過去の放送

2018年9月15日放送 「メカジキ」

『突きん棒漁でとる特大メカジキ(後編)』
ロケ地:宮城県気仙沼市

前回に引き続き、宮城・気仙沼の“メカジキ”のおいしさの秘密を探る、第2回目!今回も150キロ超の大物を狙って航海を続けるメカジキ漁の“匠”たちに密着するが、はたして超大物との遭遇は叶うのか…!?
そんな最高のメカジキを求めて現地を訪ねたのは、8年連続でミシュランの星を獲得している日本料理の“匠”、小林雄二さんと渡辺徹。小林さんが奥深い和食の技を駆使して、メカジキのうま味を最大限に引き出す…!
2人が出会ったのは、メカジキの“突きん棒漁”の“匠”、佐々木夫一(ささき・ゆういち)さん。番組は5日間に及ぶ佐々木さんの漁に密着するが、前回お伝えした漁の1日目、2日目は佐々木さんの納得するような大物は揚がらなかった。
そして――突きん棒漁3日目。佐々木さんはさらに船を北上させ、岩手県の久慈沖を目指す。はたして、150キロオーバーの大物メカジキを仕留めることはできるのか…!?漁師たちの奮闘を追跡する…!

また、2人は佐々木さんの妻・幸子(ゆきこ)さん特製のメカジキ料理も堪能。水揚げしたばかりの“メカジキの刺身”や、小林さんも初めて味わうという“ホホ肉の塩胡椒焼き”に感激する…!

江戸時代から続く突きん棒漁を守る佐々木さんや、留守を預かる妻・幸子さんの姿に感動した小林さん。和食の技を駆使して、極上のメカジキを料理することに…!
焼き魚にこだわりを持つ小林さんは前回、“メカジキの山椒照り焼き”を披露したが、はたして今回はどんな技でメカジキのうま味を引き出すのか…!?
また、生物学者の福岡伸一氏が、突きん棒のメカジキのおいしさの秘密を解説する。

今回のシェフ・レポーター

渡辺徹(俳優)
小林雄二(『青華こばやし』主人)

地元の匠

佐々木夫一さん

今回登場した料理

メカジキの刺身(佐々木幸子さん)

ホホ肉の塩胡椒焼き(佐々木幸子さん)

熟成メカジキの酒蒸し煮(小林雄二さん)

『メカジキ』

細マッチョ!?メカジキのおいしさの秘密とは!?

福岡伸一
(生物学者、青山学院大学教授)

草野満代
(ごはんジャパンナビゲーター)

福岡「メカジキは速い速度で深海と海面を往復しますから瞬発力を出すためにグリコーゲンとか早くエネルギーになるものを蓄えているので、淡白な白身なのに甘味があって脂ものっているという特性が深海と海面を往復する運動習性と関係してるんじゃないか」
時速100キロで泳ぐ、海のスプリンター・カジキ。
そのエネルギーを生み出すために甘味のもとになるグリコーゲンや脂肪を蓄えるので、脂がのっておいしくなるんです。
草野「でもそんなに脂をためこんでいるのにメタボっぽくはあまりないですよね?」
福岡「ええそうですね、だから細マッチョですよね。」

熟成でうま味を引き出す和食の技とは!?

メカジキを一週間熟成させた小林さん。
一口に熟成といっても、生の魚が腐らないように保存するのは至難の技。
小林さんは定期的に表面を削いで、おいしい部分だけを残しました。
草野「博士、この熟成させることによっての効果っていうのは?」
福岡「魚の中の細胞の中にしまわれていた分解酵素が飛び出してきてタンパク質をアミノ酸に分解していくわけです」
福岡「アミノ酸にはうま味・甘味成分が含まれますから、そういった味がジワーッと染み出してくる」
同時にメカジキのエネルギー源・ATPがうま味成分のイノシン酸に変わります。
福岡「アミノ酸のうま味とイノシン酸のうま味っていう2大うま味成分が溶け出してきて、相乗作用でさらにおいしくなるんですけれど、それをいかにとじこめて逃さないようにするか、それから腐敗しないようにコントロールするかっていうのが腕の見せ所なんです」

そんな熟成したメカジキを酒蒸しにすると、お酒や昆布のうま味成分が加わって、さらにおいしくなるというわけなのです。