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2月23日 大舞台に強くなる 〜岡崎朋美大研究 06トリノ五輪〜
(報道ステーション・プレイバック)

あの荒川静香さんのイナバウアーが日本中を席巻してから早一年。
トリノ五輪はもう遠い記憶の中にあります。
選手にとってオリンピックは4年に一度のチャンスです。
その機会をどう捉えるかは人それぞれです。
どの選手にもオリンピックの場でのドラマがあります。
そのドラマの裏を覗いてみると、
そこは人間の心理が作り出す異空間、非日常の世界が広がっているのです。
魔物が住むというオリンピック。
ここで力を出すためには何が必要なのでしょうか。
昨年のトリノ五輪ではスピードスケートの岡崎朋美さんの行動をじっと見つめていましたが、そこにはオリンピック攻略法と言ってもよいいくつかのポイントが見て取れました。
これは2006年3月に報道ステーションで放送されたものをまとめたものです。
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トリノオリンピック日本チーム主将、岡崎朋美。
大舞台で力を出せない選手が多い中、メダルにあと一歩の4位入賞を果たした岡崎さんはオリンピックが大好きと言います。
なぜ岡崎さんはいつも大舞台でのびのびと力を発揮しているのでしょうか。



大舞台で力を発揮する方法
岡崎朋美大研究


オリンピックが終って日本に戻った岡崎さんは大忙し。
応援してくれた人々や学校へのあいさつ回り、
さらにはテレビ出演などでまさに分刻みのスケジュールです。

岡崎:「ずっと毎日なので、午前、午後と、練習しているほうが楽です。(笑い)
トレーニングウェアしかもっていないので、服が大変です。(笑い)」


 
 
 


この日は徹子の部屋の収録です。
撮影用のメイクにテレ気味です。
岡崎:「だめだ!笑っちゃう」

珍しく、岡崎さん、ちょっと緊張気味でスタジオに入ります。
この収録で、岡崎さんから突然、周囲が唖然する質問が飛び出したのです。




徹子さん:「質問って何ですか」
岡崎:「ザ・ベストテンのころからファンだったんですが、ずっと髪型のことが気になっていて、その髪型はどうやって作るのか知りたいんです。」

徹子さん、思わずのけぞってしまった質問でした。
無邪気に聞きたいことをずばりと聞いてしまう岡崎さんに魅了されてか、
なんと、収録後、徹子さんが控え室にやってきて、
たまねぎ頭の作り方を伝授してくれたのです。


  


宮嶋:「徹子さん、今まで本番中に徹子さんの頭はどうなっているかと聞かれた方は、ゲストでいらっしゃいますか?」
徹子さん:「いないと思いますよ。」
岡崎:「で、この頭です。」

なぜ、岡崎さんは聞きづらい質問をさらりと聞けるのか、
スポーツ心理学を専門にする辻秀一さんに伺ってみました。



「スラムダンク勝利学」の著者
スポーツドクター 辻秀一さん


辻氏:「一般にわれわれが世の中でいう常識などは左脳って言うんですが、
彼女は左脳で分析することよりも、、
もっと感覚的な、無邪気っていうのかな、いわゆる子供力とでもいいましょうか、
岡崎さんは右脳が働いたまま大人になってきているんだと思いますね。」



右脳人間


どうやら岡崎さんは右脳人間のようなのです。



宮嶋:「これまで多くのオリンピック選手を取材してきましたが、
今回、トリノオリンピックでの岡崎朋美選手の行動に驚かされることがいくつかありました。
そうした裏に岡崎さんがオリンピックという大舞台で力をいつも力を発揮できる秘密が隠されているのかもしれません。」



トリノ五輪の岡崎朋美
驚くべき行動 レース4日前


トリノ入りして俄然調子が上がってきた岡崎選手。
100分の1秒でも速いタイムを出すためにと、
長田コーチがスケートの刃の位置を微妙に変えていました。

長田監督:「カーブでの失速を少なくさせようって言うんで、
今回は思い切って、大幅に変えたんですけれどね、」


 
富士急行スケート部 長田照正監督                              -


岡崎:「大変でしたけれど、
これを本当はセンターだったんですけれど、ちょっと外にふったんですよ。
全部。外に振ったんです。こっちも外側に、振ってるんですよ。」
宮嶋:「じゃあ真中に刃がない?」
岡崎:「ないですね。」

苦手なコーナリングを少しでもよくしたいと言うコーチと選手の決断。
最終的に刃の位置が決まったのが、なんと、レースの4日前。



レース4日前に刃の位置が決定


それに対応できる運動神経もさることながら、
平然と受け入れる心の余裕には驚かされました。



トリノ五輪の岡崎朋美
驚くべき行動 レース2日前


トリノ入りしてから風邪を引いてしまった岡崎さん。
ほかの選手にうつさないようにと隔離されてしまい、
選手村で気晴らしのおしゃべりもできなくなってしまいました。
部屋でじっとしていることが耐えられなかったのか、
なんと、レース2日前に、食料を買いに街に出て行ったのです。


 
                           選手村


岡崎:「村にはなんとなくいたくないんですよね。
私は居心地が良くなくて、じゃあちょっと出ようかな、ちょっと気分転換。」

これはどういうことを表しているのでしょう。
スポーツドクターの辻さんに聞いてみましょう。

辻氏:「多分選手村はメダルが出なくて雰囲気がどんよりしていたと思いますよ。
そのどんよりとした中にいると、人間って言うのはその影響を受けるので、
どんよりしてセルフイメージが小さくなるんですよ。」

セルフイメージ、自分自身のイメージを大きく持つことが、
オリンピックのような舞台では大切になってきます。

岡崎さんは、レースの2日前に街に出かけて、
セルフイメージを大きくして帰ってくるということを自然にやっていたのです。
 
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