過去の放送

2018年8月11日放送 「徳島 ハモ」

『夏の風物詩 ハモ』
ロケ地:徳島県小松島市

7月、祇園祭の時期になると、京都で一気に需要が高まるのが、ハモ。今回は夏の風物詩といわれるハモのおいしさの秘密を求めて、徳島出身・11年連続でミシュラン三つ星を獲得した日本料理の名店『かんだ』料理長・神田裕行さんと本上まなみが、徳島・小松島市を訪れる。

2人が出会ったのはハモ漁の“匠”、亀和雄二さん。スーパーなどに出回るハモは500g程度だが、神田さんのような一流の料理人が求めるのは800gほどの太くて立派なハモで、実は神田さんの店では亀和さんが獲ったハモを使用しているという。
番組が取材したのは、祇園祭に向けて、まさに“かきいれ時”の7月13日。番組では、亀和さんのハモ漁に密着! ハモは夜行性のため、漁の本番は夜。ハモが巣穴からでてきたところを、底引き網で獲るという。

市場で競りがはじまるのは、朝5時。夕方6時に出港した亀和さんのタイムリミットは11時間だ。はたして亀和さんのお眼鏡にかなうサイズの型のよいハモは、どのくらい網にかかっているのか…!?
漁が終わると港で待っていたのは、亀和さんの妻・万喜(まき)さん。競りの時刻に間に合わせるため、急ピッチで出荷作業を行うとか…!

そんな夫妻の奮闘ぶりに感動した神田さんが、亀和さんが取ったハモをミシュラン三つ星の技を駆使して、絶品に仕立て上げる。基本にひと手間を加えた、“神田流ハモ料理”とは…!? そして、そのおいしさの秘密とは…!?

今回のシェフ・レポーター

本上まなみ(女優・エッセイスト)
神田裕行(『かんだ』料理長)

地元の匠

ハモ漁の匠
亀和雄二さん

今回登場した料理

神田裕行 料理長
「牡丹鱧煮物椀」

神田裕行 料理長
「梅射込み湯引き鱧」

『ハモ』

おいしいハモの秘密は800g級

神田料理長がこだわるハモは800gの大きさのハモ。
重さ・長さだけではなく、太さも違います。
なぜこの大きさがいいのかというと、ポイントは「脂」です。
ハモは一般的に脂が少ないといわれていますが、800g級になると脂がのってきます。この脂がハモのうま味のもとになります。
しかし、これ以上大きくなると、皮が厚くなり骨切りしても食感が悪くなるといいます。
今回の舞台、徳島県の小松島漁協では200g以下のハモは放流するのですが、800g級まで育つには、ミネラルたっぷりの海底の泥や水温がハモの生息に最適といわれる紀伊水道ならではのこと。
そして、匠のように、800g級のハモを捕獲するハモ漁の名人がいるからこそ、一流の料理人が欲しがるおいしいハモが手にはいるのです。

神田料理長のハモの湯引き おいしさの技

ハモの代表的な料理「ハモの湯引き」に欠かせないのは梅肉ですが、普通は湯引きしてからのせます。
神田料理長は徳島の梅とかつお節を叩いてまぜたものを、湯引きする前にハモに射ちこみます。
骨切りした切れ目に、すり込むように梅肉をのせ、葛粉をつけて、湯にくぐらせること40秒。
そして、あげてから冷やさずに温かいまま食べてもらうのがポイントです。
普通の料理法では、ハモは湯引きして氷水で急冷しますが、それは、パサつきを抑え、身を締めるため。
今回使った800g級のハモは、脂がのっているので、氷水につけなくてもパサつきません。
また、神田さんは、800gの最高に脂がのってきたときのハモは温かい方がうま味が増すといいます。
また、人間の味覚は冷たい料理より温かい料理の方が、料理の風味を強く感じるので、ハモの上品なうま味や甘味を、より味わえるんです。
最高級のハモがもつ、うま味と甘味・・それを生かし切った和食の技でした。