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8月26日 岡崎朋美さんへのロングインタビューです


■オリンピックの会場

宮嶋:そういえばとっても驚いたんですが、
ソルトレークに入ったときからずいぶん岡崎さんの表情が変わったんですよね。年末の選考会のときまで絶不調で、オリンピックの代表に選ばれるかどうかも危ぶまれて、長野では本当に深刻な表情だったのに、ソルトレークに入ったとたんにがらっと変わった。

 


岡崎:あの会場ののりというか、オリンピックに出られて、そこの会場で練習し始めてから変わるんですよね、体の状態が。オリンピックの前にワールドカップが何戦かあったんですけれど、同じソルトレークの会場なのに、オリンピックの時となんか違うんですよね。

宮嶋:なにがどう違うんですか。その本番の会場で練習をはじめるとどうなるんですか、身体が?

岡崎:すごく軽くなるんですよね。

宮嶋:重くなるという人の話しはこれまでよく聞きましたけれど。

岡崎:個人差だと思うんですけれど、私は長野のときも体がすごく軽くなったんですよね。
オリンピックになって、オリンピックマークを見ると気持ちが盛り上がるんでしょうね。だから、何でも共通するのは頭の思考だと思うんですね。それをいろいろ回転させて頭を使ってみるというか・・・・

宮嶋:それは今までと違うアプローチの仕方?

岡崎:そうですね。今までは体を動かして、一日一日の自信をつけていくというやり方だったんですけれど、これぐらいの年齢になると、使いすぎてもいけないというところもあるので。若いころはがむしゃらに何も考えないですよね。質より量という感じでやってきた若いころ、同僚とかに負けたくないってやってきて、がむしゃらにやってたんですけれど、あるとき体力をカバーしていくのはメンタルしかないなと気づいたんですよ。

宮嶋:朋美さんは、昔は強くなりたい一心でがむしゃらにやっていた。そして今は?

岡崎:今ももちろん強くなりたい。まだまだ上を狙いたいというのはあるんですが、それもひとつの目標として、今度は、記録に挑戦できるのであれば挑戦していきたい。まだカルガリーでの大会もありますし、ソルトレークの高速リンクも出来ましたし、また他のいい所にリンクができるかもしれないですからね。私もスケート人生長いわけではないので、記録が狙えるのであれば、そういうリンクで可能性を追求したいですね。

宮嶋:記録への挑戦ですね。ソルトレークで未知のスピード体験、初めて37秒台の世界を覗いたわけですが、いかがでしたか?

岡崎:やっぱり100メートル通過で10秒38というのがスラップスケートでもノーマルスケートでも1番速いタイムなので、それが出て、後400m、あの時すごいスピード感、無理のないスピード感でしたね。最後の伸びもよく伸びてくれて。

宮嶋:あの日本記録37秒77を出したときの感覚は、今までのレースの中でも得られないものだったんですか。アウトスタートですから、スピードが乗る第二カーブは小さな弧を描くインコースカーブでしたよね。

岡崎:そうですね。ちょっと苦手な最後インコースだったんですよ。そこをどう回ろうかなって考えていて、恐怖感がいつも出てしまうので、出ないようにってインを責めるレースをしたんですよね。これはオリンピックなので、転んでもいいから思いっきりかなきゃいけない、一回しかないって言う気持ちで入っていたんで、そうすると、意外と何だッて・・・

宮嶋:なんだ、できるじゃないって・・・

岡崎:そう、そんな感じで、出カーブ出た時、いいスピードがあったんで、このまま抑えて、あせらずにゴールすればいいかなって。

オリンピック本番のレースで、スピードの恐怖感に打ち勝ち、第二カーブを見事攻略しての日本新記録!
実業団に入って13年目に見つけたスケートの極意でした。

 

 

 

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