過去の放送

2018年9月8日放送 「メカジキ」

『突きん棒漁でとる特大メカジキ』
ロケ地:宮城県気仙沼市

今回から2週に渡って、宮城・気仙沼の“メカジキ”に注目!
150キロ超の大物を狙って航海を続けるメカジキ漁の“匠”たちの5日間に密着する。
最高のメカジキを求めて現地を訪れるのは、焼き魚にこだわりを持ち、8年連続でミシュランの星を獲得している日本料理の“匠”、小林雄二さんと渡辺徹。小林さんがメカジキの風味を最大限に引き出すべく、和食の技を使って焼き上げる…!

2人が訪れたのは、気仙沼市の小鯖漁港。そこで出会ったのが、メカジキの“突きん棒漁”の“匠”、佐々木夫一(ささき・ゆういち)さんだ。突きん棒漁とはメカジキを見つけたら舳先の突き台から、長さ5メートルのモリで仕留めるという、昔ながらの豪快な漁のことだ。
今回の航海は5日間。佐々木さんを含め、5人の乗組員と船で寝泊まりしながら、漁を続けるという。午前3時半、まだ真っ暗な太平洋へ船を出し佐々木さんたちが狙うのは、黒潮に乗って北上するメカジキ。夜が明けて海水の温度が上がるとメカジキは海面近くに上がってくるという。
午前8時、乗組員が配置につくが、初日は天候が悪く、早々に漁を終了。2日目の午前7時、見張りを始めると…背ビレのようなものが見えてきた!佐々木さんたちが狙うのは150キロを超える大物だというが、はたして大物メカジキを仕留めることができるのか…!?

長いときは10日間も漁に出たままだという、佐々木さん。その間、家を守るのは妻・幸子(ゆきこ)さんだ。結婚して45年、漁の無事を祈りながら、夫を支えてきたとか。そんな2人のため、小林さんが腕を振るうことに…!
今回も、都内の自身の店で使っている耐火煉瓦製の炭台を運んできた小林さん。メカジキ本来の風味を最大限に引き出すべく、しょうゆと実山椒のタレを使って焼き上げる。そんな“メカジキの山椒照り焼き”に秘められた和食の技とは…!?
また、時速100キロで泳ぎ“海のスプリンター”ともよばれるカジキの知られざる生態について、生物学者の福岡伸一氏が解説する。

今回のシェフ・レポーター

渡辺徹(俳優)
小林雄二(『青華こばやし』主人)

地元の匠

佐々木夫一さん

今回登場した料理

メカジキの山椒照り焼き(小林シェフ)

『メカジキ』

メカジキの知られざる不思議な生態とは!?

草野満代
(ごはんジャパンナビゲーター)

福岡伸一
(生物学者、青山学院大学教授)

時速100キロで泳ぎ、「海のスプリンター」とも呼ばれるカジキですが…なぜ、船が近づいても悠々と泳いでいるんでしょう?
おなじみ、生物学者の福岡伸一教授に映像を見て解説してもらいましょう!

福岡「これは背ビレと尾ビレじゃないですか」
草野「結構ユラユラ泳いでますね」
福岡「そうですね、結構ゆっくり泳いでますよね」
福岡「メカジキは海面を泳いでいたかと思うと急速に潜行して600mとか700mまで一気に潜って水の底にいる獲物も食べるので」
福岡「海面にいるときは潜っていたために消耗したエネルギーを回復したり、ちょっと動きが緩慢になっているのかもしれないですね」

メカジキやマンボウが海面近くで泳ぐのは「バスキング行動」と呼ばれます。

水温が低い場所でエサを取ると疲れる上に体温が下がるので、海面近くまで上昇し体温を上げていると考えられています。
突きん棒漁は、このメカジキの生態を利用した漁法だったんです。

メカジキのうま味を引き出す和食の技とは!?

味が淡白だと思われがちなメカジキですが脂肪に独特な風味があり、またうま味成分もかなりあるんです。

小林「これだけ脂ののった気仙沼のメカジキなので、うま味とかが逃げないようにコーティングさせるために焼く」

表面に塩の層を作ると、脂肪やうま味を閉じ込めかけダレが絡みやすくなります。

かけダレの実山椒にもおいしさの秘密がありました。

山椒の香りには、独特の働きがあるんです。

福岡「実山椒の香りっていうのは脳をダイレクトに刺激するんですよね。それによって、うま味に対する感覚もチューンナップされて感度が上がりますから、全体においしさが増すって効果がある」

山椒の香りには、大脳皮質の感覚野を活性化して甘いものはより甘く、うま味もより強く感じるようにする働きがあるのです。