ジカイヨコク
トップ
トップニュース
トクベツキカク
シツモンメール
スマメール
スマデータ
ゲストトーク
シンゴ5
オオシタアナ
ヘンシュウコウキ
スマギャラリー
バックナンバー

スマデータ投票
モバイルサイト
メールマガジン
ケイジバン
番組へのご意見
最新号のTOP

トクベツキカク
BackNumber
SmaSTATION!!緊急特別企画『今だから知りたい!知らないと損する年金のギモン』
連日、週刊誌やニュースを賑わせている『消えた年金記録問題』。社会保険庁が管理していた5000万件もの年金の払い込み記録が宙に浮いたまま、というこの問題、年金制度に対する国民の怒り・不信感はさらに増大しました。総務省が発表したデータをもとに計算すると、老後、夫婦で生活するのに必要なお金はおよそ8000万円(※注1)。そんな老後に不安を抱える人々の唯一の頼みの綱が『年金』なのです!そこで、今夜のSmaSTATION!!は、今、いま日本国民が最も関心を寄せている『年金』を大特集!誰も教えてくれない年金の素朴なギモンをどこよりも分かりやすく徹底解説します!

年金の種類は、大きく分けて3種類。自営業者や、職についていないサラリーマンの妻は『国民年金』。会社に勤めているサラリーマン・OLは『厚生年金』。公務員は『共済年金』に加入しています。今回は、『国民年金』と『厚生年金』にスポットをあてて、解説していきましょう。これら、『年金』を払うのは国民の義務です。しかし、会社の給料から自動的に引かれる『厚生年金』はほとんどのサラリーマンがきちんと納めているものの、『国民年金』を払っていない人は、なんと、全体の3割以上にも上るといいます。なぜ、払っていないのでしょうか? その多くの人が『いつか年金は貰えなくなる』と考えているようです。果たして本当にそんなことはあり得るのでしょうか。
先進国で年金制度のない国、もしくは、なくなってしまった国はありません。では、年金制度がなくなるとしたら、それはどんな場合でしょうか。民間の保険会社で考えてみましょう。民間の保険会社には、お金が払えなくなるケースがあります。それは『倒産した時』(※注2)。つまり、国が運営する年金制度がなくなってしまう時とは、国家が倒産する時。つまり国が倒産しない限り、年金制度はなくならないのです。しかし、なくならないからと言って、安心はできません。年金を賢く貰うには知っておかなければならないことがたくさんあるのです。


知らないと損する年金のギモン~その1『年金って何歳からもらえるの?』

国民年金、厚生年金ともに、年金をもらえるのは『65歳』から。しかし、サラリーマンが加入している厚生年金には、支給される年齢を巡る何ともややこしい歴史と、特別ルールが存在するのです。かつて、『厚生年金』がもらえる年齢は、男性が60歳から、女性は55歳からと定められていました。ところが、1986年、年金制度の改正が行われ、なんと、『厚生年金』を支給される年齢がそれまでの60歳から突如、65歳に変更されたのです。その結果、多くの国民が老後に大きな不安を感じるようになりました。現在は、『国民年金』と『厚生年金』、どちらも支給が開始される年齢は、基本的には65歳。しかし『厚生年金』には65歳より前からもらえる特別ルールがあることをご存知でしょうか。 年金に全く無関心なサラリーマンの山田さん夫婦と、年金に詳しいサラリーマンの川村さん夫婦を例に見てみましょう。年金に無関心な山田さん夫婦は、定年の60歳を迎えて「65歳まで、どうやって暮らせばいいんだよぉ・・・」と悩んでいました。定年の60歳から年金がもらえるようになる65歳までの5年間で、実際に夫婦が生活するのに必要なお金はおよそ1500万円。山田さん夫婦は、そのお金のやりくりに頭を悩ませていたのです。一方、年金に詳しいサラリーマンの川村さんも60歳で定年を迎えていました。「定年を迎えたら、まずこれを書かなきゃ・・・」。そして、1ヵ月後。「おい、母さん・・・これ、今月分」。「えっ?会社辞めたのにお給料が出るんですか!?」「給料じゃないよ。年金だよ」。 実は、『厚生年金』には65歳ではなく、60歳から年金をもらうことが出来る特別ルールが存在するのです。多い人では、60歳から65歳までの5年間で合計1300万円ももらえるといいます。この特別ルールを知っていた川村さん夫婦は、きちんと申請していたので60歳から年金をもらうことができたのです。しかし、知らなかった山田さん夫婦は、申請していなかったので年金は65歳になるまでもらえないのです。では、その特別ルールとは?正式名称は、『特別支給の老齢厚生年金』。このルールを利用すれば、川村さん夫婦のように60歳から年金をもらうことができます。しかし、この年金をもらうためにはひとつ条件が。それは『年齢』。ことしの3月31日時点で、54歳以上の男性と49歳以上の女性の場合、60歳から年金をもらえるのです。現在45歳以下の男性と40歳以下の女性は、残念ながら65歳になるまで年金はもらえません。ちなみにその間の年齢の人たちは、生まれた年に応じて、もらえる年齢も段階的に変わってきますが、65歳より前から年金が貰うことができます。なぜ、このようにもらえる人ともらえない人に分けたのでしょうか。それは、1986年の年金制度改正時にまでさかのぼります。年金がもらえる年齢を、突然60歳から65歳にしたら、いままできちんと年金を払ってきた人たちは困ってしまいます。そこで国は、当時、すでにある程度、年金を払い込んでいた人たちを救済するために、従来どおり、60歳からもらえる特別ルールを設けることにしました。それがこの『特別支給の老齢厚生年金』なのです。この特別ルールが適用され、60歳から年金をもらえるのは、54歳以上の男性と49歳以上の女性のみ。しかし、若い人でも60歳から年金を貰えるこんなウラ技があります。


知らないと損する年金のギモン~その2『生まれた年に関係なく60歳から年金をもらえるってホント?』

自分の年齢に関係なく、60歳から年金をもらえるウラ技が『繰り上げ支給』。この『繰り上げ支給』という方法を使えば、国民年金、厚生年金共に、年齢に関係なく60歳から年金がもらえるのです。しかし、この場合、年金をもらい始める年齢が若ければ若いほど、もらえる年金の額も減ってしまいます。反対にもらい始める年齢を65歳より遅らせることもできます。それが『繰り下げ支給』。この場合、年金をもらい始める年齢を遅らせれば、遅らせるほど、年金の額は増えるのです。
ここで、繰下げ支給、繰上げ支給の損得をシミュレーション(※注3)。『国民年金』を年額79万2千円受け取る同じ年齢の3人で比較してみましょう。Aさんは60歳から、Bさんは65歳から、そしてCさんは70歳から年金をもらうことにしました。60歳から年金をもらうAさんの『国民年金』の年額は、79万2千円の70%で、55万4千円。70歳から年金をもらうCさんの『国民年金』の年額は、79万2千円の142%で、112万5千円。その額を毎年、足していくと、64歳までに、Aさんが受け取った額は計277万円。65歳でBさんも年金をもらいはじめ、69歳までだとAさんは総額で554万円、Bさんはまだ396万円。 この時点でもAさんの方がまだ158万円得しています。70歳になると、ようやくCさんも年金をもらえるように。そして76歳。Aさんが941万8千円。Bさんが950万4千円と、ついに逆転。60歳から年金をもらっていたAさんは76歳から損をしてしまうことが判明!そして、81歳までだと、Aさんは1218万円、Bさんが1346万円、Cさんが1350万円。ついにCさんがトップに!つまり、81歳以上、長生きする自信のある人は70歳からの繰り下げ支給を選択した方が得なのです!


知らないと損する年金のギモン~その3『年金って、どうやってもらうの?』

若いころ、寿司屋をやっていた田中さん夫婦は『国民年金』に加入しています。そんな田中さんが65歳になる3ヵ月前、国から裁定請求書という書類が送られてくるのです。それを放っておくと大変なことに…。3ヵ月後、65歳になった田中さん夫婦。「これでいよいよ年金がもらえるぞ!」。しかし、その月も、その翌月も、一向に年金は振り込まれません。実は、年金は納めるときは半ば強制的に取られるのに、もらうときは、自分で申請しないと1円ももらえない仕組みになっているのです。厚生労働省は、1999年からの5年間で年金をもらい忘れていた人は全国で9万3000人、その総額は、1155億円にも上ると試算しています。もし、万が一、もらい忘れていた場合は、過去5年までなら、遡って請求することができるので、一度チェックしてみて下さい!
では、実際に年金をもらうための申請方法はどうなっているのでしょうか。65歳になる3ヵ月前に送られてきた『裁定請求書』に必要事項を記入し、その用紙と必要書類をもって、社会保険事務所に提出するだけなのですが、その『裁定請求書』がかなりやっかい。『雇用保険被保険者番号』『生計維持証明』『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』などなど、聞き慣れない漢字だらけの言葉が数多く並んでいるのです。さらに、必要書類もいっぱい。『年金手帳』『戸籍抄本』『非課税証明書』『雇用保険被保険者証』『住民票』などなど。このように、年金を貰うには自分で必要事項を記入、書類を揃えて、キチンと申請しなくてはならないのです。『とても1人では年金の申請を出来そうもない』という方は、お近くの社会保険事務所へ。年金に関する相談なら、何でも受け付けています。


知らないと損する年金のギモン~その4『国民年金に満期はあるの?』

「満期」とは、払い込みの終了時期のこと。『国民年金』の場合、その満期は40年。つまり、20歳の時から国民年金を払っていれば、60歳で払い込みは終了し、65歳から毎月、6万6千円を受け取ることができます。しかし、この払い込み期間にはこんな落とし穴が…。
役所「田中さん、国民年金の支払い記録を見たんですけどね、24年と11ヵ月しか払われてないんですよ!!」
田中さん「えっ!どうゆうことですか!?」
役所「最低支払い期間の25年に足りてないんで、残念ながら、年金は支給されないんですよ…」
田中さん「そんなぁ…」

『国民年金』は、基本的には、最低でも25年以上、払っていないと1円たりとももらえないのです。老後、『国民年金』をもらうためには、遅くとも何歳から払い始めないといけないでしょうか?正解は『47歳』。47歳から国民年金を払い始めたとしたら、60歳までの払い込み期間は13年。最低払い込み期間の25年には12年足りません。しかし、そんな方のためにこんな救済措置が…。実は、払っていなかった年金は、過去2年までなら、さかのぼって支払うことが可能。なので、まず、47歳のときに過去2年分の年金を納めます。さらに、60歳を過ぎても、最大70歳までは年金を払うことが出来るのです。つまり、プラス10年分払えるので、、払い込み期間が合計で25年となり、無事、年金をもらえるようになるのです。25年にあと1ヵ月足りなかった田中さんも、この救済措置のおかげで、70歳までにあと1ヵ月分収めれば、無事、年金を受け取ることができるので、ご安心を…。


知らないと損する年金のギモン~その5『国民年金と厚生年金、どっちが得なの?』

佐藤さん夫婦と鈴木さん夫婦を例に見てみましょう。佐藤さんはサラリーマンなので『厚生年金』に。一方、鈴木さんは自営業なので夫婦で『国民年金』に加入しています。『厚生年金』に加入している佐藤さん夫婦が、日本女性の平均寿命85歳まで生きたとすると、もらえる年金の合計は、なんと5520万円(※注4)。一方、『国民年金』に加入している鈴木さん夫婦が日本女性の平均寿命85歳まで生きたとすると、もらえる年金の合計は3160万円。このように、一般的に厚生年金のほうが得なのです。実は『厚生年金』は2階建てになっています。国民年金にあたる『基礎年金』部分も含まれているのです。国民年金と同じ額の『基礎年金』部分に上乗せする形で年金を払い込んでいたので、国民年金よりたくさん払う厚生年金の方が得なのは当たり前なのです。『厚生年金』の佐藤さん夫婦に比べ、 『国民年金』の鈴木さん夫婦は老後がかなり不安。しかし、そんな自営業の方のために『国民年金』を増やすウラ技があります。それが『国民年金基金』。仮に30歳から払い始めた場合、通常の『国民年金』の払い込みのほかに毎月11670円をプラスするだけで、65歳からもらえる年金の額が毎月3万円も多くなる、とってもお得なウラ技です(※注5)。それでも、毎月、そんなに多く年金を払えないという方には『付加年金』が。ひと月の支払額はというと、なんとたったの400円。仮に20歳から60歳まで毎月400円収めると、もらえる年金の額は、なんと毎月400円の20倍、8千円も多くもらえるのです(※注6)


知らないと損する年金のギモン~その6『離婚したら、年金はどうなるの?』

『厚生年金』に加入していた元サラリーマンの佐藤さん夫婦は月々23万2千円の年金をもらっていました。ところが、ことし4月、ある事件が。専業主婦だった妻との熟年離婚が成立してしまったのです。なぜ奥さんはことしの4月まで離婚を待っていたのでしょうか。実は、夫婦でもらっていた23万円2千円の内訳がこちら。『厚生年金』10万円と、夫婦それぞれの国民年金にあたる『基礎年金』6万6千円ずつ。以前の年金制度では、離婚すると妻がもらえるのは、自分の『基礎年金』だけでした。『厚生年金』に関しては、全額、夫のものになっていたのです。この佐藤さん夫婦の場合、夫の取り分が毎月16万6千円で、妻は『基礎年金』部分の6万6千円だけ。ところが、ことし4月の改正で大きな変化が…。『厚生年金』部分も最大で半分、妻が受け取ることが可能となったのです。この佐藤さん夫婦の場合、夫も妻も11万6千円の年金を支給されるのです。ただし、この分割の割合は、年金を納めていた期間と結婚していた期間によって変わってくるため、実際には、完全に半分というケースはまれです。


知らないと損する年金のギモン~その7『夫が死んだら、年金はどうなるの?』

夫が死んだら、年金はどうなるのでしょうか?自営業の旦那を持つ鈴木さんは働き盛りの40歳。子供はふたり。ある日突然、旦那が病気で亡くなってしまいました。旦那がそれまで払っていた『年金』はどうなるのでしょうか。実は『遺族年金』というシステムがあります。これは、残された家族の生活を守るため支給される年金。この『遺族年金』、65歳になっていなくても、夫が死んだ時点からすぐに支給されるのですが、これには、もらえるケースともらえないケースがあります。そこに関係するのは、子供の有無。まず、もらえるケース。夫が『厚生年金』に加入している場合、残された妻は、子供がいるいないにかかわらず『遺族年金』をもらえます。そして、夫が『国民年金』に加入している場合、残された妻は、18歳以下の子供がいれば、『遺族年金』をもらうことができるのです。もらえる金額は、夫が30歳で死んでも、50歳で死んでも一緒。いままで年金を払い込んだ期間や年齢に関係なく、子供の数で決まります。そしてもらえないケース…それは、夫が「国民年金」に入っていて、18歳以下の子供がひとりもいなかった場合。残された妻は、遺族年金をもらえません(※注7)。亡き夫がそれまでに払い込んだ年金はほとんど返ってはこないのです。このように、夫が死んだ場合、国民年金、厚生年金にかかわらず、18歳以下の子供がいれば、遺族年金がもらえるのです。しかし、この『遺族年金』も再婚すると、支給がストップされてしまいます。このように、人ぞれぞれ条件によって、支給額ばかりか、支給されるかどうかも変わってくるのが年金制度なのです。得するか損するかは自分次第!


年金は、“将来の問題”ではなく、“今の問題”なんです!

年金問題は難しいですよね。いま、本当に多くの方が、年金制度はどうなるのか、という不安を持っていますが、まず年金制度は絶対に崩壊させてはいけないんです。いまの制度があまりにも複雑ですし、さまざまな問題も噴出してきていますが、この機会に1度ウミを全部出し切って、安心できる年金制度にしていかなければいけないんです。特に若い世代の方は、収入が安定しない人も多いのですが、そういう人たちでもちゃんともらえるような形を作っていかなければならないんです。それには政治の力が必要なので、選挙に行かないといけないんです。郵政民営化問題が争点になった選挙の後、定率減税が廃止されたり、いろんなことが起きているんですから。ひとりひとりが、改めて広い視野で将来のことを考える必要があるんじゃないでしょうか。年金というと“将来のこと”だと思いがちですけど、実はいま現在…例えば障害を負ってしまったら「障害者年金」がもらえますし、夫が死んでしまって奥さんと小さなお子さんが残されても「遺族年金」がもらえるんです。だから、年金は“今”の生活の問題なんです。こういう状況なので今は社会保険事務所も親切ですから(笑)、わからないことがあったら是非相談してください。
(経済ジャーナリスト・荻原博子さん)



(注1)夫婦ともに寿命85歳として計算。
(注2)全ての保険会社に当てはまるものではありません。
(注3)昭和16年4月1日以前生まれは数値が変わります。
(注4)厚生労働省発表のモデル世帯・月額23万円で計算。
(注5)払い始める年齢・払う額によりもらえる金額は変わります。
(注6)払う期間によりもらえる金額は変わります。
(注7)18歳以下の子供がいなくても死亡一時金などはもらえます。



Copyright(C)2007
tv-asahi
All Rights Reserved.