過去の放送

2018年4月7日放送 「山口県萩市 シロウオ」

『春を告げる魚・シロウオ』
ロケ地:山口県萩市

今回注目するのは、山口県萩市に春の訪れを告げる“シロウオ”。そのおいしさの秘密を求めて、京料理の名店『たん熊北店』京都本店 三代目主人の栗栖正博さんと勝村政信さんが現地を訪れる。

萩に春を告げる魚・シロウオ。名前も大きさも、白魚(シラウオ)とよく似ているが、別の魚で、シロウオはハゼの仲間。毎年3月に行われる“しろ魚まつり”は、萩の早春の風物詩として知られ、多くの人々が“シロウオの踊り食い”を目当てに訪れるという。

今回、2人が訪ねたのは、シロウオ漁の“匠”、山影瀧男さんと妻のシゲノさん。普段は夏ミカンやハッサクなどを栽培しているが、この時期だけ、シロウオ漁師になるという。

番組では、夫婦が行う伝統のシロウオ漁を取材。2人は日本海に注ぐ松本川を舞台に、江戸時代から続く“四つ手網漁”という漁法でシロウオをとっているという。はたして、その“四つ手網漁”の仕組みとは…!?
そんな伝統漁法でとったばかりのシロウオを踊り食いで味わった2人は、大感激。さらに、シロウオのかき揚げも堪能する。

山影さん夫婦が結婚したのは、今から49年前。当時は1シーズン4トン近いシロウオがとれ、漁師も40人以上いたそうだが、今年、シロウオ漁を行っているのはたった8人。とれ高も150キロに届かないほどで、ピークの20分の1ほどに減っているという。そこで、山影さんたち残ったメンバーは資源を守ろうと、シロウオの産卵に適した岩場を作るなど、環境整備を開始。シロウオ祭りなどのPR活動も積極的に行っている。

萩の伝統を守ろうと奮闘する2人に、感動した栗栖さん。地元の料亭を借りて、腕を振るうことに…! 用意した食材はシロウオをはじめアマダイ、菜の花、タラの芽、春大根など。さらに『たん熊北店』伝統の出汁も再現し、萩の春をシロウオでおいしく表現するという。京料理の匠・栗栖さんは、いったいどんな料理を作り上げるのか…!? その繊細かつ驚きの技とは…!?

今回のシェフ・レポーター

勝村政信(俳優)
栗栖正博(『京料理 たん熊北店』 主人)

地元の匠

シロウオ漁の匠
山影瀧男さん

シゲノさん

地元の店

割烹 千代
住所:山口県萩市今古萩町20-4
電話:0838-22-1128 FAX:0838-22-1137

今回登場した料理

山影シゲノさん
「シロウオのかき揚げ」

栗栖正博さん
「シロウオのだし氷締め」

栗栖正博さん
「シロウオと春野菜のしゃぶしゃぶ」

栗栖正博さん
「春爛漫の炊き込みご飯」

『シロウオ』

シロウオ(素魚)とシラウオ(白魚)

シロウオは、身体は小さいのですが、体長4cm程でも立派な成魚です。
漢字では「素魚」と書きます。
姿も名前もよく似ている「白魚(シラウオ)」と同じ魚と間違われることがありますが、「シロウオ」がスズキ目ハゼ科に属するのに対して、「白魚(シラウオ)」はサケ目シラウオ科で、まったく別の魚です。
寒さが和らぐ2月下旬から、産卵のために川を遡上してくるため、萩では、春を告げる魚と呼ばれて親しまれています。

ちなみに「シラス」は主にカタクチイワシやマイワシといったイワシの仲間の稚魚のこと。
イカナゴやウナギ・アユなどの稚魚も含め、体に色素がなく白い稚魚の総称です。

おいしさの秘密はだしにあり

ピチピチの食感と季節感を楽しむのがシロウオ。
シロウオ自体にほとんど味がないので、栗栖さんは、うま味を抽出しただしと合わせました。
たん熊と言えば、利尻昆布と枕崎のかつお節で引く一番だし。
そこに、今回アマダイのだしを足します。
アマダイを3枚に下ろし、頭と中骨だけを炙ってだしをとります。
中骨の周りには、うま味成分がたっぷり!
香ばしい風味とともに、いいだしがでるのです。
塩、お酒、薄口しょうゆ、ポン酢を入れ完成。
お酒で臭みを取り、ポン酢の酸味と薄口しょうゆの塩味が、だしのうま味を一層引き立てます。