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2月13日
一輪車に賭ける青春 〜安藤勇太 2006夏〜
(報道ステーション・プレイバック)
日本の中で、スポーツという言葉の定義が以前より広がってきたように思います。
かつてはオリンピックで行われるような「競技」を中心にスポーツと呼んでいました。
日本では「武道」の影響もあって、スポーツはつらい練習を経て、鍛錬していくものというイメージがあります。
しかし個人個人の生活の中に「体を動かす」ことの大切さや楽しさがわかってくるにつれ、身近で楽しめるものも「スポーツ」と呼ぶようになってきています。
たとえば、中高年に人気のあるウォーキングは心身ともにリフレッシュできるもので、実に楽しいスポーツです.
もともとスポーツは「disport」を語源としています。
「気晴らし」や「楽しみ」と言う意味です。
日本でもようやくスポーツが本来の意味を獲得したといったところでしょうか。
プレイヤーという言葉も「遊ぶ人」ですからね。
さて、最初はまったくできなかったのにこんなに乗れるようになった、もっと上手になりたいという意欲を掻き立ててくれる一輪車も今では立派なスポーツです。
一輪車を大人になっても楽しめるスポーツとしてもっと認識してもらいたいと奮闘する若者を取材しました。
2006年夏に放送した企画です。
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宮嶋:
「一輪車というと小学生が遊ぶものという印象がありますが、実はこれを
ひとつのススポーツとして確立させたいと奮闘している若者がいます。」
安藤勇太さん、早稲田大学の2年生です。
安藤:
「一輪車競技自体がこどもにだけしか魅力がないわけじゃなくて、
大人になっても続けるスポーツというものに変えていけるんじゃないかと思っているんです。」
一輪車の競技にはさまざまな部門があります。
よく知られているのは演技部門。
安藤さん自身も、依頼があればパフォーマンスを披露することもしばしばです。
大学のイベントがあったこの日、
安藤さん、21歳の誕生日をみんなに祝ってもらう形になりました。
しかし、安藤さんが今真剣に取り組んでいるのはパフォーマンス部門ではない、
レース部門です。
安藤:
「世界で一番速く走りたいし、ただ一番よりももっと速くもっと速くというのが自分の中にある。」
安藤さんは700Cというクラスでの100m世界記録保持者でもあるのです。
スイスのチューリッヒから西へ電車で1時間。
ランゲンタールという町で、国際一輪車競技大会が幕を開けました。
7月23日 一輪車国際大会 スイス・ランゲンタールにて
宮嶋:
「スイスの小さな町ランゲンタールに一輪車の乗り手たちがやってきました。二年に一度の世界チャンピオンを決める大会のはじまりです。」
世界26カ国から900人余りの一輪車ライダーが集いました。
15歳のときから出場している安藤さんにとって、今回が4度目の国際大会。
その光景は毎回新鮮です。
ただひたすらにペダルをこぐ子供から、おじいちゃんまで、
老若男女、その年齢の幅の広さは驚くばかりです。
みんなが一輪車を楽しみ、友達の和も家族の和も大きくなっていきます。
安藤:
「日本ってどちらかというと小学生が乗っているって言う感じ何ですけれど、もちろんこっちも小さい子も乗っているんですが、
大人もどんどん乗っていて、
日本ももうちょっと大きい世代にも普及していくといいのになって思う。」
いよいよ安藤さんの出番が近づいてきます。
自らが世界記録を持っている700Cクラス 100mのレースです。
一瞬の気の緩みや欲は、落車に結びつきます。
無心で駆け抜けた100メートル。
見事な優勝でした。
宮嶋:
「いやあ、おめでとう!」
安藤:
「いやあ、緊張した。
やはり負けられないところですからね。記録保持者としても。」
表彰台の中央に立つ安藤さんはうれしさと安堵感が入り混じった表情です。
振り返ればいろいろありました。
安藤さんはこの勝利を簡単に手に入れたわけではありません。
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