ことばのアレコレ

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  • YUMIKO MATSUO

2019/10/10かるたで学ぶことわざ

『グッド!モーニング』の『ことば検定』に
「盗人の昼寝」(ぬすっとのひるね・ぬすびとのひるね)ということわざが出てきました。
今はあまり使われていませんが、
いろは47文字に対応した『いろはかるた』の1つ『江戸いろはかるた』の
「ぬ」の札になっていることわざで、
「何事をするにも、それなりの思惑がある」という意味だそうです。
ちなみに江戸ではなく上方で使われていた「いろはかるた」では、
「ぬ」の札に書かれているのは「糠に釘」なのだとか。

…ちょっと気になったので、この2種類のかるたに注目!
江戸の「いろはかるた」と京都の「いろはかるた」を比べてみることにします。
内容にどれくらい違いがあるのでしょう?

意外や意外、ほとんど違うことわざが採用されていました。

たとえば

「い」の札は…
江戸「犬も歩けば棒に当たる」(①でしゃばると禍に遭うというたとえ。②動き回れば幸運にぶつかるというたとえ。*本来の意味は①)
京都「一寸先は闇」(将来についてはまったく予測できないというたとえ。)

「ね」の札は…
江戸「念には念を入れよ」(手ぬかりのないように細かく気を配る。)
京都「猫に小判」(効果がないこと、反応を示さないことのたとえ。その価値がわからない人にとってはなんの役にも立たないたとえ。)

「あ」の札は…
江戸「頭かくして尻かくさず」(悪事や短所の一部だけを隠して全体を隠したつもりでいること。)
京都「足元から鳥がたつ」(身近なところで意外な事件が起こるたとえ。)

『京いろはかるた』の解説書によると、今のようないろは順のかるたが生まれたのは江戸中期だそうで、京都の方が古い歴史を持つそうです。江戸後期におこった『江戸かるた』は、その最初の句からのちに『犬棒かるた』と言われ、全国的に浸透したのだとか。

採用されているものが違えども、
江戸も京都も耳にしたことのあることわざがたくさんありました。
今も脈々と受け継がれることわざは、諸先輩方の経験と知恵の結晶。
かるたで遊びながら人生のヒントを学ぶのもいいですね。
(ことわざの意味は『成語林 故事ことわざ慣用句』(旺文社)から引用しました。)

担当アナウンサー