過去の放送

2018年6月2日放送 「九谷焼」

『九谷焼×加賀料理』
ロケ地:石川県金沢市&能見市

今回は森尾由美が金沢を訪れ、“金沢にこの人あり”といわれる料亭『懐石 つる幸』の2代目主人、河田康雄さんと共に九谷焼の魅力を探求! 世界的な評価も高い料理人・河田さんが、加賀野菜をメインに使った絶品料理の数々を九谷焼の器に美しく盛り付ける…!

加賀百万石の歴史を今に伝える金沢。江戸時代、加賀百万石の贅を尽くした華やかな食文化、その表舞台としての料亭。芸を楽しむ茶屋街が生まれたという。
河田さんいわく、加賀料理は素朴な郷土料理。それを豪華な九谷焼の器に盛ることで華やかな加賀料理として完成させるのだという。

九谷焼の最大の特徴は、色と絵柄を使った上絵という装飾。色は九谷五彩という“緑、青、赤、黄、紫”の五色を使うのが基本だ。
九谷焼とは元々、江戸時代、加賀国大聖寺藩で焼かれたもの。その時代のものは古九谷とよばれており、その後、加賀藩のもと、多くの窯によって多彩な画風が生まれ、九谷焼は産業的発展を遂げたという。幕末から明治になると“彩色金襴手”とよばれる緻密で絢爛豪華な九谷焼が海外へ輸出され、“ジャパン・クタニ”として、海外でも知られるようになったという。

『つる幸』所有の蔵を訪ね、河田さんからとっておきの九谷焼の皿を見せてもらった森尾。“九谷茶碗まつり”にも足を運び、九谷焼の魅力に触れていく。

その後、河田さんに連れられ、九谷焼の窯元として4代続く“泰山窯”へ。迎えてくれたのは九谷焼の“匠”、武腰潤さんと妻の外志恵さん。武腰さんの作品の特徴は、なんといっても色のオリジナリティー。海外の展覧会も多く、形と色の変革として紹介されるなど革新的な作家だという。芸術性も高く評価されており、ニューヨークのメトロポリタン美術館に作品が収蔵されるほどだとか。

今回、2人は焼きあがったばかりの作品の窯出しに立ち会わせてもらうことに。いったいどんな器と対面できるのか…!?

そんな武腰さんの器を見て「盛り付けたい、仕事したいという、意欲がかき立てられる」と話す河田さん。武腰さんの器を使って、絶品の加賀御膳を作り上げるという。
メインに使用する食材は今が旬の加賀野菜、“加賀太きゅうり”。そのほか金沢の食材を使って、武腰さんの美しく繊細な九谷焼の器に盛り付けていく…! 料理と器が出会ったとき、はたしてどんな芸術が生まれるのか…!?

今回のシェフ・レポーター

森尾由美(女優・タレント)
河田康雄(『懐石 つる幸』 主人)

地元の匠

九谷焼の匠 
武腰潤さん(泰山窯 4代目)
奥様 外志恵(としえ)さん

地元の店

九谷茶碗まつり
毎年5月3日から5月5日まで開催
石川県 能美市 泉台町南22
場所:九谷陶芸村特設会場

今回登場した料理

河田料理長の加賀御膳

河田料理長
日本海の海鮮と加賀野菜の和サラダ
武腰潤作 牡丹の台皿

河田料理長
太きゅうり釜 治部煮風

『九谷焼』

九谷焼と加賀料理

九谷焼きは九谷五彩(くたにごさい)と呼ばれる『緑、青、赤、黄、紫』の5色が使われます。
「地味な料理も器が引き立てる」と言われるほど豪華な絵柄に見とれてしまうのが、昔ながらの九谷焼ですが‥
河田料理長は「絵柄の上に料理を盛る、視覚的なおいしいさ。
味わってもらって舌で楽しい。そして、器が見えた時に器の楽しさ。
だから、3度おいしいわけ。それが九谷焼です」
つまり、盛り付けを楽しみ、料理を味わい、器を鑑賞する‥
3度美味しいのが、加賀料理なんで。

野菜の色をいきいきと仕上げる和食の技

加賀太きゅうりは、さわやかな緑色が特長ですが加熱すると、茶色く変化してしまいます。
これは、緑色の元になる葉緑素が化学変化をおこすから。
緑を残すため、煮る前に河田料理長がきゅうりにかけたものは重曹水。
できるだけ早く、青いまま柔らかくしたいからなんです。
重曹には、野菜の繊維を分解して柔らかくし、緑黄色野菜を、色鮮やかにする効果があります。
茹でる前に柔らかくすることで下茹での時間はわずか2分。
出汁で味を含ませるのも同じく2分ほどで済ませます。
そして…すぐに氷で冷やしました。
加熱する時間を極力抑えて、鮮やかな緑を残したんです。