ヨーロッパのアルプス地方で生まれたアルペンスキーに対し、ノルディックスキーは 険しい山岳がない北欧・スカンジナビア地方で生まれたスキーだ。爪先が固定されて踵が動くスキーは、なだらかな山野の冬季の移動手段として発生して遊びや競技に発展。現在はクロスカントリーとジャンプ、ノルディック・コンバインドの3競技が行われている。
元々の基本は山野を走るクロスカントリー。ジャンプはかつて、王様の気まぐれから裁判代わりに始まったと言われているが、その説は間違いで、山野を走るうちに崖を飛び下りて距離を競う遊びから、競技に発展したというのが現在の定説になっている。
さらに競技としては、持久系の要素が必要なクロスカントリーと瞬発系能力が必要なジャンプを組み合わせたコンバインドが生まれ、山野を駆け巡り崖を飛び下りるノルディックスキーの神髄追い求める競技として、その王者を“キング・オブ・スキー”と称する。
また、競技の技術面も時代とともに進化している。クロスカントリーは元々、2本のシュプールをつけたコースで真っ直ぐにスキーを出して滑るクラシカル走法だけだったが、1980年代にスキーを逆ハの字にして滑るスケーティング走法が登場し、88年カルガリー五輪からはクラシカルと、走法に制限のないフリー種目で行われるようになった。ジャンプも80年代終盤にはスキーを真っ直ぐ揃えないで開くV字ジャンプが登場。その後、V字が主流になると飛距離が飛躍的に伸びたため、スキーの長さやジャンプスーツのサイズの規定を毎年のように改正して、競技としての充実度を高めている。
世界スキーは1924年の第1回冬季五輪シャモニー大会の翌年から始まり、当初は毎年、48年からは冬季五輪も含めて2年おきに行われていたが、85年以降は2年間隔の単独開催となった。第47回大会となる今回は、冬季五輪を兼ねた72年札幌大会以来2度目の日本開催だが、ノルディックスキーの頂点を決める単独開催としては初。日本スキー界にとっては積年の夢が実現した念願の大会となる。