世界の車窓から

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モロッコ編 撮影日記

フェズの路地はお店がいっぱい
ロバ来ました!
遮るもののない広大な大地。南から北に移動するごとに、車窓は赤茶けた荒野から、新緑の大地、さらには白砂の乾燥地帯とめまぐるしく変わる。ふと線路上に現れる羊や、それを操る羊飼い。その度に、いちいち「異国に来たなー」と実感。そう舞台は、アフリカ大陸!何から何まで新鮮で、エキゾチックなモロッコの旅だ。ポルトガルの旅から数えて、既に2週間以上。ADの自分自身、現場には随分慣れたと感じていた。しかし、ここはモロッコ。今までとは少し、かってが違うのだ。
北東部の古都フェズでのこと。迷宮都市と称される街は、似たような路地が何百と交差し、ガイド無しに足を踏み入れると確実に迷子。聞いた話によると、2000以上の商店が軒を連ねているらしい。道幅が狭く、車が入れないので、昔から荷物の運搬はロバを使って行われていた。このロバの撮影に、実は一苦労。予兆なく、予想外の所から急に現れ、なかなかのスピードで去って行く。あわててカメラをまわしても、そこにはロバのお尻。上手く撮れずやきもきしたが、ここで列車の「走り」撮影の経験が見事にいかされた。誰からともなくそれぞれ絶妙な位置で待機。ロバが見えたら大きな声で、「ロバ来ました!」と連絡。待ち構えたカメラで見事に撮影。物珍しそうにこちらを見る人を横目に、フェズの街に「ロバ来ました!」の声は響く。この先の人生、この言葉を使用する場面はほとんどないであろう。さすがはモロッコ。
フェズの撮影を終えた後、宿泊予定の街まで列車で向かった。この旅で初めて一人の乗客として乗車。ゆったりと目的地に向かう予定だったのだが、フェズで買ったジャンベという民族打楽器が目につき、そこからは即席のセッション大会となった。この模様はO.A.で、とはいかないが、非日常的な空間の中、普段出来ないことをさせてくれる空気がモロッコにはある。刺激的なモロッコの旅は、やみつきになりそうだ。
アシスタント・ディレクター 白石 竜太
荷物運搬の仕事にくたびれたロバ
フェズ近郊の列車