過去の放送

2018年7月7日放送 「石川県 岩ガキ」

『能登の柴垣の天然岩ガキ』
ロケ地:石川県羽咋市柴垣

今回、注目するのは石川・柴垣産の天然岩ガキ。そのおいしさの秘密を求めて、洋食の“匠”、大宮勝雄シェフと、競泳元日本代表で五輪メダリストの松田丈志さんが能登を訪れる。
日本で初めて“世界農業遺産”認定された、石川県の能登の里山・里海。海の生物の多様性を守る、伝統の漁法が評価されたのだという。

今回2人が訪ねるのは、そんな伝統の“素潜り漁”で岩ガキを採る漁師・野口強さん(70歳)。彼の漁に同行した2人は、素潜りで海藻をかき分け、岩ガキを次々とはぎ取ってくる、70歳とは思えないスタミナにビックリ!

また、岩ガキの大きさにも驚く。一般的にほとんどが養殖の真ガキは1年から3年ほどで出荷されるが、天然モノが中心の岩ガキは通常5年ほど育ったものを採り、中には10年を超える大物もあるという。そして、一般に真ガキの旬は冬といわれているが、岩ガキは夏に食べるのがおいしいとか…! 港に戻ってきた2人は、さっそく新鮮な岩ガキを試食! その濃厚さと甘味に感動する。

そんな柴垣の住民と歌とダンスで岩ガキをPRする応援隊の子供たちの為に、大宮シェフが洋食を振舞うことに…! シェフはカキフライのイメージを一新する豪快な一皿を作ると意気込むが、大きな岩ガキをどうやってフライにするのか…!? いったいそのテクニックとは…!? シェフはさらに、地元の子どもたちのために能登の海の幸を詰め込んだスペシャルな一品も作るが、はたしてそれはどんな料理なのか…!?

今回のシェフ・レポーター

松田丈志(競泳元日本代表・スポーツジャーナリスト)
大宮勝雄(『レストラン大宮』オーナーシェフ)

地元の匠

天然岩ガキの匠
野口強さん

今回登場した料理

大宮勝雄シェフ
「柴垣天然岩ガキのカキフライ」

大宮勝雄シェフ
「能登の欲ばりシーフードカレー」

『岩ガキ』

真ガキと岩ガキ 旬が違うのはなぜ?

真ガキも岩ガキも、夏の産卵に備えて秋から冬にかけて、栄養分を蓄えます。
この時、うま味成分のグルタミン酸、甘味のあるグリシンなどのアミノ酸、味にコクとクリーミーさを出すグリコーゲンなどを蓄えておいしくなります。
一般に真ガキの旬は冬、岩ガキは夏と言われおいしくなる時期が違います。
真ガキは春を過ぎると、ため込んだ養分で卵を作り身が痩せて、味が落ちます。そのため、冬から春までに食べるのが一番おいしいのです。
一方の岩ガキは、回数を分けて、徐々に産卵するので、夏場も栄養を蓄えた状態が続きます。卵にもおいしさの秘密があるので、夏に食べるのがおいしく、旬と言われるのです。

天然岩ガキのジャンボなカキフライ
大宮流おいしさの秘密とは?

大宮さんは、カキの甘味やうま味を逃さないために海水と同じ3%の塩水で洗います。
真水で洗うと、浸透圧の関係でうま味や甘味が流れ出てしまうからです。
さらに、片栗粉をまぶして約70℃のお湯で10秒ほど茹でてから冷水ですばやく締めます。これは、ブランシールと言ってフランス料理の技。
表面だけをさっと固めて、うま味や甘味を閉じ込めます。
衣にも、技があります。
小麦粉、卵、牛乳を混ぜて、バッター液を作ります。
しっかり絡みつくので、カキのうま味・甘味を逃さないそうです。
バッター液は普通、卵と小麦粉を水で溶きますが大宮さんは牛乳を使いました。魚介類と牛乳を使った料理はいろいろありますが、牡蠣も牛乳と相性がいいんです。
そしてパン粉にも一工夫。岩ガキは味が濃いので、負けないように、香ばしいライ麦のパン粉を使い、さらに、パルメザンチーズを混ぜます。
チーズの塩味が、カキのうま味、甘味を引き立てます。
そして、オリーブオイルとバターで揚げ焼きにして、岩ガキの柔らかさを生かすため中まで火が通りすぎないようにしたのです。
素材の良さを最大限に引き出した大宮シェフのカキフライの技です。