2024年5月
« 6月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
  • mixiチェック

第2回

投稿日:2013年04月24日 21:50

sttl

糸村さんは気まま過ぎる釣りを、仙堂さんは恋愛とは無縁の慎ましい生活を、署長は妙に情熱的に社交ダンスを…と、皆さん勤務時間外を謳歌しているようですね。でも僕、遠山修介のプライベートは…同僚の女性警察官の皆さんにもなぜかよく聞かれるのですが、これと言って語るようなエピソードもなく、至って穏やかで普通でして。まぁ、それが何よりなんじゃないでしょうか。

かたや、世間はやけに物騒です。先日もフリージャーナリストの相馬悟郎が撮影所で刺殺され、現場が爆破されましたが、この事件…解決したかと思ったら、続きがありました。今度は廃ビルが爆破され、モデル事務所のマネージャー・大森恵が全身火傷で意識不明の重体に陥ったんです。彼女は、相馬殺しの犯人・遠野麻理子の主演映画に出ていた新人女優・愛川みちるのマネージャー。しかも、遠野麻理子は撮影所爆破に関しては否認しているので、前回の事件と何か関連がありそうです。

IMG_5035

僕と仙堂さんは、大森恵が勤務する事務所の社長・筧英雄を訪ねました。大森恵の近況を捜査するためです。ところが、そこへ神出鬼没のあの人が来ちゃったんです…。ええ、糸村さんです。糸村さん、今回は現場に落ちていた遺留品のルビーが気になってしまったらしく…。初動捜査は慎重かつ確実に行うべきだ、と僕は思うんですけどね。糸村さんときたら…案の定、基本的な聞き込みは華麗にすっ飛ばし、ルビーについて尋ね始めたんです。しかも、筧は「見たことがない」と証言したので、普通はここで終わりにするはずなんですが、糸村さんは「犯人が落としていった物という可能性もある」と解釈したようで…。子犬みたいな顔して、蛇のような執着心…。僕には洞察力がまだまだ足りないんでしょうか? 未だに糸村さんという人がよく分かりません…。

IMG_5610-2

ただ糸村さん、本当に地球規格外の変人で、ワケの分からない人ではあるんですが、洞察力は僕より遙かに上なのかもしれません。なにせ今回も、このルビー(※正確にはルビーを模した合成コランダムだそうです)が犯人特定の手掛かりとなりましたから…。

現場にルビーを落とした人物=犯人は、遠野麻理子の付き人・永井涼子でした。その昔、彼女は妻子ある男性の子を産んだそうです。でも、モデルになる夢を掴んだばかりの彼女は、子どもには幸せに育ってほしい一心で泣く泣く、自分とお揃いのルビーの指輪とともに、子どもを医師夫婦に託しました。その子こそが、1カ月前に自殺したモデル・長澤絵里だったんです。死の直前、長澤絵里はモデル仲間の北原麻美に階段から突き落とされ、顔に傷を負っていました。真相を知った大森恵は、その件で自分の恋敵である北原麻美を強請り始めました。しかも更なる恐喝材料を得ようと、陰で長澤絵里を精神的に迫害し、自殺に追い込もうとしたのです。永井涼子の犯行の動機は“娘の復讐”でした。

   IMG_5825-2

ですがこれ、そもそも“間違った復讐”だったんです。長澤絵里は自殺したのではありませんでした。彼女は生前、高級宝飾品を扱うベッツィー社の専属モデル契約を拒否。そのことに憤慨した筧によって、殺されていたんです。では、なぜ長澤絵里は契約を拒んだのか!? 彼女は生き別れとなった産みの母親が自分の存在に気づき、再会できる日を夢見てモデルとなり、ルビーの指輪を常に身につけて仕事に臨んでいました。ところが、ベッツィー社との契約書には「当社以外のアクセサリーを身につけない」という条件が書かれていた…。だから、彼女は契約を拒んだのです。

胸が痛みます…。撮影所を爆破したのも永井涼子でしたが、それも世話になった遠野麻理子のために証拠を隠滅しようとしたため。彼女はとても情の深い人だったんです。でも、その情の深さが間違った復讐劇をも生んでしまった。そして、彼女の娘もまた母親譲りの情の深さゆえ、自らの死を招く結果に…。あっ、すみません。3分のつもりが、糸村さんの話以上に長くなってしまいました…。今日はこのへんで終わりにして、至って穏やかで普通の生活に戻ることにします。

  • mixiチェック

フォトギャラリー

  • IMG_3902
フォトギャラリーを詳しく見る≫