がけ、お客さんの健康を気遣っているんです。料理好きな孝子さんが野菜やキノコなどを使い、優しい味のナムルや煮物・和えものなどに仕立てていき、どれも美味しいと評判。
そんな孝子さんは「定休日は家族との時間」と決め、長女・愛さんと孫の依茉ちゃん(2歳)、7月に生まれた果穂ちゃん(4ヶ月)と公園などに出かけ全力で遊びます。
城下町松本の地で「皆を笑顔にする食堂」を切り盛りする孝子さん、それを支える娘達家族の姿を、亡き昌弘さんはきっと笑顔で見守ってくれていることでしょう!

孝子さんと鞠さんが親子ならではの絶妙な連携技で心を込めて作るのは、毎日食べても飽きない「家庭料理」がベースです。「地産地消」をテーマにしている孝子さんは、地元産の新鮮な野菜を中心とした料理にこだわっていて、近隣の様々な農家さんから採れたての野菜を仕入れています。おかずはどれも素朴でやさしい味付けで、塩麹やナッツ類・野菜で作ったドレッシングなどを使い分けることで、バラエティに富んだ味わいを生み出しています。だからこそ主菜1品に副菜8品がずらりと並ぶ「笑ごぜん」は、ボリュームたっぷりながら最後まで飽きることなく食べられちゃうそう。「目で見て楽しめるように」とこのメニューを考案した孝子さん。お客様が「えー!」と驚くリアクションを見ると、「ヨッシャー!」と思わずガッツボーズをしてしまうかわいらしい女性なんです。

下ごしらえの担当は娘の鞠さん、メインシェフが孝子さんです。厨房ではテキパキと調理が進んでいくのですが、よく聞こえて来る親子のやりとりがあります。孝子さんが「これなんだったっけ?」「あれどうした?」と忘れん坊な一言を発すると、すかさず鞠さんが「また言ってんの?もう~!」とつっこむ様子です。意外にも孝子さんにはおっちょこちょいな一面があって、その都度、娘の鞠さんがフォロー。日替わりで働いてくれているアルバイトさんもこのやりとりに大爆笑、厨房はいつも笑いが絶えません。こうして親子で支え合っている『ごはんカフェ 笑』、こんなアットホームな空間だからこそ、常連のお客さんも居心地が良いと言います。孝子さんの将来の目標は、「腰が曲がる年齢になっても厨房に立つ」こと。鞠さんは、「きっとその時も一緒にやっていて“おばあちゃん、お客さん来たよ!”とフォローしている」そう。そんな未来もまた楽しみです。

日々忙しい孝子さんですが、定休日は家族との時間と決めています。ある日は、長女の愛さんと、孫の依茉ちゃん(2歳)と今年生まれたばかりの果穂ちゃん(4か月)とお気に入りの公園へ。走り回る依茉ちゃんを追いかけたり、抱っこしたまま、長いローラー滑り台を滑り下りたりと、全力で一緒に遊ぶんです。孝子さん曰く「小さい頃の時間は短いから、休みを削ってでも一緒に過ごしたい」とのこと。忙しくて一週間会えなかっただけで新しい言葉を覚えたりしぐさや表情が増えていたり…、その成長をしっかり見届けたいと言います。また、夜は夜で愛さんの自宅に立ち寄り沢山の手料理を作る孝子さん。定期的に愛さん一家、鞠さんご夫婦と一緒に賑やかに食卓を囲んでいます。愛さんの夫・史訓さんも鞠さんの夫・謙一郎さんも孝子さんの料理の大ファン!なんと娘婿たちの胃袋もガッツリつかんでしまった孝子さんです。夫を見送って8年、今は娘たち家族に囲まれながら「本当に幸せだな」と感じているそうです。

この日、孝子さんと鞠さんがやってきたのは、松本城のすぐ近くにある「なわて通り商店街」。石畳の通りに個性的なお店が軒を連ね、観光客にも人気のスポットです。お2人のお目当ては、この通りにある『カフェスヰト(スイート)』。創業およそ100年、松本では有名なベーカリーカフェです。実は孝子さんはかつてこのお店で店長として働いていました。鞠さんもアルバイトとして入り、お手伝いしていました。孝子さんがお世話になった4代目社長の渡辺さんは、お店の看板商品であるフランスパンを自ら焼き上げ、パンの原料はすべてが信州産の「オール信州」にこだわっています。社長は孝子さんが辞める時は本音を言えば困ったと言いますが、今の活躍を見て納得しているそう。一方、こちらで長年働いた経験があるからこそ、今の『ごはんカフェ 笑』があると語る孝子さん。自らのお店のコンセプト作りの原点となった大切な場所なんです。

楽園通信

ごはんカフェ笑(えむ)

孝子さんと鞠さんが営む、地産地消の家庭料理が自慢の食堂です。
大きなお膳にごはんとお味噌汁、主菜と副菜8品が並ぶ「笑むごぜん」は、ボリュームたっぷり。量が多いという方は副菜が3品の「ミニ笑ごぜん」がおすすめ。孝子さん・鞠さんの趣味がアーティストの「推し活」のため、臨時休業がたびたびありますのでご了承下さい!

営業時間 
午前11時30分~午後6時30分(月・火・水・日曜)
午前11時30分~午後8時30分(金・土曜)
※仕込み分が終わり次第、営業終了の可能性があります。
問い合わせ可能時間
午前11時~午後7時

定休日 木曜+不定休 ※詳細はお店のSNSをご確認ください。
電話:0263-87-3119

笑むごぜん 1,850円など