過去の放送

2017年11月25日放送 「京都 湯葉&大豆」

『京料理 匠たちの競演』
ロケ地:京都府京都市&南丹市

和食の中でも特に繊細で芸術的といわれ、独特の伝統と技が育まれている“京料理”。
そんな京料理で、多くの食通を唸らせてきた名店、“京料理 たん熊北店”。昭和3年の創業から高級カウンター割烹として人気を博し、繊細な料理は谷崎潤一郎など昭和の文豪たちをはじめ、各界の著名人にも愛されてきた。
今回は三田寛子さんが、その“たん熊北店”を訪問。なかなか見ることができないたん熊の厨房を特別に公開! 最高の京料理が生み出される味の秘密に迫っていく。

“たん熊北店”三代目主人、栗栖正博さん(60歳)は昨年、京都府文化賞功労賞を受賞。2017年には、今日本の食材、食文化の復旧に貢献した人に贈られる“料理マスターズ”も受賞するなど、まさに京料理界の第一人者として知られている。

番組がたん熊北店の厨房に密着すると、新鮮な魚や豆腐、かつお節などこだわり抜いた最高の食材を、それぞれの“匠”ともいうべき専門業者たちが配達に来る場面に遭遇する。

そんな中、三田さんが特に注目したのは“湯葉”。「汲み上げ湯葉をそのまま食べてみたい」と栗栖さんと共に、たん熊に湯葉を卸している老舗“千丸屋”へ。千丸屋は湯葉一筋200年以上、江戸時代から続く名店だ。
汲み上げ湯葉とは最初にできた膜だけを丹念に汲み上げた、まさに豆乳の“一番搾り”ともいうべきもの。千丸屋七代目の越智忠太郎さんを訪ね、汲み上げ湯葉をご馳走になった2人は、その甘さと食感に感動する。

さらに2人は、千丸屋の湯葉を支える大豆専門問屋も訪ねる。京都で100年続く大豆専門問屋の二代目・北尾吉太郎さん(91歳)は、大豆一筋70年の大ベテラン。京都産の大豆が減ったことに対する責任感から、大豆問屋でありながら、昨年には大豆作りまで開始。問屋と生産者の2足のわらじの生活を送っているという。

そしていよいよ、たん熊北店の主人・栗栖さんが日頃、食材を納めてくれる“匠”たちへの感謝を込めて、京料理を振る舞うことに。作るのは、“鯛の汲み上げ蒸し”。匠たちが育てた素材と栗栖さんの出会いから生み出された、極上の京料理とは…!?
このほか、“京料理の命”ともいえる、たん熊北店ならではのだしの秘密なども公開する…!

今回のシェフ・レポーター

三田寛子(女優)
栗栖正博(『京料理 たん熊北店』 主人)


地元の匠

京湯葉の匠 千丸屋
七代目 越智忠太郎さん

大豆の匠 北尾吉三郎商店
二代目 北尾吉太郎さん

昆布&かつお節の匠 柿善商店
五代目 川合洋平さん

地元の店

京湯葉 千丸屋 本店
住所:京都市中京区堺町通四条上ル
TEL:075-221-0555
くみあげゆば 810円 (持ち帰り用)


柿善商店
住所:京都市東山区祇園町北側288
TEL:075-561-0699


京料理 たん熊北店 京都本店
住所:京都市中京区西木屋町四条上紙屋町355
TEL:075-221-6990

御昼食:半月弁当 3,780円〜
御夕食:会席料理 16,200円〜 (別途サービス料あり)



今回登場した料理

栗栖正博さん
「八寸」

栗栖正博さん
「すっぽんの丸鍋」

栗栖正博さん
「鯛の汲み上げ蒸し」

千丸屋
「汲み上げ湯葉」

北尾吉三郎さん
「オオツルの水煮」

『だし』

たん熊北店では、井戸水でだしをひいています。

栗栖さん「京都の井戸水は軟水の中でも、柔らかい水で硬度35から38。非常に昆布だしが出やすいんです」

硬度とは、水1リットルに含まれるカルシウムとマグネシウムの量を表すもの。
120mg/lより少ないと軟水と呼ばれます。  

カルシウムやマグネシウムなどが多い硬水では、昆布の組織がゆるみにくくなるのでうま味成分が出づらくなります。
日本の水は軟水なので、おいしいだしがとれますが、京都の水のように、硬度が50度以下だと、和風だしが、さらに出やすくなるといわれているのです。

京料理 たん熊北店の一番だしのひきかた

栗栖さん「どんな料理にも一番だしをベースにしてここにプラスアルファして、料理を作り上げていくんです」

(1)水20リットルに昆布300gを入れ、火にかける。
 温度が60℃になったら、それ以上温度をあげないこと。

(2)60℃のまま1時間、じっくり煮出す。
 ※これ以上温度を上げて昆布を入れたままにすると、昆布の方から嫌な香りやとろみなど雑味が出てきてしまう。

(3)1時間煮出したら、昆布を取り出して温度をあげる。
(4)85℃を超えたら火を止めて、薄削りのかつお節600gを入れる。

(5)かつお節を入れて1分、最後に布でこします。
 ※布を上から押したり、布を絞ったりすると、かつお節の渋み、酸味がだしの方に入ってしまう。

水1リットルに昆布15g、かつお節30gの割合です。