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3月13日 ロンドン五輪へ!シンクロ井村チャイナの大作戦

ようやくまとめる時間ができました!とまずは言い訳をしてごめんなさい。
去年11月1日に報道ステーションで放送した、シンクロナイズドスイミング中国ナショナルチームのヘッドコーチ井村雅代さんを追った企画をこのページでご紹介いたします。

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ロンドン五輪を見据えて 井村チャイナ


 

シンクロナイズドスイミング中国ナショナルチーム。
ヘッドコーチとして指導にあたるのは、日本人の井村雅代さんです。

61歳になった井村さんは
2011年4月から再び中国の指導を任され、ロンドンオリンピックを目指しています。


  

北京オリンピックでは、着任から1年半で、中国を世界6位の座から一気に表彰台に乗せました。
来年のロンドンでの目標は?



井村:「金メダルに挑戦します。」



宮嶋:「ロンドンオリンピックに向けて、勝負師井村雅代が着々と進める作戦とはどんなものなのでしょうか。実は、井村さんが金メダルを目指すのはこれが初めてではありません。」


  

  

  

1984年のロサンゼルスオリンピックでシンクロが正式種目として採用されて以来
井村雅代さんは、日本のシンクロ界を牽引し、6度のオリンピックでメダルを獲得してきました。

1984年ロサンゼルス五輪 ソロ・デュエット 銅メダル、
1988年ソウル五輪、  ソロ・デュエット 銅メダル
1992年バルセロナ五輪、ソロ・デュエット 銅メダル
1996年アトランタ五輪、チーム 銅メダル
2000年シドニー五輪、 デュエット・チーム 銀メダル
2004年アテネ五輪   デュエット・チーム 銀メダル

そして、ついに2001年の世界水泳福岡大会、デュエットで立花・武田を世界一の座に押し上げたのです。


  

2004年、アテネオリンピックで銀メダルを獲得した後、こんな話をしてくれました。


 
2004年アテネ五輪直後

井村:「これは日本人には向かない種目だなんて片付けられるのは私は嫌だったから、 何か方法がある、何か方法があると追求し続け挑戦し続けた30年間だったかな。」


  

  

  

その後、中国からの強い要請を受けて、中国ナショナルヘッドコーチに就任した井村さん。
外国人コーチとして、結果を求められる仕事ですが、日本選手を教えてきた30年間とはまた違う手ごたえを感じているようです。

井村:「あつかましいこと言うたらだめですけれど、私は中国を指導するようになって、コーチ力上がったと思いますね。審判員から点を取るための、ある意味突貫工事もできるようになった。基礎から家を建てるようにもなったけれど、突貫工事で家を直せるようにもなった。そういう意味で、コーチ力上がったんじゃないかと。人生苦労せにゃあかんなと。」



  
2011年7月 世界水泳上海大会

実は、その突貫工事で世界のシンクロ関係者をあっといわせたのが、今年7月に行われた世界水泳上海大会でした。

井村さんがロンドンオリンピックを前に再び中国を指導し始めた様子をみて、各国のコーチたちは戦々恐々。
特にこれまで2位の座を守ってきたスペインは中国の成長ぶりに心穏やかではありません。
スペインのアナ・タレスコーチを直撃してみました。

アナ:「まあ、面白いわよね、こういう試合をするのもね・・はははっ・・・」
口では面白いといいながらも、お手上げといった感じの苦笑い。


  

中国といえば、双子の姉妹、蒋婷婷と文文が最も知られた選手です。
この上海の世界水泳でも、デュエットフリーでこの双子の姉妹が、美しい鶴を演じ、スペインを押しのけて、堂々の銀メダルを獲得。
ここまでは予想された出来事でした。


  
デュエットフリー 蒋婷婷と文文 2位

ところが、・・・・よく見ると、中国からもう一組デュエットに出場する組があるではないですか。



宮嶋:「あたらしいデュエットが誕生しました。なんと中国の国内選手権であのティンティンブンブンを破ったというのですから、これは注目です。」

この2ヶ月半、蒋婷婷、文文の双子とは別メニューで、井村コーチが付きっ切りで教えてきたのが 黄雪辰 と 劉鴎 の二人です。
チーム選手の中から井村コーチがその素質に目をつけて選びました。



劉鴎 黄雪辰

劉:「まさか、こんなチャンスをもらえると思っていませんでした。」
黄:「うれしいです。ちょっと興奮してます。」




黄雪辰はソロの選手としても有望で、井村コーチが「中国の顔になってほしい」と期待している選手です。




「こんにちは!私はドラえもんとドラ焼きが大好き。おいしい!」
ひょうきんものの劉鴎は、中国チームのキャプテンです。




オリンピックと違って、世界水泳ではフリー演技とテクニカル演技が、独立して2つの種目として分かれています。

そこで、井村さんは、「美しさで勝負をする」フリーに、蒋婷婷、文文の双子の姉妹を出場させ、技術を見せる「テクニカル」に黄と劉の新しいデュエットを出すことにしたのです。



デュエットフリー 蒋婷婷と文文
デュエットテクニカル 黄・劉

井村:「実は、蒋婷婷と文文に並ぶきれいなデュエットはもうないです。あれは世界一美しい手で、世界一美しいです。こよなく美しいけれど、ひとつ間違ったらか弱いデュエットに見える。だからそうではなく、こんなんもいるよというのを出したかったんです。」

宮嶋:「正反対の非常に重厚感のある・・」

井村:「そうです。まったく違う二組ですね。」


  

いよいよ、デュエットテクニカルに、新しい二人、黄雪辰と劉鴎が登場します。
初めての大舞台というのに、このリラックス振りです。


  

176センチと173センチの大柄な二人、
重量感のある演技で、ひとつひとつのエレメントを正確にこなしていきます。
パワフルで、存在感のある脚。
名前も知られていない二人が、わずか2ヶ月半の特訓で、スペインを破っていきなり銀メダル。


  

中国人コーチが「これは奇跡だ!」と叫んだほどです。



試合直後のミックスゾーンで、井村さんは堰を切ったように話し始めました。

井村:「朝8時15分からから、気がつくと夜の10時過ぎたころまで、練習した。この二人は嫌な顔ひとつもしなかったし、そんな日を何日も続けたんですよ。上海の合宿で、この二人は偉い」

宮嶋:「ほめられましたよ!」

黄雪辰劉鴎:「謝謝!」


  

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