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2019年11月1日

母子を支援“民間シェルター”とは

母子を支援“民間シェルター”とは

相次ぐ児童虐待事件。その背景には妻へのDVもあることが指摘されている。これを受けて、国は、虐待とDVそれぞれへの対応を連携することで、子どもと母親をともに守る取り組みを進める方針を固めた。そんななか、今、民間の力が注目されている。児童虐待とDV被害の防止に取り組む民間団体の代表らが1日、総理官邸を訪れ、国に支援を要請した。民間シェルターを運営するNPO法人『女性ネットさやさや』は、DVを受けていた母親と、虐待を受けていた子どもをともに支援している。はなさん(19)は、中学3年生の時に父親の暴力から逃げ、母親とともにここで支援を受けてきた。今年、大学に入り、一人暮らしを始めたが、今も、週一度、勉強を教えたりするなど、手伝いにシェルターを訪れている。母親も社会福祉士の資格を取って働き始めた。はなさんは「笑いながらご飯を食べられる場所というのが、私にとってすごく貴重だった。SОSを気軽に出せる場所に通っているということが、私にとっての安定になっていると思う」と話す。
都道府県ごとに、DV被害者を受け入れる公的なシェルターもあるが、民間シェルターは、女性だけではなく、子どもも受け入れている。また、シェルターを出た後も継続して支援に取り組んでいる。『女性ネットさやさや』の松本和子代表理事は「痛ましい事件が後を絶たない。早めにDV被害の女性の支援をしていれば、皆助かった命だと思っている。お母さんが助からない限りは子どもも助からない。子どもだけ支援しても、女性だけ支援しても、それはかなわない」と話す。かつて、妻と子どもに暴力を振るっていた男性(40代)。妻は半年前、子どもを連れて家を出ていったという。男性は暴力をふるっていた当時について、「妻に対しては『僕が養っているんだから、僕の気分を良くしてくれ』と。子どもも妻も自分の所有物とか、自分が一番正しくて、皆が自分の言うことをきくべきという考え方が根底にあって、相手を一つの人格を持った人間として尊重しなかった」と語る。
夫や父親の“支配”から、どう抜け出すのか。『女性ネットさやさや』では、母と子、それぞれに心理教育プログラムを行っている。例えば、風船を使い、自分の感情を可視化させ、“怒り”などの気持ちを自覚させるというもの。松本代表理事は「自分がどう感じるか、自分がどう考えるかを奪われていた人たちが多い。

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