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2023年8月5日葉月の壱

長野・富士見町
~高原の朝ごはん喫茶~

舞台は長野県富士見町。2年前、朝ごはんが自慢の小さな喫茶店を開いた五味美香さん(55歳)が主人公です。
富士見町で生まれ、祖父母と両親、妹の6人家族の中で育った美香さん。子どもの頃にみんなで食卓を囲む時間と、母・政子さんの手料理が大好きでした。
大学卒業後は、富士見町役場に就職。休日に喫茶店巡りを楽しんでいた美香さんは、「いつか地元のお年寄りから子どもまで気軽に立ち寄れる喫茶店をやりたい」そんな夢を密かに抱くように。仕事に邁進し大事なポストを任されるようになりましたが、25歳の時、母・政子さんが病により亡くなってしまいます。
心の隙間を埋めるように仕事に打ち込んできた美香さんですが、母・政子さんが亡くなった50歳を迎える頃、「人生は一度きり!」と役場を早期退職。2021年、『朝喫茶ちっと』を始めました。
お店の名前『ちっと』には、「気軽に〝ちっと〟寄ってって」という思いが込められています。『ちっと』の一番人気は、美香さんが早朝から仕込む朝ごはんセット。主役は、母・政子さんが毎朝作ってくれた具だくさんの味噌汁で、「朝喫茶をやろうと決めた時に、真っ先に作ろう」と思ったそう。
また、『朝喫茶ちっと』では、去年12月から、月に一度の夜の営業も始めました。『夜ちっと』では、一緒に暮らしている妹・琴美さん(51歳)が手伝ってくれていて、いずれは、姉妹で喫茶店を営んで行こうと考えています。
「人生は一度きり!」と役場を早期退職して、朝ごはんの美味しい喫茶店を始めた美香さん。彼女を支える琴美さんと『朝喫茶ちっと』に集まるお客さん、そして地元の人との心温まる日常を紹介します。

毎朝5時半から仕込み始めるお味噌汁。具材は、地元・富士見町産の旬野菜を中心に、毎回、必ず10種類前後入れるのが美香さんのこだわり。「朝ごはんは元気の源、たくさん食べて1日頑張ってほしい」。その思いは、幼い頃、母の政子さんが毎朝作ってくれた具だくさん味噌汁が教えてくれたことでもあります。

朝7時、営業が始まると早速、お客様が来店しました。山梨県から車で1時間かけて食べに来てくれる石郷岡章さんと文美さんご夫婦です。食材にもこだわり、手間暇かけて作る美香さんの朝ごはんセットの大ファンだというお2人。「シンプルだけど贅沢」、「店主も素敵!」と大絶賛!よかったですね、美香さん。

『朝喫茶 ちっと』のお米は、富士見町の米農家・平出さんから仕入れています。寒暖差と南アルプスの雪解け水が、おいしいお米を育ててくれるそうで、美香さんも平出さんのお米が大好きなんです。また、平出さんは、米農家を継ぐ前は、町役場で美香さんの上司として働いていた方で、美香さんの「人生は一度きりなんです!」という熱い思いを聞いて、早期退職を後押ししてくれた恩人でもあるんです。

美香さんには、母の政子さんとの大切な思い出があります。高校卒業後、富士見町を離れ新潟県の大学に進学した美香さんは、初めての一人暮らしからホームシックになってしまいます。食欲も元気も無くなっていた娘を心配した母の政子さんは、毎週のように料理のレシピを書いたハガキを送ってくれました。「食べると元気が出る、とにかく食べろ!」。母の励ましの言葉と教わったお料理で、次第に元気を取り戻すことができた美香さんは、今もそのハガキを大切にしています。

楽園通信

朝喫茶 ちっと

美香さんが営む朝ごはんの美味しい喫茶店です。
具だくさんのお味噌汁をメインとした「朝ごはんセット」は、白米とパンを選べます。
富士見町の特産品、赤いルバーブを使った手作りのクリームソーダも人気です。
また、月1回の「夜ちっと」の営業は不定期ですので、SNSなどでご確認ください。

営業時間 午前7時~午後1時
定休日 水・木
朝ごはんセット(和・洋) 700円