過去の放送

2018年1月27日放送 「熊本県 クマエビ」

『うたせ船で獲る八代海の極上エビ』
熊本県芦北町

八代海で採れる極上のエビを使って作られる“吊し焼きエビ”は、薩摩藩主島津家の正月料理として使われた、最高級のだし用のエビ。現在でも、晴れの日の料理に使われているという。
今回は伝統の吊し焼きエビにも使われる熊本県産の“クマエビ”に注目。そのおいしさの秘密を求めて、日本料理の達人・笹岡隆次シェフと菊池桃子さんが、熊本県芦北町を訪れる。

八代海でとれる極上のエビを求めて2人が訪れたのは、芦北町の佐敷港。エビ漁の“匠”、石村石末さん(78歳)は妻の順子さん(74歳)、息子の重隆さんと共に伝統の“うたせ漁”でクマエビをとっている。
クマエビは、クルマエビの仲間。甘みが強くて脚が赤いのが特徴で“アシアカエビ”ともよばれている。天然では主に西日本に生息し、養殖や流通にもむかないため、市場に出回らない珍しいエビだという。

番組では石村さん一家の漁に密着。けたうたせ網漁は、まるで大航海時代のような帆船で風の力だけで船を進める、300年の伝統を誇る漁法。風を読み、帆を操る匠の熟練の技と一家の息の合った動きに脱帽する。2人は50年連れ添っているという石村さん夫妻のこれまでの苦労を聞いて感動する。
さらに、エビの頭をだしに使ったみそ汁をご馳走になり、甘さとうま味に驚く。

石村さん夫妻の絆に感激した笹岡シェフは、クマエビを使って2人の“金婚式”を祝う料理を作ることに。笹岡シェフが繊細な技を使って作り上げた、祝いの席の料理とは…!?
また番組では、笹岡シェフのレシピのおいしさの秘密を科学的な視点から紹介する。

今回のシェフ・レポーター

菊池桃子(女優)
笹岡隆次(『恵比寿 笹岡』主人)


地元の匠

けたうたせ網漁の匠
石村石末さん

吊し焼きエビの匠
宮本三希子さん



今回登場した料理

「クマエビのみそ汁」

「金婚式祝い クマエビの黄金煮」

「笹岡流 クマエビのかやく飯」

『クマエビ』

“魔法のソース”エビミソの おいしさの秘密

エビのミソは、肝臓とすい臓が一緒になった「肝膵臓」という部分でフォアグラやあん肝のようなもの。
うま味成分のイノシン酸やグルタミンや糖、脂質などが含まれ、濃厚な味わいがあります。

笹岡さんは、エビミソの風味を二通りに使い分けました。
まず、エビの頭に日本酒と水を加えて煮込み、殻ごと漉したものを、黄金煮の濃厚なソースに。
一方、かやく飯のふりかけは、しょうゆで香りと下味をつけ、じっくり揚げることで、カリカリの食感と香ばしさをプラスしました。
こちらも、頭を丸ごと揚げたものを刻むので、エビミソのうま味を全部味わえます。

エビのミソの濃厚な味わいを活かす、和食の技です。