過去の放送

2018年1月20日放送 「雪下野菜」

『山形一の雪下野菜を目指して』
山形県村山市 

今回注目する食材は、山形県村山市産の雪下野菜。そのおいしさの秘密を求めて、中国料理の人気シェフ・五十嵐美幸さんと俳優の迫田孝也さんが、村山市を訪れる。

例年1m以上も雪が積もる豪雪地帯である、山形県村山市。降りしきる雪の中、作業をしていたのが雪下野菜作りの“匠”、髙橋和義さんと妻の美智子さんだ。夫妻は息子の恒さんや研修生と共に広さ1万8,000坪、東京ドームより広い農園で雪下野菜を作っている。
しかし、“高橋農園”以外、周囲の畑で作業している人はいない。それもそのはず、普通、村山市内の農家は冬期は休みに入るが、高橋農園ではこれからが収穫の時期だという。
さっそく雪の下で野菜がおいしく育っているかどうか確かめることにした一行。雪の下から掘り出した大根やカラフル人参はまるで果物のように甘くなっていて、五十嵐シェフも驚くほど。さらに、夫妻にとって新たな試みだったという雪下白菜もしっかり甘くなっていて、一同は感動する。

もともと、農家の保存食だったという雪下野菜。冷蔵庫もスーパーもなかった時代、あくまで自家用の保存食として作られていたのだ。甘味が増すことは知られていたが、手間がかかる上に、見栄えもよくないため、商品になるとは誰も思わなかったそう。
そこに目を付けたのが、スーパーの野菜売り場で働いていた、髙橋さん。消費者がおいしいものを求めていることを見抜いた髙橋さんは「見かけのいい雪下野菜を作れば、必ず売れる!」と考え、10年前、50歳を過ぎてチャレンジしたのが、近所で誰もやっていない雪下野菜作りだったという。
以来、失敗を重ねること10年。納得いく野菜を作るため、還暦を過ぎた今もチャレンジを続けているという。そんな父の姿を見て育った息子の恒さんは昨年、勤めていた会社を辞め、生産者の道を歩みはじめた。
そんな匠のチャレンジ精神に打たれた、五十嵐シェフ。雪下野菜のうま味と甘味を生かすため、店でも出したことのない初めての料理にチャレンジすることに。
その主役は野菜。そして、脇役に選んだのがなんと、ズワイガニ! はたして五十嵐シェフは、雪下野菜をどんな中華料理に仕上げるのか…!? 
また、番組では雪下野菜の甘さの秘密や、五十嵐シェフの絶品中華レシピの技を科学的な視点から分析していく。

今回のシェフ・レポーター

迫田孝也(俳優)
五十嵐美幸(中国料理『美虎』オーナーシェフ)


地元の匠

髙橋和義さん、美智子さん



今回登場した料理

美智子さん
「ふろふき大根」

五十嵐シェフ
「雪下揚げ餅のカニあんかけ」

『雪下野菜』

五十嵐流 野菜の甘味を活かす技

ヒントになったのは、中華のおこげ。
おこげの代わりにお餅を使い、中に野菜を練りこんで新しい食感を生み出そうと考えた五十嵐シェフ。
しかし、雪下野菜の糖度が高く、お餅が揚がりきる前に野菜が焦げてしまう…。
甘い雪下野菜ならではの難題でした。

そこでシェフが考え付いたのが「ベーキングパウダー」。
生地を膨らませる働きがあるベーキングパウダーをお餅の生地に混ぜることで、お餅に熱が通りやすくなり、野菜が焦げる前にほどよく揚がるようにしたんです。

雪下野菜の甘味を最大限に引き出し、お餅の食感も生かした五十嵐シェフの技でした。