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2019年12月2日

ウイグル“収容所”の実態とは

ウイグル“収容所”の実態とは

中国西部の新疆ウイグル自治区。2017年以降、巨大な施設が次々と建設された。国連などは、「100万人以上を不当に拘束する強制収容所」と相次いで非難した。衛星分析の専門家が、新疆にある駅で撮られたものとする映像では、人々が目隠しをされ、手を後ろで縛られ、警察とみられる人たちに施設に連れて行かれる様子が映っていた。仕事の関係で1年半前に来日したウイグル族のムハラムさん(26)は父親の身を案じている。父親のトルソンさん(49)は2017年3月、地元当局との会議に出かけたまま、行方がわからなくなった。ムハラムさんは、「聖職者とか大学の教授みたいな人が、最初に弾圧の対象になって、お父さんもその一人だと思う」と話す。

新疆ウイグル自治区は、イスラム教徒の少数民族が人口の4割を占め、独自の言語や文化を持つ。石油など地下資源が豊富で、習近平国家主席が推進する巨大経済圏『一帯一路』の要衝でもある。そのウイグル族らに対し、中国当局が大規模な監視システムを構築していることが“内部文書”で明らかになった。国際調査報道ジャーナリスト連合が入手した文書によると、監視カメラや携帯電話などで個人情報を解析し、1週間の間に約1万5000人を、思想を改めるための“再教施設”に送ったとしている。先月26日、アメリカのポンペオ国務長官は、「この文書によって中国共産党が大勢を拘束して人権侵害と虐待を行っていることが裏付けられた」と述べた。これに対し、中国外務省の耿爽報道官は、「アメリカ側の一部の人の陳腐なセリフは、政治的な偏見と嘘ばかり。新疆には民族・宗教・人権問題など存在しないと強調したい」と反論した。中国は“再教育施設”の内部を公開していて、あくまでイスラム過激思想やテロに関わった人たちに対する職業訓練の場と強調している。こうした施設は“収容所”なのか、それとも“教育施設”なのか。別の少数民族・カザフ族のオムル・ベカリさん(44)は、2017年4月に突然、警察によって施設に強制連行されたという。オムルさんは、その時の様子について「施設内にいる間、昼夜を問わず、両手と足が鎖につながれた状態だった。トイレに行っても、食事をしても、寝た時も同じ鎖で縛られた状態で、真っすぐ立つことも体を伸ばして寝ることもできなかった」と語る。

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