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5月30日 インドの旅

午後6時、夕暮れのデリー国際空港。
荷物の検査も済ませ、日本に帰れるとほっとしてチェックインカウンターに行くと、
とんでもないことが待っていました・・・。
「飛行機が遅れています。しばらく空港で待ってください。」
え?!
「あそこで食事もできるし、おやつだって食べられるしね。」
と笑顔のインド人男性。
ありえないよー。
どれぐらい待つことになるのかも分からないって言うし、することもない。
出発口近くの椅子に座って、
この3日間のインドの旅をまとめてみることにしました。

インドはですね、
とにかく、すさまじいところでした。

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別に人生に悩んでたわけじゃない。
一度見てみたいと思っただけだ。
そもそも3日間で理解しようというのが無茶な話なのだが、インドで暮らしているご夫妻の家に泊まらせていただきつつ、そのインドの北、ほんの一部を駆け抜けてきた。

○ぶつかったり踏んづけたり○
穏やかだなぁ、と思ったのは、ニューデリーの一部まで。
きちんと区画され、各国の大使館などが整然と並び、コンクリートで道路もバッチリ舗装されている。

ところが、一歩バザールや観光地の周辺の路地に入ると一変。
そこには人がギッシリ。「ぎゃー、この中に入るの?!」
先が見えないくらい、土ぼこりで煙っていた。



リキシャだらけ


意を決して、思い切って飛び込むことに。

その後はもう必死だ。
しっかり前を見ていないと人にぶつかりそう。
かと言って足元も見ないと、誰かの落し物や寝そべっている犬や、何かしら踏んづけてしまう。
ひしめき合って、とにかく前に進むので精一杯。
やや広めの道路も、トラック、自転車、バイク、リキシャと言われる三輪のタクシーなどが、好き勝手に(インドの人にとっては法則があるのかもしれませんが)行き交う。
身動きが取れない中で、みーんな相手にどいてほしいと思ってるから、クラクションを鳴らす。それでも動かないからまた鳴らす。
動けないんだからしょうがないじゃない!
その音が重なって大合唱、それはそれはすさまじい喧騒だった。



青空美容室


一方、我冠せず、とマイペースの動物たち。



あぶない〜

 
暑さにバテた?                   あっ、その水は…


道路の真ん中にぼーっとたたずむ牛がいたり、
道端に、野良犬が何匹も具合悪そ〜に寝そべっていたり、
ゴミの山を黙々と漁る山羊がいたり、
メタンガスが湧き出るゴミ入りの水を飲むニワトリがいたり・・・
みんな思い思いに、一緒くたになって生活していた。

○土ぼこりの中の華○
そんな混沌とした雰囲気の中で目を引くのが、サリー姿の女性。



ブルーのサリーが鮮やかです。


Tシャツにジーンズのような女性は一人もおらず、
パステルカラーの黄色、水色、ピンク、若葉色、赤、青などの色鮮やかなサリーが綺麗。
しなやかに揺れて、
バイク(ぴかぴかのかっこいいバイクに乗っている若者が結構いるんです)の後ろに横座りすれば、風になびいてなんとも言えず爽やか。
さらにマニキュア、ぺニキュア、ブレスレットで、私のその時のイケてない格好に比べて、はるかに、女性らしさというか、お洒落を満喫しているようだった。



おばあちゃんもおしゃれ!


○すぐ使えるヒンディー語講座○
インドの方たちって、とっても親切。話しかけると必ず返してくださる。
親切ついでに、女子学生に、電車の中でヒンディー語を教えてもらうことに。
休暇が終わってデリーの実家からアーグラーの大学に向かう途中の女子学生。
真っ白のサリーの制服に、一つに編みこんで束ねた髪。
笑顔が優しい。
今はディスコに興味があるとか。
そんな彼女たちにとって、ヒンディー語は国が定めた公用語。
“Thank you”のことをDhanyavad(ダンヤバードゥ)、
“No thank you.”は、Nahi Chahiyee(ナヒ チャイエ)、
“Where is the toilet?”は、Toilet kaham hai? (トイレット カハン ハイ?)
と言うそうだ。(読み方が違っていたらごめんなさい・・・)

そしてなんと、ほどなくして、実践のチャンスがやってきたのだ!
アーグラーで、どうしようもなくトイレに行きたくなって切羽詰まってしまった私。
子供連れの女性に、「トイレット カハン ハイ?」と言ったら
家のお手洗いを使わせてくださった。感激!ダンヤバードゥ。
ちなみに、屋外の庭のすみに、ドア付きの個室があって、和式に似ていたが、ちょっと違う。
左後方に蛇口があって、その下に取って付きのプラスチックの桶が置いてある。
とっても清潔だった。
そのお宅には犬が飼われていたので、中間層の、少し裕福なお宅だったのかもしれない。

○心のオアシス、チャイ○
3月は、日中、日差しが強く、乾燥して暑い。
水分補給しないと、倒れてしまう。
そんな中、欠かせないのが、甘くて美味し〜い『チャイ』。
エスプレッソやぐい飲みくらいの大きさの紙コップに、紅茶のパックを入れて、そこに温かいミルクを注いでいただく。
それでたったの4ルピー。(1ルピー=2,46円なので、10円くらいでしょうか)
電車の中でも「チャイ〜、チャイ〜、」と売りに来るし、
空港でも、街中でも、どこにでもあるので、乾いた喉も気持ちも癒されたものだ。
チャイ最高。大好き。
ちなみに、屋台で売っているみかんも、甘くてジューシーで大好きだった。

○窓を叩く子供○
車が停まっていると、窓を叩く子供が。
裸足で髪はボサボサ、土まみれの、10歳に満たない子供たちが、花や本や太鼓やうちわや様々なものを売りに来る。
何かちょうだい、買って、と言わんばかりに、上目遣いでおねだり。
どうにかしてあげたいんだけれど、あまりにその人数が多すぎて、きりがないんじゃないかとも思う。
一方で、流暢に英語で話しかけてくる小学生くらいの子供や、登校中なのか、髪の毛を七三にビシっと分けて真っ白の襟付きシャツを着た少年も、すぐ近くを歩いていた。
富んでいようが貧しかろうが、子供には平等にチャンスが与えられるべきだし、彼らに何の罪もない。



野生のインコもいっぱい。


インドに生まれた人たちは、
排気ガスに満ちた空気も、牛の糞もゴミの山も、群がるハエもアブも蚊も、
白く濁ったドブも、川からボコボコと出てくるメタンガスも、
すべて受け入れて生活していた。
ITの発展が目覚しいという一面もあるそうだが、
インフラ整備とか初等教育とかゴミの処理とか、先に浸透させるべきものがある気がして。

んー、でも結局、あまりに色んな人がいて、広大で、混じり合っていて、
あれがインドのどの部分だったのか、よく分からなかった。
なんて奥深い国だなんだ。



真珠みたいに白くて丸くて、ホントに綺麗…


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いやー、ほんと奥深い。
いくら待っても、飛行機はまだセキュリティーチェッキング中だし。
もうそろそろ夜中の2:00ですよ。
そりゃフライトアテンダントの挨拶はGood morningですよ。
「きみの飛行機はおかしいんじゃないのか?!ひょっとしてもう出発してるんじゃないのか?!」
と、私以上に動揺し心配してくれた、はじめましての韓国人。
周囲のインド人達に何事か話したと思ったら、
とたんに私に同情の目が向けられ、最終荷物検査の列の先頭にひっぱられてしまいました。
皆さんなんて親切なの・・・!
同じ経験をすると、言葉がなくても気持ちって、通じてくるものですねぇ。

あ!掲示が変わりました!
搭乗開始です(T_T)
8時間か〜。長かったな〜。
インドよ、ありがとう。
   
 
    
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