障がい者福祉

NAKANO街中まるごと美術館!10周年
アール・ブリュット -人の無限の創造力を探求する2020-

 東京・中野の4つの大型商店街をはじめ、地域一帯をオープンな美術館に見立てて、近年、世界的に注目されている「アール・ブリュット」と呼ばれる優れた芸術作品を紹介するイベント、「NAKANO街中まるごと美術館!10周年 アール・ブリュット―人の無限の創造力を探求する2020―」が、1月25日から3月1日にかけて開催されました。

◆アール・ブリュットとは◆
 専門的な美術教育を受けていない人々が、独自の方法や発想で生み出す芸術作品を指します。フランスの現代芸術家ジャン・デュビュッフェが1945年に提唱した概念で、アール(ART)は「芸術」、ブリュット(BRUT)は「磨かれていない/加工していない/生のままの」という意味のフランス語。「生(き)の芸術」とも呼ばれています。既存の手法や従来の美術の価値観にこだわらない、極めて革新的・独創的な美的感覚をもつのが特徴で、作家には障がいがある作り手、美術とは全く離れた位置にある市井の作り手も含まれます。
 近年、日本でもこうした作品が見出され、その圧倒的な独自性や存在感、豊潤で自由なイメージ、驚異的な技術のレベルなどが賞賛を受け、メディアや映画などで紹介される機会も増えています。2018年9月から2019年3月にかけては、海外での本格的な展覧会「アール・ブリュット・ジャポネⅡ展」がフランスで開催され、日本の52組の作家、約640点の作品が一挙に紹介されました。また、米国のギャラリーなどで個展が開かれる作家も出てきており、国内外から注目を集めています。

 このイベントは、社会福祉法人愛成会(東京・中野区)が、中野ブロードウェイ商店街振興組合、中野サンモール商店街振興組合などの地域の各商店街、企業を巻き込んで毎年開催しているもので、今回が10周年です。当事業団は、障がい者福祉事業の一環として19年に協力を開始。今回は愛成会や各商店街とともに、主催する実行委員会の一員として取り組みました。

◆買い物客が見上げる巨大バナーによる「空中ギャラリー」
 JR中央・総武線と地下鉄東西線が乗り入れる中野駅は毎日16万人が乗降する都内でも中核の駅。北側改札口の入り口にまずはイベントの大きな横断幕が目につきます。そこから北に一直線に伸びる中野サンモール商店街は一日平均5万人が行き交うメインストリート。アーケードに入ると、高い天井から縦1.8m、横3mの大きな作品のバナーが吊るされた「空中ギャラリー」が展開されていて、裏表で計14作品が、多くの買い物客や通行人の目を楽しませていました。

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◆「サブカルの聖地」を彩る個性的な作品ポスター
 そのまま続く中野ブロードウェイ商店街は、元々1966年に完成した複合ビルですが、現在はアニメや漫画などサブカルチャーの聖地として国内外にも知られる巨大ショッピングセンター。建物内の北、中央、南と全部で3か所ある階段の地下から4階までと踊り場の壁面を使う「階段ギャラリー」と呼ばれるスペースに、約30点の作品ポスター、さらに作家紹介や過去10年の展示記録などが展示されました。さまざまな絵画で彩られ、華やかになったこのコーナーでは、買い物途中で足を止め、じっと作品を眺めたり、写真を撮影したりする人や、ポスターをみてにぎやかに話している外国人のグループなども目につきました。この2つの商店街を通した長さは約500メートル。平日だけでなく、特に休日はごった返していました。
 また、今回はブロードウェイの2Fに「ちいさなアール・ブリュット作品の世界」というフォトスポットを設置。勝部翔太さんによる数センチの人形の世界に迷い込んだような記念写真を収められるコーナーで、「何だろう」と不思議そうに立ち寄る子ども連れもいました。

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◆銀行には驚異のミニチュア作品も展示
 駅周辺に戻り三井住友信託銀行中野支店に立ち寄ると、作品の実物と出会えます。同支店では常時アール・ブリュットの作品を紹介していますが、このイベントの会期中は、前半は山根暁さん、後半は勝部翔太さんの驚異のミニチュア作品を展示しました。ロボットが楽器を演奏するような山根さんの作品は、厚紙やファイルの切れ端、ビニールなどで作られていますが、骨組みが計算されていて関節が動くそうです。また、勝部さんの作品は、お菓子やパンの袋をくくるアルタイという細い針金入りの素材で作られます。これをはさみや爪切りなどで巧みに加工して、アニメをモチーフにしたオリジナルの戦士に仕上げています。どれも一体どうやったらここまで細かく精巧に創ることができるのかと考え込むほどで、窓口の待ち時間を使ってじっくり鑑賞するのにぴったりでした。

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◆「個々に秘められた可能性の扉」
 今度は駅の南口にまわります。ロータリーから南に伸びる中野南口駅前商店街は、「看板ギャラリー」を展開しています。今回の25人のすべての出品作家の作品バナーがアーケードを飾り、その間に「個々に秘められた可能性の扉」といった、アール・ブリュットを表現した言葉によるメッセージも掲げられました。たまたまこの言葉は牛丼店の看板に貼られ、ネット上では「日本一哲学的な牛丼店」などと話題にもなりました。また中野マルイでは、2階の小展示スペースと屋外のスペースを利用した「隠れ家ギャラリー」を設置。約15点の作品バナーを展示しました。
 さらに今回から、南口のロータリーから西に線路と平行して伸びる中野レンガ坂商店会も参加。「坂道ギャラリー」と題し、8名の作家について、作家自身のポートレートや制作風景の写真バナーを設置しました。

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◆「根源的な芸術に通じる作品」
 ここまで6エリアが「街角アール・ブリュット展」という展示。このほかに期間限定で2か所のギャラリーで「アール・ブリュット展『きおくのゆくえ』」と題した展覧会も開催しました。この展示では、作家の作品にしばしば表現される「記憶」に焦点をあてて、計15人の作家の実物作品を紹介しました。
 最初が西武新宿線野方駅そばの「野方WIZ GALLERY」(2月2日~8日)。150色の色鉛筆を自在に使った鮮やかな色彩とどこか原始的なモチーフが特徴の阿山隆之さん、街でみかけた看板の文字などを記録しコラージュにする吉澤健さん、粘土による独特の造形でヴェネチア・ビエンナーレにも招聘された澤田真一さん、揺らいだ楽譜の模写から音楽が聞こえてきそうな作品を描き続ける西岡弘治さん、1枚のクヌギの葉から魔法のようにさまざまな動物を指先で作り出す「折り葉」作家の渡邊義紘さん…。訪れた人からは「初めてアール・ブリュットの作品をみたが、根源的な芸術に通じるものがあり、大変興味深く見た」などと驚きの声が聞かれました。
 また、今回はこのギャラリーのオープニングに合わせて、2月2日夜、ニコニコ動画による解説付き生中継「驚きの芸術作品と出会えるアール・ブリュット展『きおくのゆくえ』」が1時間半にわたり配信されました。中継中、番組には「実物をみてみたい」、「すごい画力」、「繊細ですごい集中力」、「驚異的!」などの声が寄せられ、多くの反響がありました。

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 後半は中野ブロードウェイ商店街の4階にある「GALLERYリトルハイ」(2月16日~24日)が会場。こちらはユニークな人物画の青木尊さん、空想の街をペンと色鉛筆で細密画のように創造してしまう古久保憲満さんら、7人の作家の作品が展示されました。所狭しと展示された作品をじっと見入る人たちで連日混み合うほどの盛況ぶりでした。

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◆体験型のワークショップも開催
 今回は会期中、いくつかの関連イベントも開催されました。自閉症の作家・古久保憲満さんの活動の軌跡を描いた映画「描きたい、が止まらない」の上映会と監督、本人によるトークイベント(2月22日)は、コロナウイルスの感染拡大防止のため残念ながら直前で中止になりましたが、このほかは無事実施。「創作アトリエ『素材で遊ぼう』」(野方WIZ GALLERY、2月2日~8日)は、展示作品に実際に使われている素材、毛糸やアルタイを自由に使って自分で創作にチャレンジできる体験型のワークショップでした。長時間テーブルに座って創作に励む子どももいました。
 また、この会場では「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」(2月8日)も実施されました。これは、障がいの有無にかかわらず、多様な参加者がそれぞれの視点で作品を見て、作品の形や色、そこから感じた印象や解釈を自由に言葉で表現し、コミュニケーションをしながら美術を一緒に楽しむというプログラムです。「見るだけ」と思われがちな美術作品の新たな鑑賞方法として注目されています。

◆「障がいとは何か?と問われる」
 このイベントは好評のうちに3月1日に会期を終了しました。多くの人の目に留まり、興味をもつきっかけになったと思われます。こうした紹介イベントを通して「アール・ブリュット」は徐々に人々に知られ、認知されるようになってきています。また、日本の芸術家や著名人がリードしてSNSやメディアで発信したり、行政も積極的に展示を企画したりしてもいます。ただ、福祉と芸術の両方の領域にまたがり、実体がとらえにくいこともあってか、まだまだ評価が定まっているとはいえないのが実情です。
 今回寄せられた感想に「こういう素晴らしい作品をみていると、障がいとは何かが分からなくなってきて、そこが問われてしまいます」というものがありました。当事業団が目指す「共生~隔たりのない世界~」を展望したとき、その作家がどういう人か、男女や年齢、ハンディキャップの有無、教育の有無など、つくる人の属性を問わない芸術の分野の特性は、非常に示唆的なものがあります。芸術は、障がいがあったとしても、創作によってさまざまな境界、障壁を越えてしまう世界であり、多様性を認めあうどころか多様性そのままといえる価値観があると考えるためです。
 当事業団としては、一人でも多くの人がこうした作品に接し、その魅力と価値を知り、そこから、障がいがある人を取り巻く環境や問題を考え、そのバリアを越えるように、同時に一人でも多くの人が創造活動の機会を得、発表し、正当に評価される場がもてるように、引き続き支援をしていく方針です。

※写真01~04,07,10,11 提供:社会福祉法人愛成会

日時:令和2年1月25日(土)~3月1日(日)
場所:中野ブロードウェイ商店街、野方WIZ GALLERYなど中野区内数か所
主催:NAKANO街中まるごと美術館実行委員会
・主要団体:中野ブロードウェイ商店街振興組合、中野サンモール商店街振興組合、(福)テレビ朝日福祉文化事業団、(福)愛成会
・協力団体:中野南口駅前商店街、野方商店街振興組合、中野レンガ坂商店会
・協賛:中野区
・協力:中野マルイ、もみじ山共栄千光会、三井住友信託銀行中野支店ほか
・後援:中野区商店街連合会

第43回ハンディスキー全国親善大会(長野県軽井沢大会)
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 ハンディスキー全国親善大会が、軽井沢プリンスホテルスキー場で1月17日(金)から2日間の日程で開催されました。テレビ朝日福祉文化事業団は、長野県斑尾スキー場で開催した第1回から大会を主催しており、今回で43回目となります。この大会はスピードやタイムを競うだけでなく、障がい者が健常者と共にスキーを通じて競い楽しむ中で、お互いの理解を深め、肉体的、精神的に障害を克服し、生活向上の一助となす事を目的とするものです。

 レースは上級・中級・ゲストメーション(健常参加者)に分かれて、日本全国から集まった約40名の選手が熱戦を繰り広げました。勝敗はタイムの速い遅いではなく、同じコースを2回滑り、2回のタイム差が一番少ない選手が優勝となるチャレンジタイムレース。スタートしてゴールするまで、自分のリズムを守って2本滑り切ることが重要となります。
 軽井沢プリンスホテルスキー場は、首都圏からのアクセスが抜群で、北陸新幹線で約1時間。スノーマシンによってゲレンデの雪は常にベストコンディションに保たれおり、晴れた日にはすぐ近くに浅間山を望むことができる最高のロケーションのスキー場です。競技が行われたパラレルコースは、初心者から中級者までが楽しめるスキー場でも人気のコース。暖冬の影響で、暖かく穏やかな曇日となりましたが、大会が始まる頃には、雲間から時おり太陽が顔を出すなどして、絶好のスキー日和になりました。

 選手たちはまずインスペクションを行い、その後10時から中級クラスから順に競技を開始します。滑走するコースゲレンデコンディションも、雪は十分にあり視界も良好、最高のスキーコンディションとなりました。赤と青の旗門が交互にセットされた全長約400m、標高差85m、最大斜度20°、平均斜度11°のパラレルコースを、第1滑走の選手を皮切りに次々と選手がスタートしていきました。立位・チェアスキーなど、それぞれの状況に応じて用具や滑り方を工夫して思いきり風を切って旗門を通過し、滑走。競技スキーとほぼ同等の大回転コースを、自らのハンディをものともせず果敢にレースに挑む姿は、競技役員を務めたスキー場の関係者やゲストメーションに参加した選手たちにも勇気と感動を与えてくれました。
 大会終了後は表彰式と交流会が行われ、交流会では、ほぼ1年ぶりに遭う仲間たちと大いに盛り上がり、会場には笑顔が溢れていました。今回、ご参加いただいた選手の皆さんはじめ、長い間準備にあたられた日本身体障害者スキー協会、軽井沢プリンスホテルスキー場、及び大会開催にご尽力いただいた全ての関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

【試合結果】

上級優勝
井上真司(長野県)タイム差 0秒01

ゲストメーション
尾崎栄一(埼玉県)タイム差 0秒20

ゲストメーション(ジュニア)
阿部萌乃和(新潟県)タイム差 0秒85

日時:令和2年1月17日(金)~18日(土)
場所:軽井沢プリンスホテルスキー場(長野県 軽井沢町)
主催:テレビ朝日福祉文化事業団、日本身体障害者スキー協会

五感で楽しむ音楽会 2019 ~LIVE TOGETHER CONCERT~
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 10月26日(土)、品川区立総合区民会館「きゅりあん」8階大ホールにて、障がいのある方もない方も楽しめる入場無料のクラシックコンサート「五感で楽しむ音楽会 2019 ~LIVE TOGETHER CONCERT~」を開催しました。「トゥレヴァン・コンチェルト」や一昨年の創立40周年記念「LIVE TOGETHER!」を継承した、テレビ朝日福祉文化事業団の障がい者福祉の大きな催し物です。
 障がいのある方々にも会場で音楽を楽しんでいただけるよう、盲導犬の入場のほか、手話通訳、字幕、抱っこスピーカーやヒアリングループの設置など様々な鑑賞サポートをご用意しました。障がいのある方の会場内誘導は、帝京高等学校JRC部の生徒さんがボランティアとしてご協力してくれました。当日は秋晴れの好日となり、大ホールがほぼ満席となる約900名のお客様にご来場いただきました。

 第1部は、視覚障がいを持ちながらも世界的に活躍するヴァイオリニストの川畠成道さん、18歳の異才ピアニスト紀平凱成さんの演奏を堪能し、心に響くコンサートとなりました。
 紀平さんは、感覚過敏と闘いながら今年デビューしたばかりの新進気鋭のピアニストです。それだけに紀平さんの演奏を期待して来られているお客様も多く、「やっと聴くことができた」「感動した」との感想がありました。紀平さん作曲のオリジナル曲も演奏し、「すごい音楽」「神様からの贈り物」と感嘆の声を数多くいただきました。
 昨年に続き今年も出演していただいた川畠さんの繊細で厚みのあるヴァイオリンの音色には、「落涙した」「崇高な音に魅せられた」と感激の声を頂戴しました。アンコールとして演奏されたディニク作曲「ひばり」では、「ひばりのさえずりと空を飛んでいる様子がわかった」「心が洗われる感じ」「圧倒的な音楽性とテクニックに異空間の世界を堪能した」と、大絶賛される方が数多くいらっしゃいました。
 障がいを乗り越えて活躍するアーティストの見事な演奏に触れていただき、障がいのある方にも勇気と元気を与える第1部となりました。

 第2部は、視覚や聴覚に障がいを持つ方も音楽を楽しめるような工夫を凝らした「五感で楽しむブラスアンサンブル」。東京藝術大学出身のプロオーケストラ奏者を主体として結成されたブラスアンサンブル・ゼロによる演奏と映像とが共演するステージです。
 オープニング曲は、会場全体を活用し客席に下りた演奏者が一人ずつ音を出す「音のリレー」。目を閉じていても、聴覚に障がいがある方でも、演奏者の位置と音の振動、ホールの広さなどを体感していただくことができました。
 続いて、東京藝術大学COI拠点の開発した「OtOmi(オトミ)」というアプリを利用し、演奏される楽器の音を映像化して大型スクリーンに映し出しました。音の高低や大きさによって画像が生き物のように変化します。ろう学校の児童にステージに上がっていただき、楽器一つずつの音と映像を見ていただき、実際にブランデンブルグ協奏曲「第3番」を演奏者の間近で聴いていただきました。音の振動も感じられ、まさに「五感で楽しむ」演奏となりました。
 4曲目では、聴覚障がいのある11歳のバレリーナ菊池海麗さんに、ブラスアンサンブル・ゼロの生演奏に合わせて踊っていただきました。この日のために練習を積んできた菊池さんの見事なバレエに、「素晴らしい」「感動した」「優雅だった」との感想を頂戴しました。実は、司会の下村彩里アナウンサー(テレビ朝日)はバレエ留学をしたこともあるバレエ経験者です。バレリーナにとって「タリスマン」という誤魔化しがきかない難しい曲に11歳で挑戦し、聴覚に障がいを持ちながらも生演奏にぴったり合っていた菊池さんの踊りにたいへん感動していました。
 最後に、第1部に出演した川畠成道さん、紀平凱成さんにも加わっていただき、全員で「花は咲く」を演奏、会場のお客様も一緒に合唱しました。歌いながら涙しているお客様もいらっしゃいました。音楽を鑑賞するだけでなく、会場みんなで作り上げるその光景は「五感で楽しむ音楽会」に相応しいものでした。曲が終わると、大きな拍手が鳴り響いていました。

 ロビーでは、「五感で楽しむデバイス展」と題し、最新技術を利用して五感で音や映像を楽しむことができるデバイスをご紹介しました。
 昨年に引き続き、音と一緒に振動を伝える抱っこスピーカー「ハグミー」の体験ブースを設け、コンサート中の貸し出しも行いました。聴覚障がいの方から「抱っこスピーカーを利用することで、独奏で一つ一つの楽器の面白さを味わえた」との感想がありました。コンサート第2部でも使用した東京藝術大学COI拠点が開発したアプリ「OtOmi(オトミ)」と、AR技術を使って動物の鳴き声で遊ぶアプリ「この音なあに?」を実際に触れていただくブースも設けました。また、聴覚障がいの子どもたちに向けた音楽教育デバイス「Palm Beat(パームビート)」をご紹介させていただきました。
 さらに、アートユニットMATHRAXの製作した「いしのこえ」を展示。机の上に並んだ石に触れることで音が奏でられる作品に触れたお客様からは、「なぜ音が出るのか不思議」「新感覚な驚き」といった感想を多く頂戴しました。

 テレビ朝日福祉文化事業団は、障がい者福祉のため、また社会福祉法人の地域社会への貢献が望まれる今、未来へ向けての新しい一歩となるよう、今後もこのような取り組みを継続していきたいと思います。出演者の方々をはじめ、ご賛同くださいました協賛各社、ご協力いただきました関係各位、そして当日ご来場のお客様に深く感謝申しあげます。

五感で楽しむ音楽会 2019 ~LIVE TOGETHER CONCERT~
プログラムはこちら

来場者の感想(抜粋)

★とても意味と意義のあるユニバーサルを実現した素晴らしいコンサートでした。

★普通のコンサートと違う趣向でとても楽しめた。

★五感が研ぎ澄まされた感覚です。ぜひとも今後の情報を知りたいと思います。

★障がいのある人も音楽を楽しめてよかった。

★はじめてだっこ型スピーカを利用したが音楽だけでは不十分な面を補助してくれる面はすごくよかった。

★無料でここまで良質な音楽を聴ける貴重な機会でとても満足でした。障がいのある方も小さなお子様も一緒に楽しめる素敵な企画をありがとうございました。

★子どもが聴覚障がいのため、視覚的に音楽を楽しむことができたようでよかったと思います。

★障がい者も自由に芸術を楽しめるすばらしい企画。ありがとうございました。

★人工内耳の手術をして1年になります。15年ぶりぐらいで生の演奏を聴けて楽しかったです。

★案内係がいたるところにおり、細かくサポートしている様子に感動した。

★川畠さまのヴァイオリンは語るよう歌うよう音色にうっとりしてしまい聴きたかったので本当に幸せです。

★川畠さんの素晴らしい音色に感激しました。思わず涙が出てきました。

★紀平さんがすごい。音のピュアさに涙が出てきた。こんな経験初めて。

★素晴らしいの一言。若い才能も素晴らしい。

★非常に素晴らしい催しだったと思います。初めてでしたがこれからも幅広く色々な場所機会での開催があればと思います。

★最後に客席も一緒に花が咲くが合唱できてうれしかった。ありがとうございました。プログラムも最高でした。クラシックからバレエまでいろいろ楽しめました。

★素晴らしい演奏をありがとうございました。福島から参りましたが、期待してた以上のすてきな演奏にすっかり魅了されております。皆様のご活躍をお祈りしております。

★このようなコンサートは初めてでとても楽しく新鮮に感じました。映像付きのコンサートなんてとても面白かったです。

★AIやデジタルのテクノロジーを使ってどんどんインクルージングなエンターティメントや場所を作って行ってください。

★障がいのある方のためにもそうでない者にとっても今後も長くつづけていただけることを願います。

日時:令和元年10月26日(土)
場所:品川区立総合区民会館「きゅりあん」8階大ホール
主催:テレビ朝日福祉文化事業団
共催:東京六本木ライオンズクラブ
後援:品川区・東京都社会福祉協議会・品川区社会福祉協議会・テレビ朝日
協力:東京藝術大学COI拠点・YURI Ballet School・帝京高等学校JRC部
特別協賛:(株)竹中工務店・ダイダン(株)
協賛:ALSOK東京(株)・(株)伊佐梅・(株)大塚商会・(株)関電工・(株)コマデン・(株)シービーエス・(株)台東サービス・(株)テルミック・(株)東京美術・富士ゼロックス(株)・富士通(株)・(株)ミヤギ・横浜エレベータ(株)東京支店

天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会
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Photo by JWBF/フォトサービス・ワン

 新天皇即位後、初めてとなる「天皇杯 第47回日本車いすバスケットボール選手権大会」が、5月10日から3日間の日程で、東京・調布市の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で開催され、全国から勝ち上がった強豪8チームが、日本の頂点を目指して激戦を繰り広げました。
 2018年に天皇杯が下賜(かし)された本大会は、全国の選手が目標とする国内最高峰の選手権です。2019年大会に向けては昨秋、甲信越ブロックを皮切りに全国10のブロックで計59チームが参加して1次予選が始まり、4月に東日本、西日本に分かれて2次予選を開催。その結果、本大会への出場を勝ち取ったのは2次予選のそれぞれ上位3チームと、前回優勝の「宮城MAX」(東北ブロック)、準優勝の「NO EXCUSE」(東京ブロック)の全8チームです。会場の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」は2020年の東京パラリンピックでも車いすバスケットボールでも使用されます。
 注目度が高まっているパラスポーツですが、特に、車いすバスケットボールは競技用車いすを巧みに操作して選手が激しくぶつかり合うため、動きやパスのスピード感、攻防の熾烈さからも人気が高く、花形競技の一つです。さらにこの天皇杯の出場チームには日本代表を経験している選手も数多く、ハイレベルのプレーが続出します。使用コート、リングの高さなどは一般のバスケットボールとほぼ同じですが、障がいのレベルに応じて各人の持ち点があり、コートに出ている5人の合計持ち点が定められています。2017年から女子選手、2018年からは健常者が選手登録可能となりましたが、この持ち点制に従うことで障がいの有無、軽重、男女を問わず出場できるようになっています。
 3日間のトーナメント戦を制し、令和初の天皇杯という栄光に輝いたのは、「宮城MAX」(東北ブロック)。日本代表のエース・藤本怜央選手らがよく引っ張って1回戦、準決勝を勝ち進み、最終日の決勝へ。藤本選手に加え、土子大輔選手、女子日本代表の藤井郁美選手らも得点を重ね、初優勝をかけて挑んだ「埼玉ライオンズ」(関東ブロック)を抑え込み、71対35で下しました。「宮城MAX」は前人未到の11連覇を達成、王者の貫禄を示したかたちとなりました。
 「天皇陛下御即位記念」とも銘打った今大会。2020年の東京パラリンピックを目前にして、いよいよ白熱した試合が連日繰り広げられ、今大会の観客は延べ約11,000人に及び、高い人気を裏付けました。障がいを乗り越え、また障害の有無、程度も超えて、チームの勝利に向けて一丸となってプレーする選手の皆さんの姿は、多くの人々に勇気と感動を与えたばかりか、試合内容のレベルの高さは東京パラリンピックへ向けて一層の期待を高めたことと確信します、参加したすべての選手の皆さんに感謝するとともに、今大会の成功に注力された主催、後援、協賛、サポーター各社、ボランティアスタッフの皆さんにもお礼申し上げます。

 優勝「宮城MAX」(東北ブロック)/準優勝「埼玉ライオンズ」(関東ブロック)/3位「ワールドバスケットボールクラブ」(東海北陸ブロック)

日時:2019年5月10日~12日
場所:東京・調布市「武蔵野の森総合スポーツプラザ」
主催:日本車いすバスケットボール連盟、日本障がい者スポーツ協会、日本バスケットボール協会
後援:スポーツ庁、東京都、調布市、テレビ朝日福祉文化事業団 ほか

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