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11月5日 渋井陽子と土佐礼子 その強さの裏にあるもの

 
第一回の東京国際女子マラソンから取材をしながら、ずっと気になっていたことがありました。それは監督たちが口にする言葉「女子選手は難しいからね。」「女の子同士でジェラシーがあるからね。」といった言葉でした。高橋尚子選手を育てている小出監督ですら、「女子選手は一人しか見られないね。」といっているほどです。

ところが、このところ急成長をしてきた土佐礼子選手と渋井陽子選手は、ともに三井住友海上陸上部に所属し、鈴木秀夫監督がみています。同時に世界に通じるランナーが二人も同じチームから育つと言うのは大変珍しいことです。鈴木監督は一体どんな方法で二人を育てているのでしょうか。その模様をここでお伝えします。

これは10月21日にニュースステーションで放送したものをベースにさらに詳しく書き直したものです。全7ページの長い企画ですが、じっくりお楽しみください。 

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<渋井陽子と土佐礼子>

渋井陽子選手は現在23歳。
バイタリティーあふれる走りと、キュートな笑顔で陸上ファンをとりこにするだけでなく、どすの聞いた声で自由奔放に語られる渋井語録で今やスポーツ界でも話題の主となっています。

 

 

渋井選手は去年1月の大阪国際で初めてマラソンに挑戦し、いきなり2時間23分11秒をマークして優勝してしまいました。この記録はその当時の初マラソンの世界最高記録でした。
そして、今年10月13日のシカゴマラソンに挑戦。自称「筋肉走り」という力強い走りで途中まで日本最高記録を大きく上回るペースで飛ばしていきました。最後は向かい風の影響もありペースダウンしてしまいましたが、日本歴代二位の2時間21分22秒でゴールイン。いけるところまでいこうというガッツが見ているものにとっても心地よいレースでした。

土佐礼子選手は26歳。
松山大学の頃は特に実績があったわけではありませんが、三井海上陸上部に入ってから、周囲だけでなく本人も驚くほどの成長ぶり。とにかく大きな崩れがない安心感のある走りが身上です。

 

 

土佐選手は00年3月の名古屋国際女子マラソンと、11月の東京国際で続けて2時間24分台をマークし、その安定感を買われ、エドモントンの世界陸上の代表に選ばれました。
初めて日の丸をつけて走った01年8月の世界陸上では、ルーマニアのシモンと熾烈な戦いの末に、銀メダルを獲得。ここでもその失敗のなさを見せ付けました。
更には今年4月のロンドンで2時間22分46秒の自己ベストをマーク。これは日本歴代4位のタイムです。

世界に挑む二人の選手はいまアテネのオリンピック代表の座を狙っています。
同じチームにいながらどのように二人は自分の力を伸ばしつづけているのでしょうか。
この2年間で急成長した渋井陽子選手について、鈴木監督は次のように話します。

鈴木監督「今の渋井には土佐から受けた影響は大きいですね。土佐は学生時代に特に記録を持っていたわけじゃないですけれど、そんな選手でも努力すればここまでなるんだって言うことがわかって、渋井はがんばったんじゃないですかね。」

宮嶋「土佐さんで渋井さんが変わった?」

鈴木監督「土佐から受けた影響は大きいですね。渋井もそれをわかっていますし、土佐の練習に対する姿勢とかわかっていますから、だから負けたくないという気持ちも持っていますよね。仲がいいんだけれど、試合に関しては負けたくないんですよね。」

渋井選手と土佐選手、この二人を上手に見守っている鈴木監督のコーチ法にはこれまでの常識を破るいくつかの超管理術がありました。

→次のページは鈴木監督の超管理術
   
 
    
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