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#945
2025年1月12日

気象予報士・今村涼子さんに聞く
テレビと天気(前編)

【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
      八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】今村涼子(気象予報士)
【VTR】西村英将(ウェザーセンターディレクター)
    山田百合菜(ウェザーセンターディレクター)
    井澤健太朗(テレビ朝日アナウンサー)
毎週月曜から金曜午後4時48分から放送している「スーパーJチャンネル」に出演中の
気象予報士・今村涼子さんに20年担当しているお天気コーナーやテレビについて伺いました。



<テレビ朝日に初出演>
初めてテレビ朝日に出演したのは2003年の昼ニュースでした。
その時はまだウェザーニューズ社所属で、テレビ朝日のウェザーセンターのキャスターが足りなかったので、急に呼ばれて「昼ニュースに出て下さい。」と。
そのあと正式に「テレビ朝日で働いて下さい」と辞令を受けました。

最初は朝の番組のデスクでした。
キャスターが読む天気原稿を書くという仕事を1年間。
次の年に「報道ステーション」がはじまり
天気予報を担当する市川アナウンサーのサポートをするデスクとしてつきました。

「防災時に解説する人が必要」ということになり、2004年から「報道ステーション」の防災解説コーナーに出演するようになりました。
その後2005年から「スーパーJチャンネル」を担当。
もう20年目になりました。

<2006年に「はい!テレビ朝日です」で今村さんを取材した時のV T R>
―19年前に語っていたことー
いろんな気象予想図含め、自分の勘やこれまでの経験、外の空気の雰囲気を全部想像して、
バッチリ未来の天気がイメージできる時があります。
そういう時の予想が、あたった時は快感があります。

<19年前のV T Rを観て>
「いやー、一生懸命やってましたね。」
2年目だったので余裕がありませんでした。
番組の中で天気予報のコーナーが1回しかなく、尺も短かったんです。
ちょっと肩身の狭い思いもありました。

天気予報は尺が長いのも大変なんですけど、短くするのも結構大変でなんです。
いろんな情報を取捨選択して、「入れなきゃいけない」というのが当時はすごく難しくて、
日々悩んでいました。
楽しいというよりも苦しんでいた日々でした。

<今村さんの最近の1日を取材>
<AM10:30>
「スーパーJチャンネル」の放送がある月曜から金曜、出社。

午前中は「スーパーJチャンネル」のスタッフルームでウェザーセンターのディレクターと、11時に更新される気象庁のデータを元に、天気情報を集めます。

今村「気象庁のホームページもすごく進化していて、昔は1時間おきだった気象衛星の映像も
今は10分ごとの映像が見られます。」
<AМ11:35>
今村さんとディレクター3名で“全国の天気”と“関東の天気”2つの放送内容について
打ち合わせを行います。

<AМ11:55>
ウェザーセンターに移動。
今村さんを含め3名の気象予報士や専属のCGチームなど10名全員で、
構成の絵コンテを元に今後の動きを確認します。
<PM12:35>
ランチタイムも今村さんは、ウェザーセンターのデスクで気象データを追っていました。

今村「外に食べに行ったりしないです。データを見ながらお弁当を食べます。」

<PМ1:35>
昼食後は、番組のお天気コーナーで話す原稿を書き始めます。

今村「うちの天気コーナーは割とCGの動きが細かくて、同じ画角でずっと見せるのではなく、見せたいところに寄る<細かい動き>があります。
原稿の流れにあわせてCGを動かすので、原稿がないと細かいところまで詰められないんです。」

<PМ2:03>
井澤健太朗アナウンサーと進行内容の打ち合わせ。
今村「これは明日の空の様子をCGで表しています。
CGチームがすごく優秀なので、綺麗でリアルな空が再現できます。」

天気をCGで具体的に見せる事で、
記号や数値だけよりもイメージしやすくしています。
<PМ3:14>
今村さんがウェザーセンターを出て向かった先は?

テレビ朝日 7階 屋上テラス
今村「ここで金曜日に天気中継をやったりします。ずっと室内で原稿を書いていると、実際の外気の体感が足りなくなるので、絶対1回は外に出るようにしています。
あとはリフレッシュです。人目がなかったらストレッチをやっています。」
<PМ4:14>
着替えとメイクを済ませウェザーセンターに戻ると、
最初のコーナー「全国の天気」の読み合わせを始めます。
― 原稿は暗記する?

流れというか大体の感じは覚えます。CGの動きが決まっているので、
それに合わせないといけません。 一言一句ではないですが大体は覚えます。
プロンプターはありません。 CGを見ながらやるので、もし忘れたとしても何とか喋れます。


<PМ5:00>
CМ中にスタジオの中へ移動、いよいよ「全国の天気」の本番です。

およそ5分間、原稿を見ることなく「全国の天気」を伝えました。
しかし、これで終わりではありません。

再びウェザーセンターに戻り、 
2つ目のコーナー「関東の天気」の最新情報をチェックします。

最新の情報に原稿を修正し、記憶して再びスタジオへ向かいます。

「関東の天気」は映像と合成してあるセットの前から伝え、
この日の天気コーナーは終了しました。

大雨の時などは最後にもう1回出演する事がありますが、何もない時はこれで終わりです。
この日は天気が荒れていなかったので、まだまだ余裕がある日でした。


夏場の台風や猛暑などが起こると、これに解説枠が増えてしまうのでもっとバタバタになります。



<今村さんについて聞きました>
西村ディレクター「放送は夕方7時で終わるんですけど、7時以降まだ雨雲が発達してれば、夕食をとりながら1人で天気をチェックしているでしょう。金曜日に「週末は台風に気を付けて下さい」と伝えたら、土・日曜は放送の担当はしてないですけど、その台風情報も休みなくチェックしていると思います。
月曜日出社した時には、土日のデータがすでに頭に入っているので、そこからのスタートになります。24時間365日休みなく天気の事で動いている非常にストイックな人です。」


― 今村さんに驚かされること
「3年前の12月の上旬ぐらいにあそこで大雪があった。」とか、「6年前のどこどこでこれあったよね!」という過去の大きな天気の事柄をすごく覚えていて、
“気象予報は過去のデータの積み重ねで、そこから似た天気を合わせていく確率論”なので
スタートが早いです。
ちなみに最近のことは結構忘れがちですが…。

今村「24時間天気のことを考えていると、たまに嫌になる時があります。
天気情報を全く見ない時を作っています。

ディレクターの西村さんとは言い合いになる時もありますが、今のスタッフとは本当に通じ合っていますし、誰も“楽してやろう”と思う人がいません。
結局、天気予報って“楽しようと思ったら割と楽できます”。

一応配信される定型があるので、それを順番に出してしまえばそれで終わりますが、“それでは面白くない、満足できない”という人たちばかりなので、
「その熱いメンバーと日々一つの作品を作ろうじゃないか!」そういう気持ちで毎日やっています。