過去の放送

2017年7月1日放送 「チーズ」

『世界が認めたチーズと世界一のピザ職人』
ロケ地:広島県三次市

今回注目する食材は、チーズ。世界ピザ選手権で2年連続の優勝という快挙を成し遂げたピザ職人・山本尚徳さんと、プロレスラーの真壁刀義さんが、広島・三次市で極上チーズを作り出す“匠”と出会う。

2人がやって来たのは、中国地方の山間部にある、広島・三次盆地。国際チーズコンクールで金賞を受賞した、世界が認めるチーズ作りの“匠”、松原正典さん(42歳)を訪問するためだ。
まずはチーズの原材料である、ミルクを生み出す放牧場に向かう。斜面に広がる放牧場は、広さ8ヘクタール、東京ドーム2個分の広さ。松原さんは、山地でのびのびとヤギや牛を育てる“山地酪農”にこだわっており、自然のエサだけを食べさせているという。
続いては、松原さんのチーズ工房へ。2人は、国際チーズコンクールで金賞を受賞したヤギのチーズ“フロマージュ・ド・みらさか・シェーブル”と対面。これは、白カビをつけて2週間熟成させたカマンベールタイプのチーズを柏の葉で包み、さらに1週間寝かせて香りをつけた、松原さんオリジナルのチーズ。試食させてもらった2人は、そのおいしさに衝撃を受ける。
さらに、モッツアレラチーズをスモークした“スカモルツァ”もご馳走してもらう。熱を加えると香りと伸びがよくなるというこのスカモルツァは、熱して温めたジャガイモにのせていただくことに。2人とも、その食感と塩加減にただただ感動する。

今や世界が認めたチーズ職人となった松原さんだが、元々はチーズに関心があったわけではないという。そんな松原さんがなぜチーズの国際大会で金賞を受賞するまでになったのか、番組ではその歩みも紹介。
そして、松原さんの酪農やチーズへのこだわりに感動した山本シェフが、松原さんの作ったチーズ9種類を組み合わせてピザを焼くことに…! はたして、“世界一のピザ職人”と“世界が認めたチーズ”は、どんなコラボを果たすのか…!? このほか、山本シェフは子どもたちが喜ぶ、甘いピザも披露。これには、スイーツに目がない真壁も大喜びして…!?
さらに、山本シェフは冷めたピザをフライパンで復活させる技も伝授! また、生物学者の福岡伸一博士がとけるチーズのおいしさの秘密や、9種類のチーズを組み合わせた山本シェフならではの“技”について、科学的な視点から詳しく解説する。

今回のシェフ・レポーター

真壁刀義(新日本プロレス)
山本尚徳(『ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ』オーナーシェフ)


地元の匠

松原正典さん

地元の店

「三良坂フロマージュ」
住所:広島県三次市三良坂町仁賀1617-1
TEL:0824-44-2773



今回登場した料理

山本尚徳シェフ
「みらさかピッツァ」

山本尚徳シェフ
「デザートピッツァ」

『チーズ』

とけるチーズのおいしさの秘密 奇跡?のタンパク質


福岡伸一
(生物学者、青山学院大学教授)

チーズはなぜ加熱するととろとろになるのか?
その秘密は福岡博士が教えてくれました。

福岡「その秘密は、チーズに含まれているカゼインというタンパク質。普通、タンパク質は加熱するとキュっと縮まって固まります。しかしチーズに含まれるカゼインタンパク質は、熱をかけると固まるのではなく、とろとろになるという性質を持っています。これはおそらく地球上では、唯一の例だと思われる、不思議なタンパク質なんです。
カゼインの中に一番たくさん含まれているアミノ酸は、うま味のアミノ酸であるグルタミン酸です。
それがいっぱいこの中に溶けだしているのでおいしく感じるのですが、とろとろが舌の上にうま味成分を長い時間留めてくれるんです。」

世界一のピザ職人の技!味がボケないチーズの組み合わせとは?

普通、たくさんチーズを組み合わせると、それぞれの風味が、ボケてしまいます。
今回、山本シェフはヤギとウシ、9種類ものチーズを組み合わせましたが、そのポイントは香りでした。

福岡「ミルクの主成分は、カゼインタンパク質というタンパク質と、乳脂肪分っていう脂が含まれています。
食べ物や環境の影響がより大きく表現されるのは脂肪の方なんです。ウシたちは木の実とか山に生える青草を食べることによってその植物が持ってる油をミルクの乳脂肪成分の原料として使っています。脂肪自体には甘味や酸味等はないですが、脂肪の中に含まれている脂肪酸や揮発成分が入っているので風味や香り等、我々の味覚を刺激してくれるわけです。」

牛でもヤギでも、同じ餌を食べていると、ミルクの乳脂肪の風味が似てきます。すると、チーズにも共通の風味が生まれるんです。だから、9種類組み合わせても喧嘩せず、よりおいしくなったんですね。