過去の放送
2016年6月18日放送 「江戸前あなご 〜神奈川県横浜〜」
今回注目する食材は、“江戸前あなご”。そのおいしさの秘密を求めて、世界の食通たちが訪れる名店“天ぷら近藤”の店主・近藤文夫シェフと
さんが、横浜市金沢区にある柴漁港を訪れる。
極上の食材を手に入れるために、20年以上一日も築地市場通いを欠かしたことのないという、近藤シェフ。「あなごを天ぷらにするなら、絶対に江戸前!身が柔らかくて香りがある」という。中でも“小柴のあなご”は別格で、梅雨から夏にかけて脂が乗ってくるという。そんな小柴のあなごのルーツを探りに、柴漁港へ向かった。
出会ったのは、あなご漁師の齋田芳之さん(60歳)。先祖代々700年続く漁師一家に生まれた齋田さんは今から30年ほど前、危機に陥ったあなご資源の保護を進めた人物。
あなごの狭い所が好きな習性を生かした“筒漁”。だが、出荷サイズに満たないあなごも一緒に獲れてしまっていた。そこで、齋田さんは、未成熟なあなごだけを逃がす穴の大きさを調べるため、研究機関と一緒に実験を繰り返し、13〜15mmの穴が良いという結論に至った。その筒を使った資源管理は、東京湾のあなご漁師たちに広がり、その活動で神奈川県あなご漁業者協議会代表として、水産庁長官賞も受賞している。
齋田さんがやさしい漁とよぶ“筒漁”とは、どんなものなのか…!?
そして、なぜ小柴のあなごは絶品といわれるのか、番組ではおいしさの理由を探っていく。
その後、齋田さんから“あなごの白焼き”をご馳走になった2人は、深い味わいに感動。「今、江戸前あなごが食べられるのは漁師さんや研究者さんたちの努力の賜物」と感謝する近藤シェフが、お礼の気持ちを込めてあなごの天ぷらを揚げることに…!
はたして、近藤流のあなごの天ぷらには、どのような秘密が隠されているのか、そのコツとは…!?
シェフはあなごのほかにも江戸前の魚を選んで揚げ、超豪華な江戸前天丼に仕上げる。
さらに、銀座の名店「てんぷら近藤」秘伝の“丼つゆ”のおいしさの秘密を公開する。
- 今回のシェフ・レポーター
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(タレント)
近藤文夫(『てんぷら近藤』店主)
- 地元の匠
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齋田芳之さん(あなご漁師)
- 今回登場した料理
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齋田芳之さん
「あなごの白焼き」
近藤文夫シェフ(産地)
「江戸前天丼」
(江戸前あなご・キス・クルマエビ・そら豆のかき揚げ+天ぷら近藤特製 秘伝の丼つゆ)
近藤文夫シェフ
「あなご天丼」
※草野満代さんが食した天丼
『江戸前あなご』
- 小柴のあなごがおいしい理由
キーワードは「かけがえのない海」 -
江戸前の漁場として古くから親しまれてきた東京湾。
多摩川や荒川などの一級河川が内陸の栄養分を運び、特にあなご漁を行う内湾の浅瀬はプランクトンが豊富。
エサとなる小魚や甲殻類が育つ、豊かな漁場です。
栄養豊富な海で育つため、江戸前のあなごは脂が乗っておいしいと言われます。
初夏に上がるあなごの半数近くが、黄金に輝く“金あなご”と呼ばれる一級品。
沿岸の埋め立てや環境の変化などの影響により年々漁獲量は減っていますが、そんな中注目されるのが、漁業関係者と研究機関の資源保護の取り組み。
匠たちの地道な努力によって、かけがえのない海は守られているのです。
- 近藤さんの天ぷらがおいしい秘密
キーワードは「泡の音」 -
近藤さんは「天ぷらは蒸し物」だと言います。
衣の水分が蒸発して泡になると共に、中のネタを蒸し上げます。
大事なのは油から取り出すタイミング。
揚げ過ぎると 衣が焦げたり、ネタの水分までなくなっておいしくありません。
近藤さんは、このタイミングを泡の音で判断します。
揚げ始めは、細かい泡がたくさん出て音も大きいのですが、徐々に泡は大きく、音は静かになります。
その後、プシュプシュっという音が、衣から無駄な水分が出切った音だそうで、そのタイミングで取り上げるとおいしく揚がるんです。
「ネタにより、季節によりベストのタイミングは全て違う」と近藤さんは言います。
近藤さんの耳は、天ぷらの水分量を見極めるセンサーでもあったんです。 - “継ぎ足し26年” 天ぷら近藤 秘伝の丼つゆ レシピ
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出来上がり 約2600cc
【材料】
清酒 : 5カップ
みりん : 2カップ
水 : 3カップ
かつお節 : 2つかみ
濃口醤油 : 3カップ
【作り方】
(1)清酒とみりんを合わせて強火にかけて沸かし、アルコールを完全に飛ばす
(2)水を加え、すぐにかつお節を入れて、泡が表面を覆うまで沸かす
(3)濃口醤油を入れて、引き続き沸かす
(4)アクを取り除き、濾したら完成
天丼以外にも、煮物に加えたり、水で薄めて砂糖を足して親子丼などに応用できます。

