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#890
2023年11月19日
未来をここからプロジェクト~北極ノート
【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】松本拓也(テレビ朝日ディレクター)
屋比久就平(テレビ朝日カメラマン)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】松本拓也(テレビ朝日ディレクター)
屋比久就平(テレビ朝日カメラマン)
テレビ朝日「未来をここからプロジェクト」の一環として
北極で調査にあたる研究者や現地に住む人々の生活を取材するため、入社9年目・松本ディレクターと入社3年目・屋比久カメラマンがグリーンランド・カナック村を訪れました。

グリーンランド・カナック村
日本から4日かけて到着。
警察や学校、スーパーマーケットもある村。
白夜の時期は子供たちが遅くまで遊んでいる姿も。
●日本の研究チームと合流
北海道大学・杉山慎教授、JAXA研究開発員・島田利元さんに同行。
岩山を2時間登り続け、カナック氷河に到着。
標高およそ1,100メートル
東京ドーム5,700個分ほどの広大な氷の塊。
そこで調べていることとは?
冬の間にどれくらい積雪があったのかの調査。
研究チームによると、温暖化の影響で積雪量が昔に比べ減っているそうです。
今の氷河の大きさを維持するためには、今の2倍は積雪がないと難しいそう。
どんどん溶け出す氷河、中でもいま注目されているのが
氷に覆われて真っ白に見える氷河に点在する黒くなっているところ。
黒いと太陽の光を効率的に吸収するので、その部分だけ熱の吸収がすすみ、
氷が溶けてしまうんだそう。
黒ずみの正体は、「雪氷微生物」と呼ばれる冷たいところに生息する微生物。
この黒ずみは毎年どんどん増えているそうです。
●50年前、移住した日本人猟師・大島育雄さんに取材しました。
「セイウチ猟に温暖化の影響がもろにあるね」
かつては9月になれば海が凍り近くまでセイウチがきていたといいますが、今では11月にならないとセイウチ猟を始められないんだそうです。
●幻のクジラともいわれるイッカク猟に密着
氷の下などで生息するイッカクは温暖化の影響で逃げ場を失い、ホッキョクグマやシャチなどに狙われやすくなっているそうです。
海をさまようこと60時間。
イッカクの象徴である長い牙が海面からあらわれました。
すぐさま追いかける猟師。
モリをうちました。
果たして。
あと1歩のところで、イッカクに逃げられてしまいました。
およそ2ヵ月の北極取材を終えた2人に、今、思うことなどを語ってもらいました。
<2カ月の取材を終えて感じていること>
松本ディレクター
屋比久カメラマン
現場にいる間は日々どういう取材をしようかとドタバタで濃密な時間を過ごしていましたが、終わってみると結構あっという間だったなと。
行けるのであれば、もう一回行きたいと思っています。
行けるのであれば、もう一回行きたいと思っています。
屋比久カメラマン
本当に貴重な経験をさせてもらったんだなと改めて感じています。
<印象に残ったこと>
松本ディレクター
屋比久カメラマン
氷河の末端部分を取材した時、氷河の先っぽがなくなっているというか、ぐちゃぐちゃになっていて、それを見た時に、「ここが地球温暖化の最前線」なんだと。一番印象に残っています。
屋比久カメラマン
北極に点在する黒ずみです。
ドローンを飛ばしてみると南極の白さとは違って、「こんなに黒いんだ」と。
この黒ずみが太陽光を吸収して氷を溶かしている。こういうことが最北端で起こっているんだ、ということが印象に残りました。
ドローンを飛ばしてみると南極の白さとは違って、「こんなに黒いんだ」と。
この黒ずみが太陽光を吸収して氷を溶かしている。こういうことが最北端で起こっているんだ、ということが印象に残りました。
<南極取材との違い>
松本ディレクター
屋比久カメラマン
北極と南極の違いは、「人が住んでいるか いないか」がすごく大きな違いだと思っています。
温暖化の現象を取材するのはもちろんなんですが、その地に住まれている方にどんな影響があるのか?そもそも北極に住む人はどんな生活をしているのか?人に関わることも取材しようと思っていました。
英語もほとんど通じなくて、グリーンランド語が主流。しかも訛りがすごくて。
言語がほとんど通じない中、ボディランゲージとか、現地の言葉をだんだん覚えて取材を続けたことはチャレンジだったと思っています。
現地の言葉を覚えてコミュニケーションすると喜んでもらえて、それでまた仲良くなって。
温暖化の現象を取材するのはもちろんなんですが、その地に住まれている方にどんな影響があるのか?そもそも北極に住む人はどんな生活をしているのか?人に関わることも取材しようと思っていました。
英語もほとんど通じなくて、グリーンランド語が主流。しかも訛りがすごくて。
言語がほとんど通じない中、ボディランゲージとか、現地の言葉をだんだん覚えて取材を続けたことはチャレンジだったと思っています。
現地の言葉を覚えてコミュニケーションすると喜んでもらえて、それでまた仲良くなって。
屋比久カメラマン
南極は「南極観測隊」という1つのチームでいろんなスタッフと行ったんですけど、私たちは2人で乗り込んでいった感じですので、「僕たちの冒険」というか、そこを泥臭く泥臭く撮影していくことに何か伝わるメッセージがあるんじゃないかな?と。
普段だったら車に乗せて移動する機材も2人で背負って、中継場所まで2時間歩いて。その2時間もカメラはずっと回し続けて。
とにかくいろんなことを撮影しました。
普段だったら車に乗せて移動する機材も2人で背負って、中継場所まで2時間歩いて。その2時間もカメラはずっと回し続けて。
とにかくいろんなことを撮影しました。


<北極での生活>
松本ディレクター
― 北極ならではの食事
スーパーは1箇所あるんですけど、食事をするレストランなどは一切ないので、基本全部自炊でした。
取材しながら自炊して合間で食べて。食事は僕が作ってました。
取材しながら自炊して合間で食べて。食事は僕が作ってました。
― 北極ならではの食事
アザラシの肉や腸、北極イワナ、幻のクジラとも言われるイッカク、海鳥(アッパリアス)なども食べました。とてもママット(おいしかった)です。
海鳥(アッパリアス)は、塩茹でしてから剥いて食べるんですけど、おいしかったです。
イッカクの刺身は、馬刺しのような味でした。
イッカクの刺身は、馬刺しのような味でした。
<北極取材後の変化>
松本ディレクター
屋比久カメラマン
当日にならないとスケジュールが決まらなかったり、行ってみないと何が撮影できるかわからないという経験をたくさんしたので、結構肝が据わった気がします。行ったらなんとかなるだろうとか、そこにあるもので勝負しないとどうしようもないよねという経験は、これからの仕事に生かせると思いました。
屋比久カメラマン
日本で撮影しているときは、いかに綺麗に撮影するか、ちゃんと撮るかを心がけていましたが、大事なことは「今を伝える」というか、現場での多少のカメラワークより、この雰囲気とか、今この瞬間を伝えられているかが大切だと思うようになりました。


<伝えたいこと>
松本ディレクター
屋比久カメラマン
地球温暖化について聞いていたことはありましたが、北極に住んでいる人に
取材をしてみると、年々温暖化の影響を受けているということを実感しました。
いつ自分たちの身に直接的な影響が降りかかってきてもおかしくないということを伝えられたらなと思いました。
取材をしてみると、年々温暖化の影響を受けているということを実感しました。
いつ自分たちの身に直接的な影響が降りかかってきてもおかしくないということを伝えられたらなと思いました。
屋比久カメラマン
想像力とか、想像することが僕たち人間の1つの特権なのかなと思っていて、
普段出会うことはないけれども、世界最北の地に人が動物が住んでいる。
どこかでやっぱり繋がっているんだ。
私たちの生活が、北極で生きる人たち、次の世代の人たちに影響しているんだと想像するだけで、私たちが今この瞬間にやること、できることが変わってくるんじゃないかなと自分自身にも問いかけていますし、みなさんにもちょっと考えてもらえるといいのかなと。
今回の取材がその一助になれば嬉しいと思います。
普段出会うことはないけれども、世界最北の地に人が動物が住んでいる。
どこかでやっぱり繋がっているんだ。
私たちの生活が、北極で生きる人たち、次の世代の人たちに影響しているんだと想像するだけで、私たちが今この瞬間にやること、できることが変わってくるんじゃないかなと自分自身にも問いかけていますし、みなさんにもちょっと考えてもらえるといいのかなと。
今回の取材がその一助になれば嬉しいと思います。
<テレビとは>
世界を広げてくれるもの 松本拓也
遠くをのぞくことができるもの 屋比久就平
遠くをのぞくことができるもの 屋比久就平