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 今回は医療現場の構造的な問題「マンパワー不足」を徹底リサーチ。
番組のアンケートを通じて、全国の看護師から新たに寄せられた500を超える "現場の声"、 "ホンネの声"を頼りに、深刻な看護師不足の現状を報告。さらに過酷な状況の中でも、情熱をもって仕事に打ち込む看護師たちの姿を紹介したいと思います。
 前回も触れた『看護師のマンパワー不足』。では、なぜ看護師は人手不足なのでしょうか。現在、全国の病院で働いている看護師の数はおよそ74万8000人。人口に占める看護師の割合は、医療先進国のアメリカと比較しても大きな差はありません。しかし日本は入院患者の数が非常に多いので、患者一人に対する看護師の数は0.47人。アメリカの2.3人に対し約5分の1なのです。つまり、日本の看護師たちはアメリカの5倍忙しいことに。しかも夜間になると、事態はもっと深刻。夜間2人で看護している病院は全体の約半数。特に国立病院では84.1%にものぼります。そもそも夜勤2人体制は、10年前に作られた「看護師確保法」に由来します。この法律の中で、夜勤については「2人以上が勤務するよう努力しなさい」と規定されたのです。が、入院患者が少ないならまだしも、40〜50人もいる病院では、2人の看護師で十分なケアができるはずもないのは明らかです。
 マンパワーの差に加え、日米の看護師は勤務体系も異なります。日本では一人の看護師が日勤と夜勤をこなすため不規則かつ長時間勤務を強いられますが、アメリカは勤務時間帯別に看護師を雇っていることが多いのです。次に異なるのが分業による専門性。アメリカの病院では医師や看護師のほかに採血専門スタッフ、食事の配膳スタッフなど、様々な専門のプロフェッショナルが働いており、その中で看護師の役割は「患者の教育、アセスメント」。患者に早期退院のための指導や、病状のチェックを専門的に行うのです。これに対し日本の看護師は看護業務はもちろん、身体の洗浄、おむつの取り替えなど身の回りの世話まで行います。もちろん患者の世話を専門に行う看護助手というスタッフはいますが、病院の中には看護助手がほとんどいないところも多く、アメリカほど整然と分業化が実践されていないのが現状です。これらのことからも、日本の看護師が常にオーバーワークであることがわかります。
 また、日本では「チーム医療」がアメリカと比べて充実していません。医師・看護師・薬剤師、そして患者がひとつのチームとして情報交換し、分業体制の中で「治療」というプロジェクトを進めていく「チーム医療」だと、それぞれの作業をチェックしあえるので医療ミスも減り、柔軟性をもって治療を進められます。ところが日本では、まだまだ多くの現場が、医師が上司で看護師は部下。対等な立場で意見を言いづらい環境にあります。日本でも最近「チーム医療」が謳われていますが、看護師の立場が向上しない限り、本当の意味での「チーム医療」は実現しないのではないでしょうか。
 そんな中でも「看護師をやっていて良かった」と心から思った感動の体験も数多く寄せられています。「迅速な処置ができたため患者の命を救えた」、「新人のころ患者からかけられた優しい一言を胸に今も頑張っている」、「2年以上担当していた患者さんが亡くなった時に、奥様から患者が最後に自宅へ戻った時に買っていたプレゼントを渡され、感激した」などなど。今回、アンケートに回答して下さった看護師の皆さんのほとんどが「どんなに辛くても患者さんから感謝の言葉を頂くと、それでまた頑張れる!」という心強いメッセージを寄せてくれました。また、決して希望を捨てることなく、献身的な看護を続けることで、回復は絶望的と言われた患者が奇跡の回復を遂げたという体験談も寄せられています。過酷な労働環境にあっても、看護師たちはひたむきに頑張っているのです。
先週の放送で僕の発言に誤りがありました。
ごめんなさい!
スマステ掲示板に指摘があったように医学部では確かに全科を勉強しています。「メジャーな科しか学んでいない」というのは、医師免許取得後の臨床研修での話でした。両者を混同してしまいました。


 今回は個人的な体験に基づいて、お話ししたいと思います。現在は健康状態良好ですが(!)、実は感染症などで過去に5回も入院した経験があるんです。仕事ができなくて落ち込んだり…痛みなどで辛く萎えそうな時、特に入院中に接点の多い看護師さんたちからの温かい言葉や看護には、大変助けられました。ケアという意味で「日本の看護師さんは最高!」と、言う外国人もいます。例えば、僕はよく仕事で海外へ行くので、世界各国のスチュワーデスのおもてなしを受けますが、特に日本の航空会社のスチュワーデスのおもてなしには細やかさを感じます。日本人は料理にしてもそうですが、細やかでおもてなし上手という国民性を持っていると思います。そんな良い部分を、医療の面でも生かし、さらに伸ばしていってほしいですよね。しかし現在の過酷な労働状況では、どんどん余裕がなくなり、せっかくの細やかなケアが失われてしまうのではないでしょうか。一日でも早く環境を改善し、本来の良さが生かせる現場が実現されることを願ってやみません。
(写真家/医療ジャーナリスト 伊藤隼也氏・談)
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