過去の放送

2018年2月3日放送 「ジャージー牛」

『ジャージー牛の魅力を引き出す熟成の技』
群馬県下仁田町

今回注目する食材は、群馬県下仁田町産のジャージー牛の赤身肉。そのおいしさの秘密を求めて、熟成肉の匠として知られる神谷英生シェフと渡辺徹さんが牧場を訪れる。極上の赤身肉のおいしさをさらに引き出すべく、神谷シェフが熟成に挑む!!

2人が訪ねたのは、今から130年前に洋式牧場として開かれた“神津牧場”。
明治時代、栄養豊富な牛乳で日本人の体質を改善するためにアメリカから輸入されたともいわれているジャージー牛は濃厚な牛乳を生みだす乳牛として育てられてきたが、この牧場ではジャージー牛を肉牛として育てているという。
牧場長の須山哲男さんは、もともと岩手県にある国の農業試験場で牛の放牧を研究。赤身肉ブームの火付け役となった“日本短角牛を研究するチームのリーダーとして、エサや放牧の工夫を重ねてきた。その後、“神津牧場”の牧場長に就任し、短角牛の経験を生かして同じ赤身肉のジャージー牛を育てているという。
須山さんたちの牧場では、子牛のうちから牧草を発酵させた“サイレージ”を食べさせて胃を強くするほか、2歳になるまで牧草地でのびのび運動させ、自由に牧草を食べさせている。いちばんのポイントは、その後。さらに4カ月間、穀物飼料を与えると脂肪がつき、おいしい赤身肉ができるようになったという。そんな独自の飼育方法で大切に育てられた牛肉は、ミルキーな甘い香りがする赤身肉として今、評判をよんでいる。
牧場を見学した肉のスペシャリスト・神谷シェフは、さっそくジャージー牛の味をチェックすることに! ロース肉を炭火で焼いてみたところ、その甘さとジューシーさに2人は感動する。

そんな極上の肉をさらにおいしくしようと、神谷シェフが東京・目黒区の店で熟成をスタート! しかし、普通の熟成方法ではジャージー牛の魅力である“ミルキーな甘い香り”が飛んでしまうことがわかる。
工夫を凝らして熟成すること3週間、ついにジャージー牛の熟成肉が完成! シェフは牧場スタッフをよんでふるまうことに。
神谷シェフはこのジャージー牛のロース肉を、ワインでしゃぶしゃぶにした上、チーズフォンデュとして、ジャージー牛の濃厚な牛乳から作ったチーズを絡めて味わうレシピを考案。ジャージー牛のチーズと熟成肉の組み合わせは、はたしてどんな味わいを醸し出すのか…!?
また、番組ではジャージー牛の香りを生かしてうま味を引き出した、神谷シェフの熟成の技を科学的な視点から解説する。

今回のシェフ・レポーター

渡辺徹(俳優)
神谷英生(『ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ』オーナーシェフ)


地元の匠

須山哲男さん



今回登場した料理

神谷シェフ
ジャージー牛のステーキ

神谷シェフ
熟成ジャージー牛のチーズフォンデュ

『ジャージー牛』

ジャージー牛の香りとうま味を活かした熟成の技

チーズと絡ませても負けない、ジャージー牛の香りと
うま味を引き出した熟成の技とは?
神谷シェフに教えてもらいました。

神谷シェフの普段の熟成の仕方は、1度から2度の低温、
湿度は0%が基本。乾燥した熟成庫で水分を抜き、
うま味を凝縮しながら酵素の働きでうま味成分を増やします。
でも、今回のジャージー牛はそのミルキーな甘い香りが特徴。
乾燥させて水分が抜けるとき、その特徴的な甘い脂の香りも
一緒に抜けてしまいます。
そこで、今回神谷シェフが試みたのは、湿度を50%に設定したこと。
さらに、ミートラッパーという布の袋で肉全体を包み、
水分と香りが抜けないように時間をかけて3週間熟成させました。
その結果…狙い通り、ミルキーな香りとうま味を両立させることに成功!
素材が持つ特徴を生かし、さらに引き立たせる熟成の技。
おいしさの裏に、科学あり!