寒波が襲い冷え込む12月17日土曜日、連合会館の会議室で第9回日本フォスターケア研究大会がリアルとオンラインで開かれました。家庭養護が推進される中で、多くの里親が養育に困難を感じたと答える中、複数児童の委託を推進することが本当に子どもの最善の利益になるのか、推進するためには、何が必要なのかを考えていきたいということが今回のテーマです。
基調講演では、静岡大学人文社会科学准教授の白井千晶教授が「里親家庭における複数養育について~子どもには一人一人にニーズがあり、養育上の配慮や課題等~共働き里親が増加する中、里親の養育の未来を考える」と題して調査結果の報告などが行われました。
社会的養護で家庭養育が原則とされ里親への委託率を高めようとする中、里親のもとに複数の児童が委託される状況が今後さらに増加することが予想されています。しかし、委託される児童は実子とは異なり、人生の途中から養育が始まる「中途養育」であることや、虐待を受けた経験があるケースが多く、実親からの愛情を受けて育っていない「あいまいな喪失」を経験していること、さらに障がいを持っている割合が年々上昇していることなどがあり、「複数養育では様々な課題を乗り越えなければならない」ということです。
調査では、実子がいる場合や、先に別の児童が委託されているケースもあり、子ども同士が関係を構築する時に問題が起きるケースも紹介されました。複数養育の場合、児童の年齢が近いほうが良いのか、離れている方が良いのか。また、年長者が後から来るのか、年少者が後から委託されるのかなど、様々なケースが紹介されました。さらに、複数児童の場合、「入学式や運動会など行事が重なって大変だった」などの声も紹介されました。
その他、
今後について白井教授は、委託前の準備であるアドミッションケアに、委託後のチェックも含めた形でPDCAの仮説検証サイクルを組み込む必要があるとしました。さらに養育計画について、少なくとも口頭では里親に対しては養育計画を示されていることがわかったが、当事者である児童が関わっているケースが少ないとのことで、児童が関わる必要があると指摘しました。
また、里親が複数児童の養育をする場合はファミリーホームにすることで補助者を雇うことができるので、手厚く児童に対応できるようになる。一定の里親がファミリーホーム化することも有用ではないかという提案もありました。
第2部のパネルディスカッションは、両親が里親をしていて、里子の兄弟・姉妹が入れ替わりに委託される家庭で育ったという大妻女子大学人間関係学部の山本真知子准教授のコーディネートで、現在児童を養育中の里親3名が参加して行われました。
育児経験がなかった里親さんは「子どもに期待して、いろいろなお稽古や塾などに通わせたが、途中から本人の特性に合わせて行けば良いのだと考えるようになった。」「実子の場合よりも里子の場合の方がより夫婦で話し合いの時間を設けて養育した」などが語られました。
第3部では里親家庭で育って成人したユースが里親に対して質問をする機会が作られました。こうした機会は少ないながら、里親会ではユースの声を聴く機会を作ることが重要だと考えているということです。
ユースからは「児童相談所から委託したいという児童を断ったことがあるのか」「児童が委託されるときにどんな気持ちだったか」などが聞かれて、これに対して里親が答えました。里親からは、事前に児童相談所の職員と相談するので児童が決まってから断ったことはないなどが語られました。
また、ユースからの「いつまで里親のところに戻って良いのか」という質問には、「自立した後も自宅の近所に住んでいて、食事をしに戻ってくるし、食べ物などを貰いに帰ってくる、帰りたいときには戻ってくれば良い」との答えがあり、ユースは安心したような表情をしていました。
里親制度に期待されるのは、「家庭養護」ですが、もうひとつは社会的養護から離れて自立した後にあります。児童養護施設では職員が変わるなどで遊びに行っても知らない職員になってしまうケースもあるので行きにくいと聞きますが、里親さんはいつまでも同じところに住んで変わらない、里帰りできる「実家」のような存在になることができることです。子どもたちにとって養育してもらう間だけでなく、自立して社会に出て行った後も安心して戻る場所があるということはとても心強いことだと思います。
こうしたことからも里親制度が広く認知されて普及されることが望まれます。
ファミリーホームとは・・・
現在の里親制度では、実子を含めて1家庭で養育できるのは4人までとされています。ファミリーホームでは5~6人の児童を養育できます。一緒に暮らして養育するのは夫婦に加えて補助要員1人が有償で認められているます。養育者が1人の場合は、補助者2人が認められます。
複数の児童を養育するには人手がかかるので、有償で人に依頼できるのは助かるというこどです。ちなみに、実子は18歳未満の児童の数で、成人している児童は養育する数に含まれません。養育者の要件は、ベテランの養育里親さんや乳児院や児童養護施設等で養育の経験が有る夫婦などになります。
正式には、厚生労働省が定めた第二種社会福祉事業で「小規模住居型児童養育事業」を行う住居のことを「ファミリーホーム」といいます。児童養護施設でも家庭的養護が進められていて小規模ユニット化が進んでいますが、こちらは「グループホーム」として、明確に分けています。令和3年3月末現在で、「ファミリーホーム」は全国に427か所、1688人の児童が委託されています(福祉行政報告例より)。
期間:2022年12月17日
場所:連合会館 501会議室(東京・千代田区)
主催:(一社)日本フォスターケア研究会(JaFCA)、共催 関東甲信越静里親協議会
後援・助成:(社福)テレビ朝日福祉文化事業団
今年度もこどもの国で、ジャンボカルタ取り大会と、どんど焼きが行われました。
両日とも晴天に恵まれ、この時期には珍しくあたたかな日差しの下、大勢の家族連れで賑わいました。
2023年1月2日(月)、3日(火)に開催されたジャンボカルタ取りには、2日間で350名を超す親子が参加。カルタを探す必死な子どもの姿は今も昔も変わらない日本のお正月の風物詩、今後も支援を継続していきたいです。
そして1月8日(日)に行われた「どんど焼き」は、1年を健康に過ごせますようにと祈る日本の伝統行事でもあります。
組まれたやぐらに、お正月飾り、御札、子どもたちの書初めなどが供えられ、1500名程の参加者が見守る中、年男、年女でトーチリレーをし、点火。
その火に願い事が書かれた短冊を括り付けられた笹を、どんど焼きでお焚き上げ。
今年はほぼ無風でしたが、乾燥した気候のせいか炎の勢いがすごく、笹の葉が空高く舞い上がり参加者全員に満遍なく灰が降り注ぐ中、無病息災、コロナ退散の年になることを祈りました。
その後は待ちに待った焼き芋の配布会。新聞紙にくるまれた、ホカホカの焼き芋をもらい、親の元へ笑顔で走り寄る子どもたちのうれしそうな光景が印象的でした。
真冬の青空のもとで輝く子どもたちの笑顔を見ながら、少しずつ日常に戻りつつあることを感じられた日となりました。
日程:2023年1月2日(月)、3日(火)、8日(日)
場所:こどもの国(神奈川県横浜市)
主催:(福)こどもの国協会
後援:テレビ朝日福祉文化事業団
児童養護施設で生活している子どもたちによる発表会「子どもキラット!楽演祭」が11月27日(日)、東京都千代田区の「一ツ橋ホール」で開催されました。新型コロナウイルス感染症の影響により3年ぶりの開催となった今年は通算9回目となり、東京都、埼玉県、千葉県の計7の施設が8演目を披露しました。
十分な感染予防対策を施した上、今回は施設ごとにリハーサルと本番を行い、VTRに収録したそれぞれの演目をDVDにして施設ごとに配布しました。
秋晴れの中、子どもたちは午前9時すぎから施設ごと、順々に会場に到着。ステージ用衣装に着替え、会場でスタンバイへ。会場には4台の撮影カメラがずらりと並び、本格的な収録風景にみんなどこか緊張した様子です。司会の並木万里菜アナウンサーが登場すると、テレビで見たことのある顔に子どもたちから自然と笑みがこぼれます。
午前11時、主催者挨拶のあと、リハーサルで立ち位置や照明などの確認をし、スタッフの「それでは本番!5秒前4、3、…」のカウントダウンにより本番スタート。
トップバッターは、ノリの良い「ヒップホップダンス」。「パプリカ」などの有名曲に乗せて披露してくれました。ダンス部のみんなで振付やフォーメーションを考え、一生懸命に練習したそうです。その自信からか、本番では楽しそうに踊ってくれました。
本番終了後のインタビューでは「好きな行事やイベントは?」の質問に「子どもキラット!楽演祭」と答えてくれたのが印象的でした。それくらいこのイベントへの参加がモチベーションの一つになっていることを実感しました。
続いては、舞台上の大スクリーンいっぱいに拡がる映像と見事にシンクロした「創作ダンス」。メンバーの一人ひとりの思いを映像とダンスで表現し、「一生懸命頑張る自分は最強」をテーマに、“負けない”“自分らしさ”を精一杯表現してくれました。
次の「ダンス」は昨年、発足されたばかりのチームです。子どもたちには今回が初めての大きな舞台となりました。自分たちで曲を選び、振付のイメージを沸かせ、そして衣装のTシャツもメンバーでデザインしました。
ガラリと雰囲気が変わり、午前の部ラストは「ハンドベル」。有名なクリスマスキャロル「きよしこの夜」など3曲を演奏。一人4本以上のハンドベルを持ち替えながら、キラキラする音色とメロディーを会場に響かせました。
午後2時、午後の部は「ミュージックベル」からスタート。小学生たちがやりたい!と参加し、今回に向けて一生懸命練習しました。繊細なリズムをチーム全員でつくりあげていたのが印象的でした。
続いては「人間ごっこ」「天女の歌」の独唱。広い舞台の中央にたった1人で立ち、しっとりと聴かせる歌声に思わず聞き入ってしまいました。スポットライトを浴びたその姿は、まるで天女が舞い降りたようで美しく華やかなステージとなりました。
次は一人一人の個性に合わせた振付の「ヒップホップダンス」。それぞれの個性に合わせたデザインの衣装を自分たちで制作しました。個性的なメンバーが全員一緒になった時のパワーは圧巻で、ダイナミックな振付を切れ味よく踊り切りました。
最後は、元気いっぱい「チアダンス」。元NFLチアリーダーの指導の下、レッスンを行ってきました。チアリングのステップ、ポーズ、掛け声など自主練習を行い、みんなで合わせてきました。様々な衣装、ソロパートも見応えがあり、華やかにフィナーレを飾ってくれました。
このイベントが施設の子どもたちにとって、一つの目標に向かい、何カ月もかけて練習や創作に取り組み、そのゴールとして大きな晴れ舞台で達成感や一体感を感じてもらう機会になればと考えています。
≪参加施設へのアンケートから抜粋≫
日時:令和4年11月27日(日)
場所:一ツ橋ホール(東京都千代田区)
主催:東京六本木ライオンズクラブ
共催:(福)東京都社会福祉協議会 児童部会
後援:(公財)原田積善会・テレビ朝日・テレビ朝日福祉文化事業団
10月は里親月間です。里親制度がなかなか定着しない中、里親制度の普及啓発のため、国会議員の皆様も参加して、里親制度研修講座が衆議院第一議員会館大会議室で行われました。第4回の今回は、「深めよう家族の絆&こどもの居場所」と題して行われました。
衆議院議員 山本左近氏から挨拶があり、明治学院大学名誉教授 松原康雄氏から「地域のなかの里親 社会的役割と地域とのつながり」と題して講演がありました。松原教授は、社会保障審議会児童部会委員や新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会委員長などをされ児童福祉に関する著書も多数執筆されています。
続いて、『 社会的養育の推進事業 』~ 子どもと里親の権利の保障のために ~と題して、自由民主党副総裁特別補佐・前衆議院議員で公益財団法人全国里親会 顧問の河村建夫氏が講演を行いました。
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課の河村のり子課長から来年4月のできる子ども家庭庁、児童福祉法の改正や社会的養護の現状や関係施策について説明がありました。その後「里親養育と子どもの権利」をテーマにシンポジウムが開催され、厚生労働省 河村のり子課長がコーディネーターとなり、衆議院議員 山本左近氏、ISS日本国際社会事業団 石川美絵子常務理事、元里子の男性、仙台市ほほえみの会 中嶋嘉津子会長が登壇し、それぞれ社会的養護についての意見を交わしました。
<ワンポイント>里親委託推進の現状
2017年(平成29年)8月に発表された「新しい社会的養育のビジョン」では、愛着形成に最も重要な時期である3歳未満の乳幼児については概ね5年以内に、3歳から就学前の児童については概ね7年以内に里親委託率を75%以上にするという画期的な目標が示されました。しかし、2020年度末に委託率が22.8%で遠く及ばない数字となっています。
平成22年度末 里親委託率 12%
平成27年度末 里親委託率 17.5%
令和2年度末 里親委託率 22.8% (ファミリーホームを含む)
目標:
令和4年度末 乳幼児の里親委託率 75%以上
令和6年度末 3歳から未就学児童 75%以上
令和11年度末 学童期以降の児童 50%以上
里親委託率は地域で大きく差があります。最低は宮崎県の10.6%、最高は新潟市の58.3%、東京都は16.6%です(令和2年度末)。さいたま市は、大きく委託率を伸ばしていて、児童相談所への専任の里親担当職員の設置や里親支援機関の充実、体験発表会や市町村と連携した広報、NPOや市民活動を通じた口コミなど様々な努力が行われた結果、増加しているとしています。
期間:2022年10月28日
場所:衆議院第一議員会館大会議室(東京都千代田区)
主催:児童の養護と未来を考える議員連盟、児童虐待から子どもを守る議員の会
協力:衆議院議員・参議院議員・(社福)全国社会福祉協議会、(社福)テレビ朝日福祉文化事業団、(公財)資生堂社会福祉事業財団、(一社)日本ファミリーホーム協議会、全国児童家庭支援センター協議会 ほか
全国里親大会と関東甲信越静里親協議会が里親月間である10月8日、9日の2日間にわたり、山梨学院メモリアルホールで行われました。今回は、3年ぶりのリアル開催となり、「コロナ禍からの復興!~withコロナ時代に備えて、何ができるかをみんなで考えよう。~」と題して、オンライン配信、並びに後日オンデマンド配信を行うハイブリッド形式となりました。会場に集まった皆さんは、久しぶりに会う仲間との会話が弾んでいました。
大会では最初に式典と顕彰があり、当テレビ朝日福祉文化事業団にも感謝状を頂きました。その後、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課 河村のり子課長から来年4月に創設される子ども家庭庁や社会的養護の現状、里親支援機関(フォスタリング機関)や社会的養育経験者の自立支援の取り組みの事例など、今回はオンラインで説明がありました。
続いて慶應義塾大学安藤寿康教授から「すべての能力・行動に遺伝の影響がある。遺伝的才能を生かす道がある」と題して基調講演が行われました。行動遺伝学の研究で一卵性と二卵性の双子の研究を長年続けてきた安藤教授は、人の行動が遺伝の影響を受けていること、家庭環境が行動の個人差に及ぼす一律の影響は一般的に小さいというお話がありました。但し、知能や学力のような能力的な面や反社会的な行動などで、環境が例外的に遺伝に匹敵する程度の影響があるとのことでした。血の繋がりのない子どもを養育する里親さんは、いつも悩みながら子育てしているのだと思いますが、遺伝の影響を認めたうえで、その才能を伸ばすことを考えることが必要だということです。
2日目は、2会場に分かれて分科会が行われました。静岡大学の白井千晶教授と山梨学院大学 樋川隆特任教授の分科会では、「共働き里親家庭」への調査結果が発表されました。里親の就労について、男性里親はフルタイムの勤務者が85.7%に対して、女性里親では45.5%にすぎないこと。里親研修や交流会に参加するため就労を調整した結果、収入の減少や昇進の遅れ、肩身が狭いなどの経験をした里親さんがいることが報告されました。また子どもを委託されるにあたり児童相談所から「妻の正規雇用を辞めるように言われた」という調査結果もあり、里親が共働きで良いのかなども話されました。虐待をされたり障害をもっていたりして養育が難しい子どもに対応するためには、安心安全な場所で根源的に愛されること、承認されること、多様性の中に自らを位置づけることが必要であるとの指摘もありました。
その他早稲田大学の上鹿渡和宏教授、山梨県立大学の西澤哲教授、山梨県こころの発達総合支援センターの田中哲顧問らの講演や各里親会の会長らが参加してのシンポジウム、里親の下で育った若者たちのシンポジウムなどが行われ、2日間に渡った大会は充実した内容で閉幕しました。
期間:2022年10月8日、9日
場所:山梨学院メモリアルホール(山梨県甲府市)
主催:厚生労働省、山梨県、(公財)全国里親会、関東甲信越静里親協議会、山梨県きずな会
協力:山梨学院短期大学、地域連携研究センター
後援:(公財)資生堂社会福祉事業財団、(社福)テレビ朝日福祉文化事業団、(社福)NHK厚生文化事業団、(社福)全国社会福祉協議会、(社福)山梨県社会福祉協議会、全国児童養護施設協議会、全国乳児福祉協議会、(一社)日本ファミリーホーム協議会、全国児童家庭支援センター協議会、山梨県児童養護施設部会
テレビ朝日福祉文化事業団は、㈱サイバーエージェントのグループ会社、㈱CA Tech Kidsと共同でゲームなどの作品づくりを通じて、プログラミングの知識や技術、楽しさを学ぶ「プログラミング体験学習」を開催いたしました。
初の企画でもあり、8月18日(木)、19日(金)に関東地方の児童養護施設および母子生活支援施設で生活する小学3年生~6年生36人が参加してくれました。
◆全世界で大人気のゲーム「マインクラフト」の世界へ◆
「マイクラ(マインクラフト)」とは、ゲームの世界のすべてがブロックで出来ており、ブロックを採取し、自由に配置して建築した世界で冒険を楽しむゲームでその教育的効果に注目が集まっています。
小学生にも人気があり、実際にプレイしたことがあったり、有名YouTuberのプレイ動画をみたことがあって興味を持っている子どもが増えているようです。
今回の「プログラミング体験学習」では、「マイクラ」のゲームの世界の中で「タートル」と呼ばれるロボットを移動させ、ブロックを置く・壊すといった基本的な動きのプログラムを学んでいきました。ブロックを置く・壊すといった作業をロボットに命令することで画面が動き、ゲーム感覚でプログラムの作り方を体感できます。
また80 個の教材から自分の好きなテーマを決めて、命令文を選びながらオリジナルワールドを作成することができます。
キーボードでの文字入力が不要のため、パソコン操作に不慣れな子どもたちも楽しくプログラミングを学習しました。
◆「渋谷スクランブルスクエア」に集合、開発タイムスタート!◆
真夏の日差しが照りつける中、会場となる渋谷駅直結・直上の高層複合施設「渋谷スクランブルスクエア」に朝9時45分に集合。子どもたちの中には、これから何が始まるのだろうという緊張した様子の子もいました。
まずは「渋谷スクランブルスクエア」21階の会場へ入ります。消毒とマスクはもう常識ですね!感染対策をしっかりとした上で広い会場にて1デスクに1人と間隔もあけています。
午前10時過ぎより「開発タイム、スタ~ト!!」と指導してくれるメンターさんの元気な挨拶と掛け声で、いよいよ開発タイムが始まります!
さっそくマイクラを立ち上げ、まず最初に挑むのは「はじめてのマイクラ」というクエストです。このクエストを進めていくことで、マイクラ内の操作方法を習得できるようになっています。マイクラに初めて取り組む子でも安心して進めることが出来ます。
そしてクエストを終えると…「オリジナルワールドメニュー」というメニュー表がもらえます。ここにはオリジナル教材が、なんと80個も載っています!マイクラ内の自分のワールドの中に、お城や競技場、牧場などを作ることができる教材の中から、自分がやってみたい好きなものを選ぶことができます。80個もあると迷ってしまいそうですが、丸をつけて選んでいきます。
こうして自分が選んだ教材を時間内に作り、自分だけのオリジナルのワールドを完成させます。みんな、自分が選んだ教材だけあってかなり集中している様子。わからない時はすぐにメンターさんに質問できますが、メンターさんも簡単には答えを教えません。「どうしてエラーになるのかな?」一緒に考えてくれる存在なのです。
昼食時間を挟み、午後の開発タイムがスタート!複数の教材に取り組んで、いよいよ自分のワールドも完成してきました。最後は、自分のワールドのお披露目発表会があります。
◆自信に満ち溢れた作品発表会◆
15時半頃からいよいよ作品お披露目発表会が始まります。発表会では、自分のワールドを紹介するのですが、ワールド全体を紹介してもいいし、お気に入りの1つの教材にフォーカスしてもいい、プログラムで工夫したところをプレゼンするのもOKです。それぞれが「自分が最も工夫した点」を紹介するのです。
「発表したい人?」という声かけに「はい!はい!!はい!!!」と沢山の手が挙がり、中には自分で発表する内容の台本を書いて、自分の作品を紹介してくれた子もいました。どんな作品を作って、それぞれがどんな工夫をしたのか、みんな他の子の発表を熱心に聞き入っていました。そして、それぞれが独自の発想で作り上げた世界観にメンターさんから思わず「すごい!」との声もあがっており、オリジナル開発の作品数は当初3つとしていたのですが、4つ5つと作成してくれた子も多く、メンターさんも非常に驚いておりました。
発表会を終えて16時頃に帰る時には、みんなの表情は笑顔と自信に変わっていました。長時間でも集中力を切らすことなく参加してくれた子どもたちからは「楽しかった!」「面白かった!」という感想を沢山いただきました。
現在はもちろん、これからの社会においてはますます、スマートフォンやインターネットの活用が欠かせない世の中になっています。環境の変化を受けて、2020年より小学校でプログラミング学習も必修化となりました。
「プログラミング体験学習」は、ゲーム感覚で楽しみながら、コンピュータが動く仕組みやコンピュータを制御するプログラミングについて学習できる大変有意義な機会です。私たちはこの企画が児童福祉施設で生活する子どもたちの、未来への可能性を伸ばす学びの場として役立つことを願っております。
~参加者の感想から抜粋~
~施設職員の感想から抜粋~
期間:2022年8月18日(木)、8月19日(金)
場所:渋谷スクランブルスクエア
参加者:関東地方の児童養護施設、母子生活支援施設で生活する小学3年生~6年生36人
主催:テレビ朝日福祉文化事業団
共催:㈱CA Tech Kids
手話スピーチコンテストは、コロナ禍はオンラインで継続して実施していましたが、今回3年ぶりに会場で開催することができました。秋篠宮佳子内親王もご臨席になり、見事な手話でご挨拶されました。スピーチでは、聴覚障がい者の俳優が出演し、今年(2022年)の第94回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞に輝いた「Codaコーダ あいの歌」についても触れた後、「このコンテストやさまざまな活動を通して、手話言語に対する理解がより一層深まり、誰もが安心して暮らすことのできる社会になることを願っております」と話されました。全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員もされている佳子さまは、コンテストを熱心にご覧になっていました。
今回のコンテストには、応募者94人の中から選ばれた10人が参加しました。今年のテーマは「私ががんばってきたこと」「変化する社会の中で大切にしたいこと」で、聴覚障害の生徒や健聴者の生徒も参加し、大きく手を動かし表情も豊かにスピーチを行いました。そして、「『普通』なんてない」と題したスピーチを行った、親が聴覚障害で自分が「コーダ」だという愛知県立岡崎高校2年の高橋萌花さんが優勝しました。
主催:全日本ろうあ連盟・朝日新聞厚生文化事業団・朝日新聞社
後援:厚生労働省・文部科学省・テレビ朝日福祉文化事業団・日本手話通訳士協会・全国聾学校長会
テレビ朝日福祉文化事業団は、児童福祉施設で暮らす子どもを対象に、テレビ朝日若葉台メディアセンターで開催されている「君も博士になれる展」へのご招待を実施しました。
新型コロナウイルス感染症対策を十分に留意した上でリクリエーションの一環としてテレビ朝日の番組の世界を楽しんでいただきました。
若葉台メディアセンターに「博士ちゃん」の企画展
「君も博士になれる展」は、テレビ朝日の人気番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」からインスピレーションを受けた参加型展覧会です。人体模型のアトラクションの中での遊び体験を通して、子どもから大人まですべての人が、好奇心を見つけ、その好奇心を伸ばして「博士ちゃん」になってもらえたらとの願いから企画されました。
開催しているテレビ朝日若葉台メディアセンターは、京王相模原線若葉台駅前に2017年にオープン。これまでも1階のアトリウムや併設の広場の一部を一般向けに開放して、さまざまなイベントや展示を開催しています。
博士ちゃんノートを作ろう
入場時に、まず自分で作る「博士ちゃんノート」が渡されます。ノートのパーツを組み立てるコーナーで、リーフレットや好みの色の紐などを自由に選んで自分好みのノートにカスタマイズするところからスタート!
体内体験
巨大な目玉や脳、骨、臓器などの人体パーツで作られた体内探検アトラクション。大きな口から入って人体の中を歩き回りながら、人体のカラダの不思議や仕組みを直感的に学び体験できます。まるで自分の心臓が大きくなって現れたような、2mを超える巨大心臓オブジェは、体験者の心拍と同期して動き出します。
絶滅動物の墓場
はるか昔に絶滅した動物たちのお墓が立ち並ぶARフォトブース。ギガントピテクスやスミロドンなどの古代生物が滅びた理由を学びつつ、実寸大の絶滅動物たちと一緒に写真撮影が楽しめます。
やりすぎ求愛ダンス
動物の個性豊かな求愛行動を学べるダンスゲームアトラクション。ダチョウ、ピーコックスパイダーなど3種類の動物なりきって、それぞれの求愛行動をダンスとして体験することができます。
博士ちゃんカルテット
番組テーマ曲「博士ちゃん」を作曲・演奏する葉加瀬太郎さんと3人の楽器博士ちゃんがタッグを組み、ここだけでしか聴くことのできない「博士ちゃん」をカルテットでお届けします。
巨大ビートシーケンサー
部屋の中にある人やモノの位置情報によって音や光が変化するリズムアトラクション。自分が動いたりフロアに散らばった積み木を動かすだけで、リズムを学びながら自分だけのリズムを作る事ができます。
児童福祉施設から多くの喜びの声
今年度のみで、関東地方の児童養護施設、母子生活支援施設、里親協議会など児童福祉施設で生活する390人の子ども、354人の大人、合わせて744人を「君も博士になれる展」へご招待いたしました。新型コロナ禍において外出する機会がめっきり減ってしまった子どもたちの環境の改善につながったなど、喜びの声を数多く頂戴しました。
参加者からの感想(抜粋)
期間:2021年10月2日~2022年6月26日
利用者:関東地方の児童福祉施設で生活する子ども390人,大人354人 合計774人
協力:テレビ朝日
里親制度の充実が強く求められ、各地域の里親会でリーダーの育成が急務となっている中、関東甲信越静里親協議会の主催で「第2回次世代人材育成セミナー」が開催されました。テレビ朝日福祉文化事業団は後援・助成という立場でこの里親会の活動を支援させていただています。
第1回目は里親及び子どもたちの支援のあり方を社会学の視点から学び、男性リーダーと女性リーダーの協働について考える機会となりました。今回はリーダーの重要な能力「聴く・対話する」に焦点を当て「対話が生み出しやすい行き違い」や「子どもとの合意のあり方」を学び、「子どもが自分に必要なサポートを自分で説明して理解してもらう」力を育むことがテーマです。
8月7日(日)、大井町の会議室に関東ブロック広域から17名の若手里親が集まりました。それぞれ異なる地域、里親会から来た参加者は当初、少し緊張した面持ちでしたが、楽しい自己紹介と各里親会のコロナ禍の活動報告で会場は打ち解けた雰囲気になりました。
そして、大阪公立大学の伊藤嘉余子教授の講演です。「おとなは話を聞いてくれるけど、意見はきいてくれない」児童養護施設の児童が言ったこの言葉のように感じさせないためにはどのようにすればいいのか、児童養護施設全100施設への調査データをもとに、養育者(施設職員や里親)に子供がしっかりと自分のことを話せることの重要性を説き、「子どもの声」を反映させるポイントを説明しました。
続いて、大阪府立立花高等学校の藤井健志先生は子どもに身につけさせたい5つの『きく』と題して「聞く(ききたいようにきている状態)」から「聴く」、「訊く」、「効く」と順に解説し、最後にゴールでもある「利く(きいたことが力となって行動に移せている状態)」にするために、大人が心掛けたい3つだけの「きく」を教えてくれました。
What 「それってどんなこと?」 Which 「AとBならどっち?」
Why 「なぜそう思った?」
を会話に入れ込むことによって、子どもの言葉や態度の奥に隠れているものが見えてくるそうです。
最後にこの日に学んだことを実践できるためのワークショップです。「子どものフィールドで語り合い」を進めるための方法を「かたりあいシート」を使って練習しました。シートには「健康」「生活習慣」「社会性」「人間性」などのキーワードが書かれています。2人一組で交互に3つのW(きく)で質問し、メモを取りながら2人が共感できる「定義」を作り上げるのです。
そしてそれぞれの成果、二人一組になって作り上げた「健康とは」など、キーワードの定義を発表しました。講座は「養育の場面に教育(コーチング)の視点を取り入れる」ことを提案、講座の根幹をなす「デザイン国語」のWEBサイトを紹介し、終了しました。
それぞれの里親会の情報交換の場として有意義であるともに子供と語り合う上でのスキルを身につけるができたセミナーでした。施設養護から家庭的養護への転換を図る国の方針ですが、安易に里親の人数を増やせば良いというものではなく、今回のようなセミナーを通して、里親同士の連携や、里親を支援する里親会の強化につなげていただけることを期待しています。
日程:令和4年8月7日(日)
場所:アワーズイン阪急(東京都品川区)
主催:関東甲信越静里親協議会
後援/助成:テレビ朝日福祉文化事業団
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、「児童養護施設で生活する高校生の海外生活体験の旅」や「農村ホームステイ体験の旅 in
遠野」など、毎年恒例の児童福祉事業が中止となる中、㈱リクルートと協業する形で2020年度より開始した「スタディサプリ」学習支援事業を今年度も実施いたしました。
今年度は、関東地方の児童養護施設や母子生活支援施設など、児童福祉施設で生活する101人の子どもたちに利用していただき、名門大学合格者も誕生しました。また、不登校によって施設内で勉強をしている子どもの学習環境の改善につながったなど、喜びの声を数多く頂戴しました。
「スタディサプリ」はスマホやタブレット、パソコンで自習するために作られた学習サービスです。小学4年生から高校3年生までに学ぶ5教科18科目について4万本以上の授業動画をそろえていて、好きなだけ学習することができます。
そのため、学校の授業で理解できなかった単元や、どうしても苦手な科目など、自分に合った授業を学ぶことができます。また各単元について複数レベルの動画授業があるので、理解度レベルに合わせた授業を選択することが可能です。
いつでもどこでも学習でき、解らないところをもう1回見たり、再生速度を遅くすることもできる。それでもわからなければ前の学年に戻ってつまずきを解消することができる。自分のペースに合わせて自由に学習することができるのがメリットです。
利用者へのアンケート(抜粋)
Aさん 高3
基本的に2倍速で授業動画を見ていたのですが、ピークには1日8時間は勉強しました。自分のスマホで自分の部屋で見るのですが、授業動画をダウンロードしておいて、外出先でも見ました。
有名な関正生先生の授業が、めちゃくちゃ分かりやすいです。大学受験をするなら、スタディサプリの英語の授業動画は絶対に見た方がいいです。私が保証します。このスタディサプリ学習支援のおかげで大学に合格できましたし、この支援は絶対に続けて欲しいです。
期間:2021年4月~2022年3月末日
利用者:関東地方の児童福祉施設で生活する子ども101人(小学生26人、中学生35人、高校生40人)
主催:テレビ朝日福祉文化事業団
協力:㈱リクルート
こどもの国の新年の恒例行事、「ジャンボカルタとり大会」と「どんど焼き」が開催されました。
今年度も新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながらの開催となりましたが、両日ともに天候に恵まれ、中央広場で行われました。
今年はテレビ朝日福祉文化事業団より、参加してくれた子どもたちや保護者に子ども専用相談窓口「チャイルドライン」の案内カードやリーフレット入りのドラえもんとのび太くんのクリアファイルを配布しました。
「ジャンボカルタとり大会」2022年1月2日(日)、3日(月)
2日間に渡り開催された「ジャンボカルタとり大会」は、各回150名~200名が参加しました。少しでも密集、密接を避けるため参加会場の枠を二重にし、アルコール消毒液の設置、マスク着用のアナウンスを行うなど感染対策を取りながら行いました。
ジャンボカルタとり大会の後は百人一首大会を行い、札を取った方には景品(お菓子)をプレゼントしました。
参加してくれた子どもたちには、「チャイルドライン」の案内カードを入れたのび太くんミニファイルをカルタとり大会終了後に配布しました。
「どんど焼き」 2022年1月9日(日)
伝統的な正月行事の一つ「どんど焼き」では、例年に比べ参加者が多く、持ち寄った松飾り・書初め・願い事が書かれた短冊を付けた笹の木などを櫓にくべて、厄払いや無病息災、諸願成就を願いました。
寅年生まれの方には記念品をプレゼントしたほか、櫓の点火を行ってもらい、勢いよく燃え上がる「どんど焼き」を見守りました。
昨年度は「どんど焼き」実施直前に緊急事態宣言が出たこともあり、焼き芋の配布は2年ぶりとなりましが混乱もなく、多くの子どもたちに楽しんでもらえました。
焼き芋の整理券配布時には保護者の方を対象に「チャイルドライン」のリーフレットを入れたドラえもんクリアファイルを配布しました。
こどもの国が開園以来、約50年以上続いている二つのイベントは、新年の風物詩となっています。新型コロナウイルスにより活動が制限されている中でも、行事を楽しむ子どもたちの笑顔が印象的でした。
日程:2022年1月2日(日)、3日(月)、9日(日)
場所:こどもの国(神奈川県横浜市)
主催:(福)こどもの国協会
後援:テレビ朝日福祉文化事業団