羽鳥慎一50の質問

番組を進行する羽鳥が、“時の人”に立て続けに50の質問を行い、 質問に答えて頂くなかで浮かび上がるゲストの方の性格やセンス、内面に迫るコーナーです。

24・9・24

アサヒビール・松山一雄社長

松山一雄 さん

アサヒビール・松山一雄社長

今回のゲストは、アサヒビール・松山一雄社長。
58歳の時に、5回目の転職でアサヒビールに入社という異色の経歴の持ち主です。
「生ジョッキ缶」や「未来のレモンサワー」など、常識を覆すヒット商品の仕掛け人にお話を聞きました。

■アサヒビール 異色経歴の社長 ヒット量産の経営手腕

羽鳥「アサヒビール 松山社長でございます」
松山「宜しくお願いします」
羽鳥「(質問1)尻尾の方だけ見えているのは何のオブジェ?」
松山「正式名称は“フラムドール”フランス語でフラムは炎、ドールは金。だから金の炎。
   炎を燃やせみたいな感じですね」
羽鳥「炎です、みなさん」
松山「炎です!」

お店の生ジョッキが家で味わえる「生ジョッキ缶」、発売36年目にして初となる「スーパードライ」のフルリニューアルなど、“ワクワク”をモットーに低迷していた販売数をV字回復させた立役者。
アサヒビール・松山一雄社長に、アサヒビール本社を案内してもらいました。

松山「お客さまと打ち合わせをする場所なんですけど、お客さま用の自動販売機があるんです」
(自動販売機前へ)
松山「お好きなものを選んでいただいたら、押すだけで出てきます」
羽鳥「(質問2)押し放題ですか?」
松山「押し放題です。ただ飲める分だけということで」
羽鳥「おーいいですね。本当は社長がいなかったらバンバン押したいところですけど、ちょっとここでやめておきます。ありがとうございます」

■松山社長と乾杯! 業界衝撃“世界初のレモンサワー”大ヒットの秘密

松山「どうぞ お入りください」
羽鳥「(質問3)ここはなんの部屋ですか?」
松山「ここで自由に執務をしてもかまいませんし、夜は懇親会みたいな。きょうは特別に試していただきたいものがあるんで。冷蔵庫に入れているんですけど」
羽鳥「あっ 来ました!」
松山「ご存じです?」
羽鳥「はい。知ってます」

本物のレモンスライスを入れた世界初の缶チューハイ「未来のレモンサワー」。
レモンの厚さや形、浮き上がらせる方法など、3年半の試行錯誤の末に開発しました。

松山「じゃあ、いきますね」
羽鳥「はい」
(缶を開ける)
羽鳥「泡が来ました。はい、レモン来ました」
羽鳥「いただきます」
松山「乾杯」
羽鳥「缶のレモンサワーというよりはお店で飲んでいるグラスに入ったレモンサワーに近い感じ」
羽鳥「(質問4)なんでですかね?」
松山「本物のレモンが入っているので、ビタミンCの影響なんじゃないかなと。なかなか劣化していかない」

羽鳥「(質問5)他ブランドのビールですとか、アルコールですとか、飲まれるんですか?」
松山「私はそれこそ新しい商品が出たら、全部飲みます。必ず飲みます」
羽鳥「(質問6)これはおいしいと素直に思うことも?」
松山「あります、あります。どうやって作っているの?とか。それが自分にとって一番刺激が大きい」

羽鳥「(質問7)ビールのおつまみは枝豆ですか?鶏のから揚げですか?」
松山「枝豆ですかね」
羽鳥「(質問8)飲み会は大人数ですか? 少人数ですか?」
松山「少人数が好きなんですけど、たまに大人数でバッと騒ぎたいときもあります」
羽鳥「(質問9)日頃の支払いは現金でしょうか?キャッシュレス?」
松山「ほとんどキャッシュレス」
羽鳥「(質問10)連絡は電話でしょうか?メールでしょうか?」
松山「相談したい。込み入ったときは電話ですね」
羽鳥「(質問11)部下にするなら 熱血タイプか冷静沈着タイプか?」
松山「熱血ですかね」

■“あの金のオブジェ”を特別に案内 訪問者限定の(驚)光景

松山「きょう、ここのお部屋をですね、ぜひご紹介したいと思うんで」
羽鳥「おー! この角度は見ないですね」
松山「この部屋からしか見えないんですよ」
羽鳥「これは商談に来た人にとっては、『アサヒに来ました』って感じですよね」
松山「ここは(オブジェの高さと)ほぼ同じで、少し見下ろすような形」
羽鳥「(質問12)こうなっているんですね、光り輝いていますね?」
松山「輝いています」

大迫力の炎のオブジェはアサヒビールを訪れた人だけの特権です。

■お酒を飲まない人にもワクワクを アサヒの新提案「スマドリ」

羽鳥「(質問13)これアサヒだからですかね、飲み会やっているわけじゃないですよね?」
松山「スマドリ、スマートドリンキングのメンバーが集まって議論している」
羽鳥「(質問14)スマドリっていうのは何ですか?」
松山「スマドリは飲めても飲めなくても、みんなで一緒に楽しめるような新しい大人向けの生活文化」

アサヒビールが新たに提唱しているのが、スマートドリンキング、略して「スマドリ」。
飲む人も飲まない人も、自分の体質や気分に合わせて適切なドリンクをスマートに飲もうという取り組みです。

羽鳥「(質問15)ビール会社ですから売った方がいいと思うんですけど、あえて売らないというのは企業としてはどうなんですか?」
松山「データが取れる日本の大人の数がだいたい9000万人くらい。アルコールを常時、毎日のように飲む人って2000万人しかいない。私たちは今まで2000万人しか見てこなかったので、商品がやっぱり偏りがあったと思うんですよね。普段はお酒を飲まない、ノンアルも飲まない方たちに、新しい商品をご提供することで今までとは違う市場を新しく作りたい」

羽鳥「(質問16)お酒が強くないとビール会社に入れないという都市伝説が昔はあった気がするんですけど?」
松山「昔はたぶんあったんじゃないかと思います。だけど今はないです」
羽鳥「(質問17)お酒が飲めないという方?」
(社員1人 手をあげる)
松山「お酒を飲むと飲めない人の気持ちが分からないんですよ。気持ちが分からないと商品も開発できないし、マーケティングもできないので」

■転職5回 58歳でアサヒビールに入社 異色経歴のワケ

松山「ここが私の部屋になります」
羽鳥「失礼します」
羽鳥「きれいですね」
羽鳥「(質問18)本が山積みになっている?」
松山「いつもこんなふうに置いていて」
羽鳥「(質問19)ドラッカーの経営の本があるんですね?」
松山「これは一番最初に買ったんじゃないかな。企業の目的は何かとか、マーケティングとは何かとか。いろいろなものを読んだんだけど、一番これが自分の腹にピタッと落ちたので」
羽鳥「なるほど」

松山さんは鹿島建設や日用品メーカーのP&Gなど、いくつもの企業を渡り歩いてきた人物。
転職すること計5回、58歳のときにアサヒビールに入社しました。

羽鳥「(質問20)転職を繰り返してきた理由は?」
松山「めちゃめちゃ好奇心旺盛なので、何かやりたくなると、いてもたってもいられなくなる。それでチャレンジしてみるということを何度か繰り返した」

マーケティング本部長を経て去年、社長に就任。
「生ジョッキ缶」や「未来のレモンサワー」など、消費者をワクワクさせる新しい挑戦を続けてきました。

羽鳥「(質問21)缶の中にレモンを入れるなど、新しいことを常に考えている?」
松山「こんなのあったら面白いよねっていう視点で、いろんなものやってきましたので。業界のことをよく知らなかったからこそ、消費者の気持ちになれたのかなって感じはしますね」
羽鳥「(質問22)仕事の大きな失敗は?」
松山「いろんなリサーチをして、それぞれ信じられないくらい良いリサーチの結果が出て、絶対成功すると思ってやったら全然ダメだった」
羽鳥「(質問23)何でダメだった?」
松山「今の商品を本当に愛して使ってくれている人の気持ちが汲み取れなかった。これってリサーチになかなか出てこない」
羽鳥「(質問24)新たな市場を開拓したくても、今までの人はやっぱり大事にしなきゃいけない?」
松山「そこをやらないで やるとメーカーのエゴになりますんで」

■スマドリ酒場で意見交換 「10年後もワクワクすることを」

羽鳥「(質問25)ちょっといろいろ見せていただいてもいいですか?」
松山「いいです」
羽鳥「この辺なんか…」
羽鳥「(質問26)わー お品書きがあるんですけど?」
松山「昼間、飲んでるわけではありませんので」
羽鳥「夜ですね」
松山「この部屋を不定期に酒場として開放しているんです」

社長室を酒場にみたて、社員と意見交換する場にしています。

松山「自分の経営の中で一つだけずっと前の会社のときから継続していることがあって。社員全員と直接コミュニケーションを取りたいんですね」
羽鳥「(質問27)社員は自由に発言?」
松山「自由に発言してもらって、それが自分の中では一番大切ですかね。そうしていくと徐々に本音を言ってもいいんだみたいな。距離も少しずつ縮まっていきますしね」

羽鳥「(質問28)10年後 どんな自分になっていたいと思うか?」
松山「今から10年後ですか74歳ですね。なんかワクワクすることやっていると思います」
羽鳥「出た」
松山「それが何なのかは分からないんですが、たぶん自分は自由にやりたいことをやっていく人生でいいのかなと思いますんで。10年後の方がかえって元気かもしれないですね」
羽鳥「すごいな」