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2015年9月12日放送 「包丁」
おいしい料理を作るのに欠かせないのが、包丁の切れ味…。今回は、700年の伝統を受け継ぐ包丁“越前打刃物(えちぜんうちはもの)”の秘密を求めて、中華料理の達人・脇屋友詞シェフと、タレントのはなが、福井県越前市を訪れる。
2人が訪ねたのは、越前市内にある“高村刃物製作所”。現在は二代目の高村利幸さん(79歳)とその息子の3兄弟が中心となって包丁を作っているが、この工房の刃物は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカにも口コミで広がり、“タカムラ”の包丁しか扱わないというレストランもあるほど。世界のトップシェフから一般家庭まで愛用者も幅広く、今回脇屋シェフがオーダーした包丁が2か月かけて完成したという。
試しに、はなが高村さんが作った包丁でタマネギを切ってみると…涙が出ない! 切れ味のよい高村さんの包丁を使うと、細胞を潰さないため、辛み成分が出ることなく、うま味も閉じ込められたままなのだという。
そんな細胞を潰さない技術の秘密は、伝統を受け継いだ包丁の製造過程にあるという。そこで2人は、高村さんの包丁づくりに密着。硬さとしなやかさを併せ持ち、究極の切れ味を秘めた越前打刃物の秘密を探っていく。
- 今回のシェフ・レポーター
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はな(タレント)
脇屋友詞(Wakiya一笑美茶樓)
- 地元の匠
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高村利幸さん
光一さん
日出夫さん
勇人さん -
黒味傳さん(ジャルダン)
- 地元の店
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「高村刃物製作所」
〒915-0873 福井県越前市池ノ上町49-1-6
TEL:0778-24-1638 -
「ジャルダン」
〒910-0017 福井県福井市文京4丁目28-16
TEL:0776-29-0026
- 今回登場した料理
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黒味傳シェフ「若狭湾のアマダイと季節のサラダ添え」
脇屋友詞シェフ「ケンサキイカの翡翠ソース炒め」
脇屋友詞シェフ「ケンサキイカのいろいろ卵詰め冷菜」
『包丁』
- 1.包丁と美味しさの関係!?
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玉ねぎを切ると、涙が出るのは、包丁で切る時に、細胞がつぶれて中の「硫化アリル」が出てくるから。
しかし切れ味のいい包丁で切れば、細胞がほとんどつぶれず「硫化アリル」がほとんど出ないので、涙が出ないのです。
さらに硫化アリルだけではなく、細胞がつぶれるとうま味も逃げてしまいます。
包丁の切れ味が良いほど、うま味が残り料理が美味しくなるのです。 - 2.匠の包丁の秘密「ハマグリ刃」と「切離れ」
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匠の包丁の刃先を拡大するとまっすぐ研いだものと比べて、断面が若干、丸みを帯びています。
ハマグリ刃は、越前打刃物の特徴で、もともと丈夫な日本刀を作る技。
厚みがあるので折れにくいだけでなく、丸みを帯びている分食材を開くように切るので、「切離れ」がいいのです。
もう一つ、切離れの良さを生むのが、わずかに凹凸のある表面の模様。
プロのシェフが愛用する秘密は切れ味だけでなく、切離れの良さにもあったのです。