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8月14日 北京五輪をより楽しむために Part4
〜国境を越える日本女性たちの闘い〜

4月16日から北京で行われたオリンピック世界最終予選、
大陸の代表としての出場権を持っているロシアやアメリカがいない中、
スペイン、中国、そして日本が順位を激しく争う大会となりました。

藤木さんがコーチになって5年目。脚を締めて、あわせる技術はすっかりスペイン選手のものになり、技術点、芸術点ともに高いスコアーを獲得します。

これを追ったのが中国。
井村雅代コーチが指導してから15ヶ月。双子の奨文文と女亭々は確実に力をつけてきました。
長くて、まっすぐな脚、そして、柔軟性を武器にしています。


  
中国チーム 井村雅代ヘッドコーチ


井村:「今までぜんぜんあわなかったんですもの。まっすぐな長い足というのはこんなに大変なのかと思いましたね。下で一度違えば上に行けばこんなに違うんですよ。だから本当大変。」



井村コーチは完璧な同調性を求め、二人の脚の動きをあわせるとともに、これまで中国選手がやったことのないひざを使った動きを新たに要求したのです。



次々に進化をするテイテイとブンブン。
中国のデュエットに対して9.8を出す審判もいて、スペインに次ぐ得点を獲得しました。




井村:「中国の選手が本物になりつつあるというのを世界のジャッジは見てくれたんじゃないですか。」



そして日本。



オリンピックでメダルを取り続けてきたこの種目。北京で落とすわけには行かないと、これまでにない取り組みをしてきました。

日本を代表する作曲家にテーマ曲を依頼したり、舞踊の第一人者に振り付けを頼み、シンクロの概念を変える動きを追求してきました。

 

手も足も絶え間なく動き続け、これまでになく濃い内容になっています。
演技を終えると動くことも出来なくなるほどです。


金子:「双子みたいにぴたっとあっているんだったら、単純な動きがきれいなんだけれど、この二人は単純な動きなんてしてもぜんぜん魅力がないので、難度の高いことをやりこなしていく姿がね。」


 日本水泳連盟 金子正子シンクロ委員長

コンテンポラリーダンスの要素を取り入れ、激しい動きを追求した日本。

 
 

しかし得点は伸びず、スペイン、中国に続いての3位。
オリンピック本番でロシアが入ってくれば、オリンピックでのメダルは厳しくなってしまいます。

金子:「ちょっと作品に懲りすぎてパワーを出すという力までいたらないできてしまったので、五輪までには…」



オリンピック本番まで後3ヶ月。
デュエットもチームも、各国ともに最後の詰めに入ります。

北京オリンピックでシンクロの歴史は大きく塗り替えられるのでしょうか。



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【編集後記】
ロサンゼルス五輪から日本のメダルをずっと見続けてきた身としては、正直、日本が危うい立場にいるというのはなんとなく妙な気分です。しかし、私が大好きなシンクロナイズドスイミングという競技を俯瞰で見れば、今回のように誰が勝つかわからないようなスリルこそスポーツの醍醐味だと思うのです。大会ごとに同じメンバーが表彰台に上がるほうが変だと思うのです。

これまでもこのコーナーでご紹介した室伏選手や李寧さんのスポーツに対する考え方を思い出してみると、納得できるでしょう。
勝つこと、負けることは結果に過ぎないのです。

スポーツは目標に向けて、自己のすべてをかけて挑んでいくこと…

北京でどんなドラマがあるのか、ぜひしっかりと見届けたいと思います。
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