過去の放送

2018年3月31日放送 「自然薯」

『山林が育む宝 自然薯』
ロケ地:茨城県北茨城市

“山のうなぎ”ともよばれる、自然薯。いわゆる山芋の一種だが、強い粘りと独特の野生の風味を持つ日本伝統の食材だ。そんな自然薯のおいしさの秘密を求めて、和食の“匠”、笹岡隆次さんと浅田舞が北茨城市を訪問する。

2人が訪ねたのは、自然薯栽培の“匠”、山縣繁一さん(69歳)夫婦。2人は裏山まで自然薯を掘りに出かけるという山縣さん夫妻に同行。貴重な天然の自然薯を求めて、急こう配の山を登ることに。
しかし、自然薯が埋まっている場所を見つけるのは至難の業…。しかも、天然の自然薯は、まっすぐ伸びているとは限らず、気をつけながら掘り続けること1時間! ようやく、天然の自然薯と対面することができた。堀ったばかりの自然薯をかじってみた笹岡さんは、その粘りの強さと香りの良さに驚く。

その後、2人は山縣さんがはじめた自然薯の畑も見学! なんと、山縣さんは自身の畑で自然薯を栽培。粘り、甘味、色味、いずれも天然ものと遜色ない自然薯を育て上げることに成功したという。いったい山縣さんは、どうやって天然ものの風味を再現することができたのか…!? その栽培の工夫とは…!?

もともと農協の職員だった山縣さん夫婦。自然薯の魅力を広めたいと安定した農協勤めを辞め、自然薯の栽培を開始したのだが、それだけでは物足らず、蕎麦店も開いたという。
そんなおしどり夫婦が苦労の末に育て上げた自然薯を、笹岡さんはどんな絶品料理に仕立てあげるのか…!? 和食の“匠”、笹岡さんならではの技とは…!?

今回のシェフ・レポーター

浅田 舞(スケーター・スポーツキャスター)
笹岡隆次(『恵比寿 笹岡』主人)

地元の匠

山縣繁一さん、ミツエさん

地元の店

そば道場 さくら野
住所:茨城県北茨城市華川町小豆畑1138

今回登場した料理

つけとろろそば膳(匠・山縣さん)

薯蕷(じょうよ)蒸しの粒そばかけ(笹岡シェフ)

『自然薯』

天然ものの風味を畑で再現!自然薯作りの秘密

山縣さんは自然薯が育つ環境を、畑で再現しようとしました。
天然物が育つ土壌は、枯葉などが積もって栄養豊富なようですが、芋が育つ地下の部分は、あまり栄養がないそうです。

自然の土壌を再現するため、畑の表面には栄養分が多い土をまき、芋を育てるシートの中には、栄養分が少ない山砂を使いました。
さらに、森を再現するため、根に太陽の光ができるだけ当たらないよう、黒いシートを敷きました。
これにより、光を遮り適度な湿度を保つと天然ものに劣らない風味と粘りの強い自然薯が完成したんです。

薯蕷(じょうよ)蒸しの粒そばかけ おいしさの秘密

笹岡「山縣さんの自然薯を色々楽しんで頂きたいので3種類の食感を用意しました。」

お馴染み、『ねっとり』、『もっちり』のとろろも、蒸すと食感が変わります。
とろろを蒸すと、すった時に出る気泡が膨らみながら固まるので、『ふわふわ』の食感に。
粗めに叩いた方はデンプンが変化してじゃがいものような『ホクホク』の食感になります。
千切りの『シャキシャキ』感はそのまま使いました。

一つの自然薯から3つの食感を引き出し、蒸した鯛を、かつおだし、しいたけ、野菜のうま味で全体をまとめたんです。

海の幸と山の幸の出会い、これは『出会いもの』と言われ、季節ごとに海の幸や山の幸など相性の良い旬の食材を組み合わせ豊かな味わいを生み出してきた和食の伝統なんです。
和食はやっぱり季節感。
伝統を踏まえつつ革新する笹岡さんの技でした。