過去の放送

2016年12月17日放送 「京都 鴨&九条ネギ」

『京都 九条ネギ “鴨ネギ”おいしさの秘密』
ロケ地:京都府京都市

今回注目する食材は、鴨と九条ネギ。京都の食材をこよなく愛するイタリアンシェフ・笹島保弘さんと俳優・前川泰之さんが、“鴨とネギ”の関係と、九条ネギのおいしさの秘密を探る。

晩秋の京都にやって来た2人は、まず、嵐山で舟に乗り換え、“星のや京都”へ。総料理長であり、祇園の料亭の長男として生まれ、フランスの三ツ星レストランで修業した和魂洋才の料理人、久保田一郎さんを訪ねることにしたのだ。笹島シェフは、京都の和食の匠・久保田さんが作る鴨鍋を食べてみたいという。

久保田さん特製の鴨鍋は、鴨の身と軟骨を団子に仕立て、九条ネギをたっぷりといれたもの。実は、鴨鍋の主役は鴨肉ではなくて“やけどするほど沈めた”九条ネギだという。

久保田さんが使っている九条ネギは、ネギ作りの“匠”、石割照久さんが育てたものだと聞き、2人は石割さんのもとへ。実は、笹島シェフは石割さんと15年来の知り合いで、互いに切磋琢磨してきた仲だという。石割さんは九条ネギをはじめ、京野菜を中心に年間100種類以上の野菜を生産。名だたる名店から指名される京野菜のマイスターで、固さと味の違うネギを作り分けていると明かす。いったいどうやって違いを出すのか…!?
“匠”ならではのワザに迫っていく。

また、前川さんが驚いたのは、笹島シェフが石割さんにオーダーしているという九条ネギの太さ。そして、とれたての九条太ネギを炭火で焼いてもらい、その甘さに感動!
料理人と真剣勝負する、石割さんの野菜作りへの情熱に触れる。

いよいよ笹島シェフが、石割さんが育てた九条ネギと鴨肉を使って、新たなイタリアンに挑戦!それは、石割さんの畑をイメージして作りあげた“九条ネギと鴨もも肉のコンフィ”。はたして、どんな一皿なのか…!?
笹島シェフの料理は、石割さんや和食の匠・久保田さんを唸らせることができるのか…!?
また、生物学者の福岡伸一教授が、ネギのぬめりと甘さの関係について科学的な視点から解説を加える。

今回のシェフ・レポーター

前川泰之(俳優)
笹島保弘(『イル ギオットーネ』オーナーシェフ)

地元の匠

久保田一郎さん(星のや京都 総料理長)

地元の匠

石割照久さん(石割農園 九条ネギ生産者)

地元の店

「星のや京都」
宿泊しなくても夕食のみのご利用も可能です(要予約)
3月末〜5月上旬、8月、11月、年末年始を除きます

京都府京都市西京区嵐山元録山町11-2
TEL:075-871-0001(受付時間 11:00-17:00)
※料理は季節によって変わります


今回登場した料理

久保田一郎さん
「鴨のスモークのぬた和え」

久保田一郎さん
「鴨丸の小鍋仕立て」

笹島保弘シェフ
「九条ネギと鴨もも肉のコンフィ 畑の風景」

笹島保弘シェフ
「鴨と九条ネギのまるごとロースト アンチョビ風味」

『九条ネギ』

九条ネギのおいしさの秘密は
ネバネバの「あん」がたくさん入っていること

草野満代
(ごはんジャパンナビゲーター)

福岡伸一
(生物学者、青山学院大学教授)

ネギや納豆、山芋、オクラなど、様々な食材に含まれているネバネバの正体は「ムチン」という成分。


福岡「ムチンっていうのは糖とたんぱく質の複合体で“保湿成分”なんです。凍結から細胞を守っています。寒くなって細胞が凍ってしまうとネギも困るわけです。だから、自分達が凍らないように…わざわざネバネバ成分を出して、守っているわけなんです。」

ネギを焼くと甘くなるのは、辛み成分が蒸発してムチンに含まれる糖分の甘みが際立って来るからなんです。


福岡「これから段々寒くなって、ネギがムチンをよりたくさん作る、それがこの九条ネギの旬ということになるんです。」

「鴨がネギを背負ってくる」
鴨はなぜたくさんの野菜の中からネギを選んだ?

鴨とネギと言えば、諺にもなるくらい昔から相性がいいと言われる食材ですが…


福岡「ここでクイズです。鴨はなぜたくさんの野菜の中からネギを選んで背負って来たんでしょうか?」

草野「たまたま鴨のそばにネギがあった。」

福岡「…いまいちです。

やっぱり日本文化の中には、取り合わせの妙があって…二つのものが相補う、みたいなことがあります。影と光のような。それが食文化の知恵として、鴨とネギの取り合わせの中にもあると思うんです。
視覚でいえば、色の取り合わせ。ピンク色と濃い緑。
嗅覚でいえば、鴨の臭みをネギの爽やかな香気成分が打ち消してくれる。それがやっぱり食物の文化の中で、鴨にあう野菜は何かなっていう風にこう、文化が探してきて、最後に到達した答えがですね、ネギだったんじゃないかなと?」

草野「へぇ〜、本当ですか〜?」

福岡「これは私が作り出した屁理屈です。」