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スウェーデン・ノルウェー編 撮影日記

ファミリー車両の子供たち
物価の高い国ノルウェー
北欧の国々はとにかく物価がべらぼうに高い。中でも特に高いのがノルウェーだ。世界から見れば、ある程度物価の高い国に住んでいる私たちですら、この国では何をするにもいちいち「高いなぁ」と感じてしまう。ノルウェーの消費税は、なんと25%。現状の日本と比べればおよそ5倍の税率なのである。ビールジョッキ1杯は、およそ800円。ワイングラス1杯は、およそ900円。料理のメニューも1000円以下のものを見つけるのは至難の業。外食はぜいたくの極みのようにも感じられる。週末になると、ノルウェーとスウェーデンを結ぶ国際列車は、ノルウェー人が多く利用するらしい。自国よりも物価の安いスウェーデンに、買い出しに出かけるのが理由なのだそうだ。
ノルウェーでは列車の取材時、ノルウェー国鉄の職員が我々撮影隊のサポートをしてくれた。そのうちの一人ミカエルは、日本に仕事で滞在経験があり、日本語がペラペラ。撮影の合間に、ノルウェーの物価の高さについて聞いてみた。ノルウェーは日本よりも平均所得が高いのではないか?そうでなければ、あんな物価の高さでは、やっていけないのではないか?と。やはりその通りのようであった。日本人の平均所得より、ノルウェーの方が若干いいらしい。それでも家族を養ったりするのは、大変なのではないか?
その対策がノルウェーでは採られているのだと言う。まずは妊娠から出産までの医療費はすべて無料。その後も12歳までは医療費が無料なのだそうだ。またノルウェーは世界で初めて父親の育児休暇を一定期間割り当てた国でもある。父親の積極的な育児参加を、国を挙げて支援しているのだ。また教育費も原則無料。義務教育はもちろん、ほとんどの高校や大学まで学費がかからないのだと言う。なるほど、物価は高いものの、ノルウェーは人を育てるのには、優しい環境であると思うに至ったのである。
ディレクター 松井悟
車内で売られている軽食類
ボードーからトロンハイムへ向かう夜行列車の食堂車