過去の放送

2018年11月17日放送 「横浜市 柿」

『浜柿ブランド 新食感の太秋柿』
ロケ地:神奈川県横浜市泉区

今回は、神奈川県横浜市産の“浜柿”に注目! 中でも“太秋柿”のおいしさの秘密を求めて、女流和菓子家・御園井裕子さんとスイーツ好きで知られる的場浩司が果樹園を訪れる。

2人が訪ねたのは、横浜市泉区の住宅街の中にある“長谷川果樹園”。広さ1.8ヘクタール、東京ドーム約3分の1の大きさの敷地で、柿をはじめさまざまな“浜ブランド”を育てている。浜ブランドとは、横浜市内の果樹園が育てた果物のことで、その浜ブランド確立の立役者こそが、今回の“匠”長谷川勝行さん(54歳)。長谷川さんは横浜における果物栽培のリーダーで、浜ブランドの品評会では毎年県内でひとりしか受賞できない農林水産大臣賞に選ばれるほどだという。

今、長谷川さんが注目しているのは、浜ブランドの“浜柿”の中でも“太秋”という品種。シャキシャキとした歯ごたえとジューシーさをあわせ持ち、ほかの柿にはない味がするという。さっそく収穫仕立ての太秋柿を味わってみた御園井さんと的場は、梨に近い食感にビックリ。その甘みとジューシーさにも驚く。

長谷川さんの両親はかつて養豚業を営んでいたが、時代が進むにつれ、近隣に住宅が広がったため、長谷川さんが20歳の頃に果樹園に方向転換したのだという。太秋柿の栽培をはじめたのは23年前だが、いまだ確立した栽培方法がなく、長谷川さんは甘くおいしい柿を作るため独自で栽培法を編み出したと話す。そんな長谷川さんのひたむきさを受け継ぐかのように長女は農園を手伝い、次女は父と同じ東京農業大学に進学し、未来の農業ビジネスについて学んでいるという。そして三女もまた、家族で果樹園を盛り立てていきたいという夢を持ち、休みの日には直売所を手伝っている。

家族一丸となっておいしい果物づくりに情熱を注ぐ長谷川さんファミリーの思いを受け、御園井さんは3姉妹の夢のヒントとなるような和菓子を振る舞うことに。

御園井さんは鎌倉にある自らの和菓子の工房で『手毬』に長谷川さん一家を招待するが、はたして太秋柿をどんな和菓子に仕立てるのか…!? この道20年あまり、熟練の技を生かした繊細で上品な柿の和菓子に、3姉妹も感動して…!?

今回のシェフ・レポーター

的場浩司(俳優)
御園井裕子(『創作和菓子 手毬』代表)

地元の匠

柿作りの匠 長谷川勝行さん

地元の店

長谷川果樹園直売所
住所:神奈川県横浜市泉区和泉町4258
電話:045-802-2688
営業日:8月から12月(木・土・日)
営業時間:9時30分から品物が売り切れたら終了
※営業日と営業時間は収穫の状況によって変更があります。

今回登場した料理

御園井裕子
「実りの秋(太秋柿)」

御園井裕子
「晩秋の柿園」

御園井裕子
「手毬(柿)」

御園井裕子
「市松手毬(柿)」

御園井裕子
「柿のおしるこ」

御園井裕子
「大秋柿の大福」

『柿』

柿と甘さの深い関係

「日本人の甘さの基準」と言われる柿ですが、もともと渋くて食べられない、渋柿でした。
渋味を感じるのは、水溶性のタンニンという成分が含まれるからなのです。
ところが干し柿にすると、タンニンは水に溶けない、不溶性(ふようせい)に変化し渋味を感じにくくなり、甘味が増します。
日本人の甘さの基準になったのは、この干し柿だったんです。
その後、甘柿の栽培も始まり、太秋柿は、1995年に品種登録された新しい甘柿なのです。

柿の甘みを上品に変える 和菓子の技

日本人の甘みの原点・・柿の甘みをさらに上品に変える和菓子の技・・
太秋柿は、もともと甘いのですが、この甘さをもっと上品な甘さに、優しい深い甘さにするために御園井さんは、柿に熱を加えるという工夫をしました。
一口に糖といっても、ショ糖、果糖など、様々あり、味わいが違います。
柿には「インベルターゼ酵素」という、ショ糖を果糖とブドウ糖に変える酵素が含まれています。
生の柿のショ糖が、果糖とブドウ糖に変わると、すっきりした上品な甘さになります。
御園井さんは、刻んだ柿を、ぬるま湯で湯煎しました。
インベルターゼ酵素が最もよく働くのが、40℃〜45℃の間です。
1時間ほど湯煎して柿に含まれるショ糖を、上品な甘さに変えたのです。
その湯煎した柿をさらに煮詰めて、柿のペースト状にしたものを、さらに寒天で固めたものを和菓子の中にいれました。
ちなみに、干し柿の表面に吹き出している白い粉は「柿霜(しそう)」と言って、インベルターゼ酵素の働きで生まれたブドウ糖や果糖の結晶です。
御園井さんは、酵素の働きを利用して日本人の「甘さ」の基準と言われる、干し柿の甘さを和菓子の中で、再現していました。