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2020年10月22日

脚本を手掛ける中園ミホ氏に本作に込めた思いを直撃!!

構想7~8年――。「常々、名前の出ない人が世の中を動かしていると思っていた」
「リーダーによってあおりを食うのは国民だと実感した今、このドラマがやりたい!」

――名もなき黒子である秘書たちが、裏で悪を懲らしめて世の中を動かしていくという物語を、今このタイミングで書こうと思ったきっかけを教えてください。

 実は7~8年前から“名もなき秘書たちが世の中を変えていく”という話を書きたいと思っていたんです。ある時、内山聖子エグゼクティブプロデューサーに「何か書きたいものはないですか?」と聞かれて、その話をしたら即決だったので、もっと早く言えばよかった!と思いました(笑)。

――そんなに前から構想を練られていたんですね!

 例えば、『西郷どん』って実は殿様の密偵、秘書なんですよ。私は、常々そういう人たちが世の中を変えているんじゃないかと感じていたんです。よく出席する飲み会のメンバーにも政府の裏方の人たちがいるんですけど、そういった表に名前の出ない人たちが実は世の中を動かしているんじゃないのかな…と思っていたので、いつかそういう話を書きたかったんです。
 パンデミックで家にこもっていた時期に、いろんな国のこれまで知らなかった大統領をニュースで見る機会が増えましたよね? その時に、改めて国のリーダーに私たちは命を預けているんだな、と感じたんです。良いリーダーとそうでないリーダーで、身の危険や健康が脅かされることに差が出るんだということをヒシヒシと感じて、今このドラマをやりたい!と。

――いろいろと“もの申したいことがある!”というお気持ちだったんでしょうか?

 ほかの国とつい比べてしまったり、日本はどうなっているのか、私の住んでいる東京都はどうなんだろうって、考える時間がたくさんあったので、リーダーによって、一番あおりを食うのは国民だな、ということをすごく感じたんですよね。
 私は何かを正面から批判することが苦手で、茶化して笑うくらいが得意だったんですけれども(笑)、さすがにその頃は「どうなってるんだ!」という気持ちになっていたので、そういう人たちを、人事権も何ももたない女の子たちがこっそり退任させたりしたらステキだな、とファンタジックに考えていました。

魅力的なキャストにワクワク!「ドラマを一番楽しみにしているのは私です(笑)」

――同じ組織ではなく、政財界や病院、警察など別々の組織に属する秘書という設定が斬新だと思うのですが、あえて別々の組織にした理由をお聞かせください。

 何十年も連続ドラマを書いているので、一つの会社にしないとセットも成立しないし、絶対そっちの方がいいのはわかってるんです(笑)。ただ今回は最初から、あらゆる組織の女性たちが、夜どこかに集まってコソコソ相談したことから世の中がガラッと変わっていくという物語をイメージしていたんです。金融、警察、病院、都政…こういう組織の優秀な秘書が集まったら、世の中をすっかり変えられるんじゃないかという思いから、セットなどが大変なのはわかっているんですけど、あえて別々にしました(笑)。

――“取材の中園”と言われるほど、中園さんはかなり深く取材をされることで有名ですが、秘書や敵となる権力者たちについて、今回はどういうリサーチをされたんでしょうか?

 私はいつもものすごく取材するんですけど、今回の秘書に関しては、内山さんが元秘書なので、教えてもらおうと思っていました(笑)。内山さんもいろいろと取材してくれていましたし…。あとは、飲み友だちの政府の方に連絡しましたね。普段の私は“飲む”のが取材なんですけど、今はそれもできないので、メッセージのやり取りや、電話で取材しています。

――いろいろな業界の秘書、そして元秘書を演じるキャストの皆さんの顔ぶれをご覧になった時の印象をお聞かせください。

 すごく魅力的な皆さんが集まってくださったので、ドラマを一番楽しみにしているのは私だと思います。秘書の皆さんもそうだし、ラーメン屋さんのボスもカッコイイですよね。久しぶりに江口洋介さんにお会いして「あぁ、こんなに渋い大人になられて、ますます素敵になったなぁ」と思いました。あとは、大好きな岸部一徳さん! 「私、こんなに悪い人を書いたことがない!」というくらいのヒール役をやっていただくことになりました。

――登場人物それぞれが抱えている複雑な事情が描かれていくのも奥が深いですよね。

 特に千代(木村文乃)は、一番苦汁をなめてきた人なので、職歴もほかの人とひと味違う感じになっていますし、いろんなものを背負っている人なので、ちょっとミステリアスにもしたかったんです。ほかの秘書もそれぞれスネに傷をもっているというか、いろいろなドラマを抱えている人たち。彼女たちの自立の話でもあるし、問題を乗り越えていく話でもあるので、そのあたりも楽しんでいただきたいですね。

決めゼリフは『名乗るほどの者ではございません』&『懲らしめてやりましょう』
セリフを言いながらの執筆は、「本当に楽しくて、とにかく気持ちいいです(笑)」

――今回の決めゼリフ「名乗るほどの者ではございません」や「懲らしめてやりましょう」は、どういう時に思い浮かんだのでしょうか?

 実は、「お前たち誰なんだ!」って言われた時、彼女たちはなんて答えるんだろう…と考えた時に、「名乗るほどの者ではございません」って言うんじゃないかなと思ってサラッと書いていたんです。そしたら内山さんが「これ、面白い!」と言ってくださったので、じゃあ決めゼリフにしようと(笑)。
 私は、ちょっと時代劇っぽいんですけど、サラン(シム・ウンギョン)が言う「懲らしめてやりましょう」というセリフも好きなんですよね。弱い人を踏みつけるような人たちを、みんなはどうしてやりたいんだろう、と考えた時に、きっと懲らしめてやりたいはずだ、と。これは絶対に言わせたい!と思っていました。

――きっとどちらも流行ると思います!

 そうなればうれしいです(笑)。名もなき人たちの話っていうのはずっと頭にあったんですけど、このセリフをそんなにフィーチャーしていただけるとは…じゃあ、流行らせましょう(笑)!

――中園さんは声に出してセリフを言いながら執筆されると伺ったんですが…。

 そうなんです。今回はスッキリするセリフばっかりなので、本当に気持ちいいですよ! 「ドクターX」の大門未知子は、医療用語もあるから難し過ぎて書きながら言えないセリフもあったんですが、今回はみんなシンプルなことしか言わないし、本当に気持ちいいです(笑)。書いていて気持ちいいから私自身もすごく楽しいので、それが見てくださる皆さんにも伝わるといいなと思っています。

「この国が回っているのは、名もなき人たちがけなげに頑張っているから…!」
「そういう人たちに見てスカッとしていただきたい」疲れを吹き飛ばす痛快ドラマ誕生!!

――中園さんが生み出すヒロインに勇気をもらったり、人生を見つめ直すきっかけになったという視聴者の方も多いと思います。自立した強い女性を描くことへのこだわりはあるのでしょうか?

 自分自身がずっとフリーランスで働いてきたし、日本はなんだかんだ言って、先進国の男女平等指数が121位と、いまだにものすごく男社会ですよね。その中で、不安定な派遣の方もそうですけど、皆さん今の労働体系で本当によく暴動を起こさず働いているなぁと思うんです。私は、そういう名もなき人たちがけなげに頑張っているからこの国が回っていると思っていて…。脚本家は、みんなそれぞれいろいろな人に向けて物語を書いているんですが、私はラブストーリーでもお仕事ものでも、そういう頑張っている人たちに、スッキリした気持ちになって「明日も頑張ろう!」と思ってもらえるような、元気になっていただけるドラマを書いていきたいと思っています。

――最後に、放送を楽しみにしている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

 とにかく女性たちがとても魅力的です! 私、女の子たちが仕事の帰りにラーメンを食べている姿を見るだけでなんだかグッときちゃうんです。このドラマはカウンターに並んでラーメンを食べている秘書たちが、裏仕事として人助けをする話なので、仕事から疲れて帰ってきた人、そして今ちょっと疲れた気持ちになってしまっている人、コロナの影響でつらい思いをしている人…そういう人たちに見ていただいて、スカッとしてもらいたいですね。絶対スッキリすると思うので、頭を空っぽにして見てください!