奈良・橿原市
~古き町の昭和レトロ雑貨店~

故郷・橿原市にUターンし、古い町家が残る今井町でレトロ雑貨販売とカフェを営んでいる寺田栄子さん(49歳)が主人公です。
奈良県橿原市で産まれ育った栄子さんは、高校卒業後、大阪の百貨店に就職。18歳の時に大阪出身で当時学生だった昌弘さんと出会い21歳で結婚。2人の息子が生まれました。
栄子さんが古物に興味を持ったのは28歳の頃。自宅近所の骨董品店で見つけた“古びた小さな椅子”がきっかけでした。なんとも言えない味わいに魅了され椅子を購入した栄子さん、そこから古物の収集が始まりました。特に“昭和レトロ”と呼ばれる懐かしさ漂うガラス食器が好きになり集めるように。やがて、「自分が好きになった昭和レトロ品の魅力をたくさんの人と共有したい」と思い、店を開くことを決意します。そして「古物の販売なら古民家で開きたい」と、故郷・橿原市で空き家を探し、知人の紹介で築150年の町家を見つけました。こうして2018年、大阪から橿原市にUターン。町家を改装し、2019年5月、レトロ雑貨の店『笑夢空 em.sky (エムスカイ)』をオープン。翌年には同店でカフェも始めました。
店内には凝ったデザインの小皿やポップな花柄プリントのグラスなど、栄子さんが骨董市などで見つけた“昭和レトロ品”が並びます。訪れる中高年層の客は「昔懐かしい、なんともいえない味わいがいい」と語り、若年層は「デザインが斬新で可愛い」と、それぞれ気に入ったものを購入していきます。栄子さんは「開店当初は客が購入すると少し悲しくなったが、今では自分が気に入って選んだものを、お客さんが笑顔で購入してくれるのが嬉しい」と笑顔で語ります。
昭和レトロ品に魅せられ、故郷にUターンし念願の雑貨店を始めた栄子さん。江戸時代の風情残る町家での暮らしぶりと、店に集う常連客との交流を紹介します。



レトロ雑貨好きの栄子さんが特に好きで、集めているのが昭和レトロガラスです。戦時中、缶詰の代わりに使われたガラス容器“アンカーグラス”から、ポップな花柄プリントのグラスにデザインの凝ったガラス食器まで、懐かしい品々で店内はいっぱいです。勿論、全て栄子さんお気に入り。なので開店当初は、お客さんが買っていくと少し寂しく思ったそうですが、今はお客さんの笑顔を見ることが栄子さんの喜びになりました。



お店を始めてから今年で4年。常連さんも増えてきました。近所に住んでいる山田盛さんは散歩がてら寄ってくださる常連さん。いつものカウンター席でコーヒーを飲み、「この店に来ると落ち着く」と笑顔になります。また、喜多京司さん・さつきさんご夫婦や正田彩香さんは、栄子さんが集めたレトロガラスに魅かれてお店にいらっしゃるようになりました。昭和レトロ品の色使いやデザインに、なんとも言えない味があると言います。喜多さんがレトロ品を購入するときに「(買って)いい?手放す覚悟は?」と栄子さんに念を押していたのが印象的でした。



定休日、栄子さんは仕入れです。大阪時代のお友達・東村さんと三田さんと大阪・四天王寺に出かけました。境内に並ぶ露店を回り掘り出し物を探す楽しい時間です。この日も“一目惚れ”したレトロ品をたくさん見つけました!そんな栄子さんを友人2人は、「いつか店をやりたいと昔から言っていた。本当に実現して凄い!」とべた褒めでした。



今井町は江戸時代の古き町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。500軒ほど立ち並ぶ町家には今も人々が暮らしています。栄子さんもここで暮らし商売をしています。そんな日常で一番好きな時間が、愛犬・空(くう)との散歩です。狭い路地に立ち並ぶ町家が癒しになり、飽きない風景なんです。栄子さんは「ここで暮らせて幸せ、これからも急がず焦らず、のんびりと暮らしていきたい」と笑顔でした!




笑夢空 em.sky
栄子さんのレトロ雑貨店。
昭和レトロガラスを中心に凝ったデザインの小皿やポップなプリントのグラスなど、栄子さんが骨董市などで見つけた雑貨が並びます。
また、コーヒーなどのドリンクや栄子さん手作りのスイーツも楽しめます。
営業時間 午後0時30分~午後5時
定休 土曜日
※他不定休あり SNSをご確認ください
レトロガラス 500円~
気まぐれおやつ 500円~
※通信販売は行っておりません
※お店がある今井町は道が大変狭いため、
車でお越しの際は駐車場に停め徒歩でお越しください。