過去の放送

2018年9月22日放送 「福井県・若狭湾 アマダイ」

『親子3代で獲る極上の若狭ぐじ』
ロケ地:福井県小浜市/福井県大飯郡おおい町

今回、注目する食材はアマダイ、“若狭ぐじ”。そのおいしさの秘密を求めて、京料理の“匠”、栗栖正博さんと真琴つばささんが、福井・小浜漁港を訪れる。栗栖さんが若狭の食材を使って、“秋”を表現する。

昔から漁業が盛んで、朝廷に食材を送っていたことから、“御食国(みけつくに)”とよばれていた若狭。京都の料理人たちは、若狭地方から京に届く食材のことを、今も“若狭もの”とよんでいるという。 “ぐじ”とは、アマダイの別名。関東ではあまりなじみはないが、京料理には欠かせない高級魚で、その名のとおり甘味の強さが特徴だ。若狭でははえ縄漁などで釣り上げられる500グラム以上のぐじを、若狭ぐじとよんでブランド化しているという。

2人が出会ったのは、漁師歴37年の上佐近久治さん。上佐近さん一家は親子3世代で漁師をしており、父の米弘さんは79歳の現在も船に乗る“伝説の漁師”。息子の弘輔さんは漁師になって1年半。つまり、超ベテランから新人まで、親子3人で若狭湾に出て漁をしているという。
番組では、親子3人のはえ縄漁に密着取材!はたして、500グラム以上のアマダイ=若狭ぐじはとれるのか…!?

3代に渡って技を受け継ぐ上佐近さん親子の絆と歴史を聞いた2人は、ほっこり感動。特に、自らも三代目である栗栖さんは、親子3代が一緒に漁に出ることの素晴らしさに胸を打たれ、一家をもてなすことに。

栗栖さんが腕を振るうのは、若狭ぐじをはじめとする“若狭もの”をふんだんに使って秋を表現した“若狭御膳”。その料理には、ある願いも込められているというが、はたして、栗栖さんが料理に込めた思いとは…!?そして、若狭ぐじのおいしさを存分に生かす、京料理の技とは…!?

今回のシェフ・レポーター

真琴つばさ(歌手・女優)
栗栖正博(『京料理 たん熊北店』 三代目主人)

地元の匠

若狭ぐじ漁の匠
上佐近(うえさこ)久治さん

地元の匠

若狭ぐじ漁の匠
上佐近(うえさこ)米弘さん

地元の匠

若狭ぐじ漁師
上佐近(うえさこ)弘輔さん

今回登場した料理

栗栖正博さん
たん熊流若狭御膳

栗栖正博さん
たん熊流若狭御膳「若狭5種盛り」
・ぐじの和え物/エビとイカの菊寿司/串差し3種/カボチャの松風

栗栖正博さん
たん熊流若狭御膳「サワラの菊花蒸し」

栗栖正博さん
たん熊流若狭御膳「若狭焼き」

『アマダイ』

一汐一夜干し(ひとしおいちやぼし)の知恵

その昔、若狭から鯖街道を経て都へと運ばれた海の幸。冷凍技術がなかったころ、魚を腐らせないために生まれたのが、干物の技術ですが、中でもアマダイは「一汐一夜干し」と呼ばれ珍重されました。水分が多いため塩を振ることで、京都に着くころには、ほどよく、うま味が増していたのです。
現在でも、アマダイは身に水分が多いので、塩を多めに振って、身を締めます。塩をして1時間置くと・・うま味成分のグルタミン酸がぐっと増えます。ただし、1時間をすぎると、うま味成分はあまり増えません。1時間が食べごろなんです。

京料理 伝統の若狭焼き

アマダイ(甘鯛)はその名の通り、甘味の強い魚。
甘味のもとになっているのがアミノ酸の一種「グリシン」です。
甘味成分が多いアマダイをおいしく焼くには、コツがあります。
たん熊北店では多めの塩(アマダイの重さの3%の塩)をして約1時間置いて身を締めます。
また、若狭焼きは、アマダイの柔らかいうろこをつけたまま、若狭地というたれをかけて焼く・・ここにも秘密があるんです。
若狭地は、お酒(日本酒)、しょう油、みりんを、5対1対1で合わせたもの。
お酒の分量が多いのは、日本酒は、魚の臭みを取り、甘味とうま味を加え、しかも水分を補って、ふっくら仕上げてくれる焼き魚の強い味方。しかも、うろこに若狭地がよく絡み、香ばしく仕上がるんです。
若狭ぐじを生かす、伝統の技に京料理の神髄が見えました。