宮城・蔵王町
~再起をかけたチーズ工房~

舞台は宮城県蔵王町。コロナ禍の影響で職場を失い心機一転、チーズ職人となり専門店を開いた佐藤竜士さん(47歳)と妻の真奈美さん(43歳)が主人公です。
蔵王町の隣、村田町出身の竜士さんは仙台市内の総合宴会場で管理職をしていました。41歳のときブライダルプランナーをしていた真奈美さんと職場結婚。子供が生まれ益々仕事に精を出していましたが、コロナ禍の影響で宴会場の経営が行き詰まり、閉館が決まります。身の振り方を考えていた竜士さんは、以前担当したチーズシンポジウムの懇親会を思い出しました。当時、会場で手伝いをしながらチーズの奥深さに驚き、チーズ職人に憧れた気持ちが沸き返ってきたのです。そして「自分もチーズ職人になろう」そう決意したのです。しかし、今までとは畑違いの仕事。そこで竜士さんは、懇親会でお世話になった東北大学名誉教授で乳酸菌研究の第一人者の齋藤忠夫先生に相談し、アドバイスを受けながら蔵王町の酪農センターでチーズ作りを学びました。そして、46歳でチーズ職人となり、去年11月『チーズ アトリエ モッツァオ』をオープンしました。
工房と店舗は以前レストランだった建物を借りています。製造・販売しているのはゴーダチーズ、リコッタチーズ、モッツァレラチーズなど7種類。火曜から金曜に製造し、土曜、日曜に販売しています。常連客は「柔らかく口溶けが違う。美味しい」と絶賛です。
お店を始めて9カ月。現在は休み無く働いている竜士さんですが、自宅に帰れば2児のパパ。子供たちと触れ合えるほんの少しの時間を大切にしています。一緒に暮らす母・あや子さん(72歳)は「家を建てたばかりで、当初は不安で眠れなかった」と語り、竜士さんは「母にも妻にも本当に感謝している。もう少し家族との時間を取れるようにしたい」と本音がこぼれます。
コロナ禍の影響で職場を失い、思い切って異業種に飛び込み、日々奮闘する竜士さんと支える家族の姿。そして、協力を惜しまない元同僚たちとの交流を紹介します。



竜士さんをチーズの世界に導いてくれたのが、東北大学名誉教授で乳酸菌研究の第一人者齋藤忠夫先生。チーズ作りについてアドバイスをしてくれます。ミルクが固まった出来立てのカード(チーズの元)を味見した齋藤先生は「いいんじゃないですか!」と美味しさに驚いていました。竜士さん良かったですね。



モッツァレラチーズを作る日は、真奈美さんも手伝います。乳脂肪やタンパク質が固まったチーズの元を、お湯で素早く煉って水分を取り込み、丸めて引きちぎれば出来上がり。出来立てはフレッシュなミルクの香りがして美味しいんです!



チーズ作りを学んでいた頃は失敗の連続。そんなとき竜士さんを勇気づけてくれたのが、長男・心乃甫くん(5歳)でした。チーズを一口食べて「パパのチーズ凄く美味しい」と言ってくれたんです。家族全員、竜士さんを応援しています。



チーズの配達で仙台市へ向かった竜士さん。配達先は総合宴会場時代の同僚が働くレストラン。竜士さんのモッツァレラチーズを使った冷製カッペリーニが人気です。また、新しく出来た複合型商業施設でも竜士さんのチーズを販売しています。こちらの支配人も元同僚。竜士さんがお店を始める前、何度もチーズの試食をしてくれました。職場が変わっても支えてくれる仲間に感謝している竜士さんです。




Cheese Atelier Mozzao
竜士さんが作ったチーズを販売しています。
全て手作りのため数に限りがあります。
売り切れの際はご了承ください。
※店内での飲食はできません。
営業時間 午前10時~午後4時
営業日 土・日曜
※詳しくはHPまで
フレッシュモッツァレラ ミルクの実り 789円(税込)
ゴーダチーズ はじめた冒険 897円(税込)