過去の放送

2018年2月10日放送 「長崎・ゆでぼし大根/千葉・マカジキ」

『鮨青木×てんぷら 近藤 銀座の名店 夢の競演スペシャル』
長崎県・西海/千葉県・勝浦

今回は、『てんぷら 近藤・鮨青木 銀座の名店 夢の共演SP』と題した1時間スペシャルをお送りする。鮨のグランシェフ・青木利勝さんは、市川染五郎改め、十代目松本幸四郎さんと共に長崎へ。長崎の海の幸とゆでぼし大根を使って、極上の寿司を握る。
また、天ぷらのグランシェフ・近藤文夫さんは真琴つばささん、前川泰之さんと共に千葉・勝浦へ。マカジキ漁に密着すると共に、房総の海の幸を豪快に揚げる。
さらに、寿司と天ぷら――2人の匠がそれぞれの技を生かして夢の競演! 東西の食材を持ち寄って仕上げた、極上のかき揚げとは…!?

青木利勝さんと松本幸四郎は、長崎県・西彼杵半島の西海市へ。伝統の食材“ゆでぼし大根”作りの“匠”、松本英喜さん一家を訪ねる。
ゆでぼし大根は、断崖絶壁に吹きつける季節風と太陽のエネルギーが生み出す、長崎伝統の食材。岬の断崖の上に組まれた櫓の上で茹でた大根を干すことで、独特の甘味が生まれるという。青木さんと幸四郎は海抜50メートル、足がすくんでしまう高さの櫓の上で、大根干しの作業を体験する。
その後、松本家でゆでぼし大根入りの豚汁をご馳走になった2人は、その甘さに感激。青木さんは長崎の海の幸を握るほか、ゆでぼし大根を使ったメインの寿司を披露! はたして青木さんはゆでぼし大根をどう使うのか…!?

そして、天ぷらのグランシェフ・近藤文夫さんは真琴つばさ、前川泰之と共に千葉・勝浦へ。3人が出会ったのはマカジキ漁師の“匠”、嶋津博さん(77歳)。この道61年の大ベテランで、現在は息子の圭一さん(47歳)と2人で漁に出ている。前川は、嶋津さん親子のはえ縄漁に同行。巨大なマカジキとの格闘に大興奮する。

そんな嶋津さん親子を、自身の店に招いた近藤さん。そこに青木さんと幸四郎も合流し、『てんぷら 近藤』『鮨青木』という銀座の名店による、夢の競演がはじまることに…!
まずは激闘の末に釣り上げたマカジキを青木さんが握り、近藤さんが天ぷらに。そもそも赤身の魚は加熱すると臭みが出やすいため天ぷらには向かないとされており、近藤さんにとってマカジキの天ぷらは初挑戦! はたして近藤さんはどんな技を使って、マカジキをおいしい天ぷらに仕上げるのか…!?
続いては、近藤さんがゆでぼし大根を使ったかき揚げを振るまうが、いったいどんなかき揚げが出来上がるのか…!?
このほか、生物学者の福岡伸一氏が、マカジキのおいしさの秘密やゆでぼし大根の甘さの秘密を科学的な視点から解説するコーナーも!

今回のシェフ・レポーター

青木利勝(『銀座 鮨青木』店主)
近藤文夫(『てんぷら 近藤』主人)
前川泰之(俳優)
真琴つばさ(歌手・女優)
松本幸四郎(歌舞伎役者)
※五十音順

【解説】
福岡伸一(生物学者、青山学院大学教授)


地元の匠

ゆでぼし大根の匠・松本英喜さん

マカジキ漁の匠・嶋津博さん、圭一さん

地元の店

ちとせ鮨
長崎県大村市桜馬場1-196-12
定休日:月曜日



今回登場した料理

ゆでぼし大根の豚汁

アオリイカの握り カラスミのせ

鯵の握り 玉ネギ醤油

昆布〆 伊勢エビの握り キャビアのせ

炙りクエの握り 雲丹のせ

うず潮カキの握り 牡蠣のつめ醤油

青木流 大村寿司

マカジキの背トロの握り

近藤流 桜味噌漬けマカジキの天ぷら

近藤流 ゆでぼし大根と海老のかき揚げ

てんぷら 近藤×銀座 鮨青木 マカジキの漬け天丼

ゆでぼし大根とマカジキ

ゆでぼし大根の甘さの秘密
福岡教授が教えてくれました!

福岡伸一
(生物学者、青山学院大学教授)

福岡「ただ干すだけではなくて、ゆでてから干す。
ここに面白さがあるわけですね。
ゆでることでお湯の中をくぐらせますから余分なアク、雑味成分が抜け出ることが大事。
大根本来の甘さがより強調されるという利点が一つあります。」

植物は動物に食べられないように嫌な味がする刺激性の物質を持っています。
大根には、辛い「イソチオシアネート」や、渋い「ポリフェノール」等が含まれ、それが雑味の元なんです。
大根をゆでると、その一部がアクとなって取り除かれます。
ゆでぼし大根の場合は、さらに干して水分を飛ばすため、大根が持つ甘味が凝縮されるんです。
これが、ゆでぼし大根をさらにおいしくさせている科学的な秘密なんです。

ゆでぼし大根を押し寿司の主役にした
青木流 「戻しの技」

普通、ゆでぼし大根は水で戻しますが、水に漬けると甘味成分も水に溶けだしてしまいます。
今回、青木さんはポン酢で戻しました。
ポン酢は塩分濃度が高いので、浸透圧によって甘味成分が逃げにくく、ゆでぼし大根本来の甘味が活きます。
また、ポン酢は酸性なので、大根の繊維が硬くなり、シャキシャキの食感が生まれます。

一方、酒かすに漬け込むと酵母が大根のタンパク質を分解して、食感が柔らかくなります。

牡蠣の煮汁で煮ると磯の香りとうま味成分が大根にしみわたります。

ゆでぼし大根を5種類もの風味に仕上げた青木さん。
匠の技が新たな大村寿司を生み出しました。
料理は創意と工夫!鮨青木の神髄、ここにあり!

クロマグロにも引けをとらない!カジキの背トロのおいしさの秘密

福岡「早く泳ぐために強力な推進をするための筋肉がいるわけです。
そして立派な背びれがついています。
あれもまっすぐ泳ぐためのナビゲーションとして大事な武器なので、それを支えるためにも背中側に非常に筋肉がつくし、筋肉にエネルギーを送り込むためにたくさんの脂を備えているわけです。」

早く泳ぐために筋肉が発達し、エネルギーを蓄えるために脂肪がつく。マグロのトロに負けないおいしさは、抜群の運動能力から生まれているんです。
福岡博士曰く、脂が乗った背トロはあの巨大な背びれを動かすために発達したものなんだそう。