過去の放送

2018年12月15日放送 「五郎島金時」

『五郎島金時 和菓子で描く“加賀の冬景色”』
ロケ地:石川県金沢市

今回、注目する食材は、石川県金沢市の五郎島地区産のサツマイモ“五郎島金時”。加賀野菜のひとつであり、滑らかな食感と上品な甘味が特長だという。
そのおいしさの秘密を求めて、和菓子界の重鎮・佐々木勝さんと元シンクロ日本代表・青木愛さんが現地へ。佐々木さんが、金沢の冬景色を和菓子で表現する。

2人が出会ったのは、五郎島金時農家の西澤寛一さん(68歳)と妻の和子さん(67歳)。2人は五郎島金時を加賀野菜のひとつに育て上げた夫婦で、息子の俊輔さんとともに金沢市内から車で20分ほどの五郎島地区の畑で毎年およそ60トンのサツマイモを作っている。
収穫から出荷までの作業を見学した佐々木さんと青木さんは、その重労働にビックリするとともに、五郎島金時の焼き芋をごちそうになってホクホクの食感に感動! さらに焼き芋の端っこを試食して、五郎島金時のキメ細かさを絶賛する。

実は、今でこそ加賀野菜のひとつに数えられる五郎島金時だが、西澤さん夫婦が結婚した40年ほど前には味にバラつきがあり、ブランドとはよぶことのできない状況だった。
そこで2人は農家の仲間と“五郎島さつまいも部会”を立ち上げ、品質を安定させることに尽力。こうした努力が認められ五郎島金時は加賀野菜に認定されることとなった。

そんな西澤さん夫妻の奮闘と五郎島金時の上品な甘味に感動した佐々木さんが、“加賀の冬景色”をテーマに和菓子を作ることに。佐々木さんは五郎島金時を使って、どんな冬景色を創り上げるのか…!? その繊細な和菓子の技とは…!?

今回のシェフ・レポーター

青木愛(元シンクロ日本代表)
佐々木勝(『菓匠 京山』主人)

地元の匠

西澤寛一さん 和子さん

今回登場した料理

加賀の冬景色

雪吊り

金時鹿の子

山茶花

芋きんとん

錦玉かん「落ち葉に新雪」

芋ようかん

『五郎島金時』

五郎島金時のおいしさの秘密とは?

焼き芋の端っこなどによくある筋。
これは、「維管束(いかんそく)」といって、植物には欠かせないものですが人間には消化できない、食物繊維の一種です。

なぜ、五郎島金時は、この筋が少ないのでしょうか?

畑に、水分が多いと、枝葉や根が一気に成長し、筋が入るといわれ水分の少ない砂地の畑は、ゆっくりとサツマイモを成長させるため、筋が少ないと考えられます。

滑らかな食感を生かした職人の技とは?

佐々木さんの和菓子に欠かせない滑らかな舌触りは、裏ごしで生まれますが五郎島金時には、裏ごしにぴったりの特長があります。

佐々木:裏ごしのふるいが二つ(普通の目・細かい目)あって目が違いますよね?
通常の芋は、これ(普通のふるい)でもやっとなんです。
繊維が引っかかってなかなか裏ごししても落ちていかないんですね。
ところが、五郎島金時は細かいふるいで通るんです。

五郎島金時なら、繊維が引っかからずに裏ごしできるためより滑らかな食感が生まれるのです。

裏ごししたサツマイモをそのまま固めたのが佐々木さんの芋羊羹。

今回の作品「錦玉かん」の土台にもこの裏ごししたそぼろが使われていました。