過去の放送

2019年1月12日放送 「桜仙峡あずき」

『和菓子で描く“桜仙峡の春”』
ロケ地:長野県北安曇郡

今回、注目する食材は、長野県北安曇郡の“桜仙峡”で受け継がれてきた、“桜仙峡あずき”。そのおいしさの秘密を求めて、和菓子界の重鎮・佐々木勝さんとレスリング選手の浜口京子が現地へ。“桜仙峡あずき”に魅せられた佐々木さんが、この季節には欠かせない温かい“おしるこ”に仕立てるほか、一足早く和菓子で春を表現する。

2人が出会ったのは、人里離れた山の中で桜仙峡あずきを作り続けている農家の4代目、寺島孝(てらしま・たかし)さん。この時期はあずきの収穫期に当たり、寺島さんは大忙し! 2人は、明治時代に寺島さんの曽祖父が切り開いたという畑や、昔ながらのやり方を守り続けているという脱穀作業を見学する。
寺島さんが作り続けている桜仙峡あずきは、近くに畑がない山里で作られているため、交配することなく100年以上前から味が変わらない、貴重な日本古来の在来種。小粒なのに皮が薄いのが特徴で、寒暖差が大きく水はけのいい山の斜面で作られているため、甘味のもととなるデンプン質が豊富なあずきに育つのだという。
かつて、この山里にはあずき農家が100軒ほどあったが、山の斜面での栽培は重労働で、かつ大量生産もできないことから、多くの農家が山を下りてしまい、寺島さんだけになってしまったという。
そんな桜仙峡あずきに転機が訪れたのは、4年前。寺島さんの作るあずきがおいしいと評判が広がり、町の農家が“桜仙峡あずき保存会”を発足。今では、約10軒の農家が毎年、寺島さんから種をもらい、育て方を教わりながら、桜仙峡あずきを作るようになったのだ。

この日は、寺島さんのお宅で、保存会の人たちと桜仙峡あずきを使った羊羹作りも。桜仙峡あずきに加えるのは、塩、砂糖、寒天、水だけ。羊羹作りは、寺島家の冬の恒例行事なのだとか。

寺島さんをはじめ、保存会の人々の桜仙峡あずきへの熱い思いを感じた佐々木さん。桜仙峡あずきを使って温かい“おしるこ”を作るほか、待ちわびる春を和菓子で表現することに…! 佐々木さんはいったいどんな和菓子で春を描き出すのか…!? その繊細な技は必見だ!

今回のシェフ・レポーター

浜口京子(レスリング選手)
佐々木勝(『菓匠 京山』主人)

地元の匠

寺島孝さん

今回登場した料理

桜仙峡の春

桜仙峡あずきのおしるこ

桜仙峡あずき

干し柿

桜仙峡の山桜

蕪(カブ)

桜仙峡のあずき畑

古民家

『あずき』

山の斜面で作られる貴重な“桜仙峡あずき”の特徴とは!?

日本で生産されているあずきは、ほとんどが品種改良されたもの。
大きさによって「大納言小豆」や「普通小豆」などに分類されます。

在来種も80種類ほど現存していると言われていますが、生産量はごくわずか。
しかも、その栽培には独特の難しさがあります。

たとえば近くに別のあずき畑があると…
交配したり、種が混ざることで違うあずきになる可能性があります。

その点、桜仙峡は山の中。周辺に別の畑はありません。
ほかのあずきと交配することなく、貴重な在来種が守られてきたのです。

桜仙峡あずきは小粒ですが、和菓子作りにぴったりの特徴があります。
寒暖の差が大きく、水はけのいい斜面で作られるため、小さくてもデンプンが豊富なので…加熱すると、甘味たっぷり!
また、皮も薄いので、粒あんにしても食感が良いという、まさに、和菓子のために生まれたようなあずきなのです。