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7月2日 プレイバック・報道ステーション企画その2
2009年7月10日放送 『藤木麻祐子 集大成』


ロシアを破ってもう一つ上へ・・・
デュエットは、北京オリンピック銀メダリストの
ジェマ・メンガルとアンドレア・フェンテスが金メダルに挑みます。

スペインの名曲、アストリアスのメロディーにのせて、しなやかな動きでスペインの情熱と哀しさを表現していきます。

微妙な角度の柔らかな動きをあわせていくのは至難の技です。



今年5月、8年ぶりに若返ったロシアのデュエットがアンドラの欧州カップでその全貌を明らかにしました。

これまでの路線をそのまま踏襲し、直線的な動きを畳み掛けます。

ロシアとスペインの直接対決は世界水泳ローマに持ち越されました。
シンクロの世界の流れを変えたい。藤木さんの思いは募ります。



ロシア ロマーシナ(19歳)イシェンコ(23歳)



ジェマ・メンガル 32歳
いまやスペインの女性スポーツ選手を代表する存在となりました。



去年のヨーロッパ選手権のソロで、初めてロシアのイシェンコを破って優勝し、
今年のローマで世界チャンピオンの座を狙っています。

「金メダルこの手にほしいわ!お願い!」
これが年齢的にも最後のチャンス。メングアルの思いは募ります。



ジェマ・メングアル

宮嶋:「メングアルに対して藤木さんの役割はどういうものでしょうか?」

藤木:「ロシアの今のソリストであるイシェンコが技術的にも高さとかスピンを正確に回るという技術を持っているので、メングアルの芸術的な面がいくら卓越していてもそこをはずしてしまったら、金メダルは取れないところにあるので、ちゃんと技術点をとれるようするのが、私の仕事だと思います。」


 

スペイン初のシンクロ世界チャンピオンが生まれるか、
それは日本人コーチ藤木麻祐子の腕にかかっています。

7シーズンにわたるスペインでのコーチ人生の集大成です。








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取材後記

「世界チャンピオンになりたい」33歳のジェマ・メングアルの気持ちは、側で取材をする私たちにも痛いほどわかりました。そしてそれを支える藤木さんの情熱も同様でした。
ロシアのイシェンコとスペインのメングアルの一騎打ち。
技と美の衝突でした。
ロシアのイシェンコは、申し分のない技の切れに加え、表現力も格段にアップしていました。一方のメングアルは最後の技でよれてしまったのが響き、これが最終的な得点に現れていたように思います。金メダルに対する思いが強すぎたのでしょうか。
詳しくはローマ世界水泳のまとめをご覧ください

昨年の世界水泳ローマ大会に向けては、藤木麻祐子コーチの奮闘振りで報道ステーションの特集を作り、さらには月曜日の夜7時から放送されたドキュメンタリー宣言で、日本選手たちのスペイン遠征の様子など新生ジャパンの模様をドキュメントするなど、灼熱の太陽のもと、水しぶきにはじける肢体の美しさを映像化する作業に追われていました。
どっぷりシンクロ漬けになった夏。

それにしても、日本チームにとっては大きな試練となった大会でした。
初めて出場した世界選手権で6位に終わって、大会終了後、ジャパンの選手たちのうち、4人がはやばやと引退していったのには、私自身にとっても大きなショックでした。選手たちにしてみれば、あれだけ苦しい練習をしながら、この結果・・・という気持ちがあったのかもしれません。
さらには北京五輪のあと、日本代表コーチに抜擢された若いコーチたち3人がこの世界水泳ローマ大会後、全員辞任し、その中にはシンクロ界と一切の関わりを断った人もいます。日本シンクロの歴史にとって、これほどの危機的状況がいまだかつてあったでしょうか。

このまま沈み続けるのか、浮上のきっかけをどこかでつかんでくれるのか。見守ることしかできないのが、歯がゆいほどです。


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